2020.10.26

離婚時の財産分与に税金はかかるの?課税される対象や金額とは

TAX

離婚時に決めなければならない項目の一つが財産分与。財産分与されたものにも税金がかかることはご存知でしたか?

一体どのような税金がかかるのか、いくらくらいかかるのかなど、気になる人も多いのではないでしょうか。

ここでは離婚時の財産分与に関する税金とその対策について、気をつけるべき点と併せてご紹介します。

1. 離婚時の財産分与に税金はかかる?

考える女性

財産分与をするときには、税金の問題にも注意が必要となります。財産分与で受け取る財産は、離婚後の生活に大きく影響するものですから、ほとんどの方が気になる問題ですよね。

財産分与とは、購入した住宅やマンション、不動産、退職金など、婚姻期間中に夫婦共同で築いた財産を、共有財産として離婚時に夫婦2人で分け合うことをいい、原則として、財産分与によって受け取った財産は課税されません

その理由は、財産分与は主に夫婦の共有財産として夫婦で分け合うべきものを清算として分けただけ、いわば権利としては潜在していたものを実際に受け取っただけであり、それ以上の利益を受けたわけではないからです。

しかし、受け取る財産が現金ではなく住宅といった不動産の場合など、状況によって課税されるケースもあります

また、財産をもらう側ではなく、財産を渡す側に課されるケースもあるのです。そこで、財産分与に際しては、これらのケースに当たるかどうかも考えた上で、分与方法を考える必要があります。

2. 財産をもらう場合

贈り物

    財産分与で財産をもらう場合は、原則として税金はかからないことになっていますが、一部例外があります。

課税される可能性のある税金としては、贈与税不動産取得税の2つが挙げられます。

2-1. 贈与税

離婚における財産分与で受け取る財産は、元々自分の取り分であったものを受け取ったものとされるため、基本的には贈与税の対象にはなりません。

しかし、注意したいのは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産が考える金額からみて、受け取る財産分与の金額が、財産分与としての相当額をはるかに超えるケースです。この場合には、本来の自分の取り分を受け取っただけ、とはいえなくなりますから、課税対象になる場合があります。

もっとも、相当額をはるかに超える金額、というのが具体的にどのくらいの額かは一概には言えません。財産分与自体、さまざまな事情を考慮して定めるものなので、受け取った額が夫婦の共有財産の半分を超えたから直ちに不相当と言えるわけでもありません。

しかし、明らかに税金対策が目的の離婚であると認められるくらいの財産分与の額であれば、贈与税が課されるおそれが高くなります。

そのため、財産分与であることだけを明確にするだけでなく、その相当性を法的に説明できるようにしておく、ということが一つの対策となります。

また、夫婦双方の事情によっては、居住用不動産を財産分与する場合、評価額だけで考えると財産分与の相当額を超えるものとなるかもしれないが、お互いが合意の上で財産分与して、取得した側が引き続き住めるようにしたい」という場合も考えられます。

この場合、婚姻期間が20年以上の夫婦なら、配偶者控除という節税方法が考えられます。配偶者控除は、居住用不動産を贈与した場合に2,000万円まで贈与税が免除になる特例制度です。

さらに、贈与税にはこの特例とは別に基礎控除110万円まで認められています。基礎控除とは1年間に非課税となる金額のことで、贈与税の基礎控除は1年間で受け取る財産が110万円以下なら税金がかからないという仕組みです。

贈与税の基礎控除は配偶者控除と併用することができるので、合計2,110万円までは税金が免除になることになります。

注意点は離婚前にしか適用できないこと、つまり、離婚届を出す前に手続きをすること贈与税の申告を行う必要があることです。

通常の財産分与とは手順が異なり、特に贈与税の申告は、贈与税の配偶者控除により税金が全額免除になった場合でも必要なので気をつけましょう。

2-2. 不動産取得税

不動産取得税は、利益が生じたかではなく、不動産を取得したこと自体を理由に課税される税金ですので、財産分与で課税対象になりません。

ただし、その額は原則として固定資産税評価額の数パーセントであり、軽減措置もありますから、財産分与の方法自体を大きく変えなくてもいい場合もあるでしょう。

2-3. その他の税金

以上のほか、不動産を取得したら、名義変更が必要となります。

不動産の登記上の所有者の名義変更をしておかないと、取得する前の所有者に勝手に売られても、売られた相手から取り戻すことができないので、必ず行わなければならなりません。この登記申請の際に、登録免許税を納税します。

財産分与の場合の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の2%となっています。通常は、取得した側の権利を守るための登記ですから、取得した側が負担します 。もし、その分も相手に負担させたいということであれば、相手の合意を得る必要があります。

さらに、不動産を取得した後にはなりますが、遅くとも取得の翌年以降から、毎年固定資産税が課されることになる点にも注意しましょう。

3. 財産を渡す場合

腕を組む男性

一般的に税金は財産をもらう側が払うものというイメージがありますが、財産分与においては、財産を渡す側にも税金が課せられることがあります。

財産を渡す側にかかる税金としては、譲渡所得税があります。

財産を渡す側も、本来渡すべき共有財産を渡しただけなので課税されないのでは、と思われがちですが、譲渡所得税が課税される「資産の譲渡」は、有償か無償かに限らないこと(この点が贈与税と異なります。)などを理由に、財産分与だからといって課税の対象からは除外しない、とされているのが実情です。

そこで、財産分与として資産を渡す側の場合には、譲渡所得税が課税されるかどうかを別途検討する必要があります。

3-1. 譲渡所得税

譲渡所得税は、譲渡によって所得、つまり利益が生じれば課税されることになります。そして、この所得は譲渡したものの価格から取得費用譲渡費用を差し引いて算出します。

財産分与の場合、譲渡したものの時価から取得費用、譲渡費用の合計を差し引いた残りの額が所得として課税されますので、その差額がゼロ、あるいはマイナスの場合は課税されません。

現金については、取得した時と譲渡した時で価値が変動しないため、資産として考えたとしても譲渡所得が課税されることはほぼないと言えます。

その他の資産については、購入した時の額も取得費用となりますから、購入した時から価値が下がっていれば、譲渡所得は課税されません。

例えば、建物については築年数が経過すれば価値が下がることが多いので、譲渡所得が課税される可能性は低いことになります。

さらに、財産分与をする側が居住用に供していた土地建物を分与する場合には、離婚をした後に財産分与をすることで、特別控除として3,000万円までの譲渡所得は課税されないことが多いです。

親族等に対する譲渡でないことが必要なので、離婚をした後に財産分与をする必要がありますが、この控除が適用できれば、購入時と財産分与時の評価額が大きく離れていない限り、譲渡所得税がゼロになることがほとんどです。

それから、税率についても所有期間が10年を超えていれば、軽減されることがあります。譲渡所得税は資産の所有期間が5年を超えるかどうかで、長期譲渡所得、短期譲渡所得に分けて税額が産出されますが、このうち、長期譲渡所得の軽減税率の特例が適用されることになります 。

この軽減税率も3,000万円特別控除と同じく、夫婦や親子の間での譲渡は認められていないので、離婚成立後に譲渡を行う必要がある点に注意が必要です。ちなみに、長期譲渡所得の軽減税率の特例は、3,000万円特別控除と併用可能となっています。

以上の制度により、実際に課税されない、あるいは財産分与の方法を見直すほどの税額にならないケースもありますが、離婚届の提出のタイミングによって結果が異なる場合もあるため、具体的に検討した上で進めた方がいいでしょう。

(まとめ)課税対象になる財産を把握し、財産分与の手続きをスムーズに

電話をする女性

現金だけではなく住宅などといった不動産、株式など対象が多岐に渡り、そのうえ税金の問題も絡んでくる財産分与。

離婚後のトラブルを避けるためには、財産分与とそれに関わる税金の知識が欠かせません。税金も含めた注意点をあらかじめクリアにしておくことで、夫婦の話し合いもよりスムーズに行うことができるでしょう。

また、実際に自身が財産分与を受ける・する場合、何が課税対象でどのくらいの税金がかかるのかを知りたい場合は、税理士に相談してみるのも方法の一つです。


~ この記事の監修 ~

渡邊弁護士

わたしのみらい法律事務所
弁護士 渡邊 未来子
弁護士登録後に保育士資格を取得。養育費保証制度の相談会やセミナー、子ども食堂支援等を通じて、ひとり親家庭の支援活動を行っている。

>>所属団体のサイトを見る


<こんな記事もよく読まれています>

メールマガジン登録

メールマガジン限定の特別連載、養育費に関する最新情報や新着記事のダイジェストを月1回お届けします。


    ご登録の確認

    「個人情報のお取り扱いについて」に
    同意をお願い致します。

    個人情報のお取り扱いについて

    1.当社の名称又は氏名

    株式会社イントラスト

    2.個人情報保護管理者

    個人情報保護管理者(連絡先は、下記<個人情報苦情及び相談窓口>)

    3.個人情報の利用目的について

    当社は、当社が提供するシングルマザーに関する情報マガジンサイト「SiN」(以下「本サイト」といいます。)に関して取得した個人情報および保有個人データを、以下の利用目的の達成に必要な範囲で利用いたします。

    1. シングルマザーの方々の生活に役立つ情報、養育費に関する情報などの提供
    2. 養育費保証に関する各種サービスの案内
    3. 当社が取り扱うサービスについての案内
    4. 当社が取り扱うサービスに関する顧客動向分析、商品開発、品質向上等のための調査分析
    5. 郵便物、電子メール、電話等による通信履歴の管理
    6. お問い合わせへの対応、連絡をとる必要が生じた場合の連絡等

    4.個人情報の第三者提供

    当社は、以下のいずれかに該当する場合を除き、個人情報を第三者に提供することはありません。

    1. ご本人の同意がある場合
    2. 法令に基づく場合
    3. 人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、ご本人の同意を得ることが困難であるとき
    4. 公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、ご本人の同意を得ることが困難であるとき
    5. 国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、ご本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき

    5.個人情報の取扱いの委託について

    当社は、個人情報の取扱いの全部または一部を委託することがあります。委託にあたっては、十分な個人情報の保護水準を満たしている者を選定し、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行います。

    6.開示・訂正等・利用停止等について

    当社は、ご本人に関する個人データについて開示、訂正等、利用停止等のご請求があった場合には、本人確認を実施したうえ、当該ご請求に応じます。また、個人情報の取扱いに関する苦情、相談等のお問い合わせについても受け付けます。
    ご請求、お問い合わせにつきましては、以下の「個人情報苦情及び相談窓口」までご連絡ください。

    <個人情報苦情及び相談窓口>
    株式会社イントラスト 個人情報保護管理者
    連絡先:〒102-0083 東京都千代田区麹町一丁目4番地
    電話番号:03-5213-0805
    E-mail:info@entrust-inc.jp
    (受付時間 月曜日~金曜日 祝祭日を除く 9時~18時)

    7.個人情報提供の任意性について

    当社に対する個人情報の提供は任意です。ただし、当社が必要とする情報に不足がある場合には、サービスの提供、お問い合わせへの対応等ができかねることがありますので、ご了承ください。

    8.本人が容易に認識できない方法による個人情報の取得

    当社は、本サイトにおいて、閲覧情報の分析、広告配信等を目的としてCookie(クッキー)を利用することがあります。Cookieにより記録される情報は、ご本人個人を特定するものではありません。

    制定日:2020年05月18日

    当社は、当社所定の基準に基づき、事前の告知なく、登録の解除、メールマガジンの配信停止等を行う場合があります。