2020.10.05

再婚禁止期間って?その根拠や例外・期間中に再婚する方法を紹介

手でバツを作る女性

離婚や再婚を考えている女性の中には、離婚後できる限り速やかに再婚したいと考える人も多いのではないでしょうか。

そのような女性が気をつけるべきことは、「再婚禁止期間」です。

この記事では、そもそもなぜ再婚禁止期間が定められているのかという根拠や、例外的に再婚禁止期間が適用されないケースについて解説します。


~ この記事の監修 ~

平山弁護士

青野・平山法律事務所
弁護士 平山 愛
現在の日本の夫婦は、必ずしも平等で対等な立場にあるわけではありません。経済的・社会的に弱い立場にある者の生活を守り、公平な解決となるよう心掛けています。

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1. 再婚禁止期間とは

不安を抱える一人暮らし女性

女性が再婚する場合、元夫との離婚後100日は再婚することができません。

この期間を再婚禁止期間または待婚期間(たいこんきかん)といいます。再婚禁止期間は、民法第733条にて「女は、前婚の解消または取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない」と規定されています。

詳しくは後述しますが、再婚禁止期間の日数は2016年の法改正により変わりました。時代背景や医療技術の進歩、男女平等などの観点などから、今後も更に法改正される可能性があるといわれています。

2. 再婚禁止期間の根拠は?

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なぜ、女性にのみ100日以内の再婚が禁止されているのでしょうか?

その理由を簡潔にまとめると、扶養義務を負う父親を明確にして子どもの利益・権利を保護するためです。

仮に、離婚後すぐに再婚して妊娠した場合、子どもの父親が、元夫・再婚後の夫のどちらなのかをすぐに推定することができません。これには、民法772条の嫡出推定制度が関係しています。

摘出推定制度とは、妻が婚姻中に妊娠した子どもを、法律上、夫の子どもと推定することです。また、民法772条では婚姻の成立の日から200日が経過した後」もしくは「離婚後300日以内」に生まれた子どもは、婚姻中に妊娠した子どもとして戸籍に記載する、とされています。

すると、離婚後にすぐ再婚をした場合 、元夫の子とされる期間と現夫の子とされる期間が100日間重なってしまうのです。

少しわかりにくいので、具体的に例をあげて解説します。

仮に、離婚後50日で女性が再婚し、再婚から220日後に子どもが生まれたとします。その子どもが生まれたのは再婚から220日後なので「再婚後の夫との婚姻の成立から200日が経過した後」です。

しかし、元夫との離婚から270日しか経っていないので「元夫との離婚後300日以内」でもあるのです。両方の条件を満たすため、父親を特定することが難しくなってしまいます。

こうした混乱を避け子どもを保護するために、再婚禁止期間が設けられているのです。

3. 再婚禁止期間の数え方

ノートにメモをとる女性

再婚禁止期間は、民法第733条で「前婚の解消又は取消しの日から起算して100日」と規定されています。そうすると、離婚した日を1日目として101日目には再婚できそうです。

しかし、再婚禁止期間を正確に数えるには民法140条の「初日不算入の原則」を知っておく必要があります。

民法140条では「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない」と規定されています。

つまり、民法上で何らかの期間を定める場合、対象期間の初日は原則1日目としてカウントしないということです(期間の始まりが午前0時の場合を除く)。

したがって、たとえば「再婚禁止期間が終わった瞬間に婚姻届を出そう」と決めて101日目の午前0時に提出しても、その時点ではまだ再婚禁止期間が明けていないという場合もあるのです。

そういったトラブルを避けるためにも「初日不算入の原則」は頭に入れておくと安心でしょう。

4. 守らなかったらどうなるの?

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民法で禁止されていると聞くと、万が一再婚禁止期間中に再婚した場合にはどうなるのか気になる人もいるかもしれません。

しかし、結論から言えば、罰則は特に設けられていません。

4-1.特に罰則はない

万が一再婚禁止期間を守らなかったとしても、罰則があるわけではありません。逮捕されたり、罰金を支払ったりという必要もありません。そもそも、再婚禁止期間を無視して婚姻届を提出しようとしても、窓口で受理してもらえずに返されてしまいます。

しかし、人的ミスなど 、何らかのトラブル等で万が一再婚禁止期間中に婚姻届が受理されてしまった場合には、次の項目で解説するようなことが起こる可能性があります。

4-2.守らなかった場合に起きてしまう可能性があること

もしも再婚禁止期間中に再婚したら、生まれた子どもの父親が元夫・再婚後の夫のどちらなのかを裁判所に判断されることになります。

この場合、父子関係を科学的に判断するためにDNA鑑定を行い、その結果を踏まえて父親が決められることになるでしょう。

再婚禁止期間さえ守っていれば、裁判の必要などなかったのですから、罰則がないとはいえ、再婚禁止期間を守らない場合のデメリットは非常に大きいといえるでしょう。

5. 再婚禁止期間中なのに誤って受理されることがある

びっくりする女性

原則、再婚禁止期間中の婚姻届は受理されませんが、 誤って受理されてしまうこともあります。

前項のようなトラブルを避けるために婚姻届を取り消したいという場合には、取り消し請求を行うことも可能です。ただし、その時点で再婚禁止期間が終わっていたり、再婚後に女性が出産していたりするケースでは、取り消しすることはできません。

元夫との関わりをできる限り絶ちたいという強い希望がある人は特に、婚姻届の提出時点で再婚禁止期間が終わっているかどうかをしっかり計算して確認しましょう。

再婚禁止期間が確実に終わってから婚姻届を提出すれば、余計なトラブルを極力避けることができます。

6. 妊娠していなければ適用されない

思いつく女性

実は、再婚禁止期間中も例外的に再婚できるケースがあります。

そもそも、再婚禁止期間が設けられている目的は子の父親が誰かという混乱を避け、扶養義務のある父親を特定すること子どもを保護するためです。

つまり、再婚後に生まれてくる子どもが元夫の子ではないということを証明できれば問題ないということになります。離婚する時点で妊娠していなければ、その後にできる子どもは再婚後の夫の子どもであると容易に推定することが可能です。

したがって、離婚時点で妊娠していない事実が確認できる場合離婚後に妊娠したことが認められる場合(医師の証明書が必要になります)
または、元夫との婚姻中に元夫の子供を妊娠し、離婚後に出産した場合には、民法により再婚禁止期間の適用例外とされます。

子どもの父親が明確である」ことがポイントになるのです。

7. そのほかの例外

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再婚の時点で妊娠していないというケース以外にも、再婚禁止期間の例外となる場合があるので解説します。

7-1.女性が高齢である場合

女性が高齢妊娠の可能性が極めて低いといえる場合には、再婚禁止期間は適用されません。 

7-2.子宮の全摘出をしている場合

何らかの事情で子宮の全摘出をしている場合にも 、身体の構造上妊娠の可能性がありません。医療機関の診断書を併せて提出することで、再婚禁止期間が適用されなくなります。

7-3.元夫との再婚の場合

再婚禁止期間は、子どもの父親が誰かを明確にするために設けられているものです。再婚相手が元夫の場合には、父親と推定される人物は1人です。そのため、混乱やトラブルが起きるとは考えにくく、子どもに不利益が生じる可能性も低いです。

したがって、元夫と再婚するケースでも再婚禁止期間は適用されません。

8. 過去に法改正されている

アップデート

もともと、再婚禁止期間は6カ月と定められていました。

しかし「再婚禁止期間訴訟」での最高裁判決をきっかけに、2016年に法改正されています。「再婚禁止期間訴訟」とは、再婚禁止期間が日本国憲法の男女平等に反するとして女性が国に損害賠償を求めた裁判のことです。

裁判は2011年に始まり、一審・二審判決では原告の訴えが棄却されました。しかし2015年に行われた最高裁での判決で、損害賠償請求こそ棄却されたものの、再婚禁止期間のうち100日を超える部分については違憲であると認められたのです。

実は、その前の1995年にも同様の裁判は起こされていました。しかし、その際は「違憲ではない」という判決が下されたのです。

その頃から再婚禁止期間の是非を問う声があったにもかかわらず、改正されるまで20年もの歳月がかかったことになります。

9. 再婚禁止期間の問題点

喧嘩 不満 トラブル

日本の法律は明治時代に作られたものが元になっているため、現代の時代背景にそぐわないという意見も多くあります。

もちろん、再婚禁止期間が定められている民法についても同様です。明治時代の場合にはDNA鑑定もなく、当時の医療技術では妊娠の判定が困難なので、再婚禁止期間を設けることに合理性はあるかもしれません。

しかし、医療技術が進歩した現代では、妊娠中か否かを高精度で判断することが可能です。それならば、期間云々の話ではなく再婚禁止期間自体がそもそも不要なのではないかという声もあります。

実際に、先進国の多くで再婚禁止期間は廃止されています。北欧諸国は1960年代後半に、スペイン・ドイツ・フランスなどは1980年代~2000年代にかけて再婚禁止期間を廃止しました。アメリカやイギリスなど、そもそも再婚禁止期間を設けていない先進国もあるほどです。

再婚禁止期間は女性差別である・男女平等に反する等の理由から批判も集まっており、今後、日本でも更に法改正される可能性があるとみられています。

10. 再婚と子どもの戸籍について

勉強

離婚・再婚の際に子どもの戸籍がどうなるのかについては、実はあまり知られていません。ここでは、離婚時・再婚時の子どもの戸籍について説明します。 

10-1. 離婚時の子どもの戸籍

離婚をした際、親権を得た側の戸籍に子どもの戸籍が自動的に入るということはありません。親権を獲得したら母と子が同じ戸籍に入ると誤解されやすい点なので注意しましょう。

離婚すると、まず夫婦のうち「筆頭者」でない側が除籍されます。「筆頭者」とは婚姻の際に名字を変えない側のことを指します。一般的に、男性が筆頭者であることが多いようです。

筆頭者でない側は実家の戸籍に戻るか、自分が筆頭者となり新たな戸籍を作ることになります。 一般的に、新たな戸籍を作ることのほうが多いようです。

いっぽう子どもの戸籍は、何もしなければ筆頭者の下に留まり続けます。親権の有無は子どもの戸籍の移動に関係ありません。

たとえば、①父親が筆頭者、②母親に親権あり、③母親は離婚後旧姓に戻すケースの場合、何もしなければ子どもの戸籍は父親の元に留まり続けます。

子どもの戸籍を母親の下に移すには、まず子の氏の変更許可の申し立て」を家庭裁判所に行い、それが認められてから「入籍届」を提出する必要があります。

10-2. 再婚時の子どもの戸籍

再婚時に名字を変える場合には、再婚相手の戸籍に入ることになります。

しかし、前項のように離婚した母親が筆頭者となる戸籍に子どもが入っていて、その母親が再婚相手の戸籍に入るという場合、子どもが母親と一緒に再婚相手の戸籍に入ることはできません元の戸籍に子どもだけが残ることになってしまいます。

この状況を解決するには子の氏の変更」あるいは「養子縁組」をする必要があります。

「子の氏の変更」は、前項で父親のもとから母親のもとへ戸籍を移した手順と同様で、子の氏の変更許可」を家庭裁判所に申し立てた後に入籍届を提出するという流れです。

「養子縁組」を行う場合には、「子の氏の変更」と異なり、再婚相手と子どもの間に法律上の親子関係が発生するのがポイントです。養子縁組を行うことで、再婚相手が子どもを扶養する義務が発生したり、子どもが再婚相手の遺産を相続できたりするようになります。

それだけでなく、法的に親子と認められることで家族としての一体感が生まれる・再婚相手の責任感や本気度を確認できるというメリットもあります。

また、自分の子どもと再婚相手との養子縁組は、一般的な養子縁組よりも手続きが簡単です。通常の養子縁組では家庭裁判所の許可が必要ですが、このケースの養子縁組では不要です。養子縁組届という書類を提出するだけで手続きは完了します。

なお、子どもが15歳以上の場合には、「子の氏の変更許可の申立て」「養子縁組」いずれのケースも子ども自身が手続き/承諾する必要があるという点に注意してください。

そのため、子ども自身が再婚相手の名字を名乗りたくない・あるいは養子縁組をしたくないという場合には、戸籍を移すことができません。

元夫との離婚の際に旧姓に戻り、再婚の際に再婚相手の名字になるという場合には、子どもは名字を2回変更することになります。仮に15歳未満だとしても、ある程度のことが理解できる年齢の子どもであれば、名字が変わることにデリケートな反応を示すかもしれません。

戸籍の移動や法的な関係をどうするかという現実的な手続きとともに、子どもに対しての心理的配慮も忘れないようにしましょう。

(まとめ)子どもの戸籍は大事な問題!知識をもって対処しよう

ママと子供の手

再婚禁止期間は、子どもをトラブルに巻き込まないためのものです。

再婚相手と早く夫婦になりたいからと再婚禁止期間を無視すると、後々のトラブルに発展する可能性が高くなります。再婚禁止期間中と知らずに出産したため、元夫の子として出生届を提出しなければならず、提出ができないまま無戸籍となってしまう子どもも現実に存在するのです。

子どものためにも再婚禁止期間はきちんと守ること、そして正確に確認することが大切です。


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