更新日: 2023.03.03
公開日:2023.03.03
子連れ再婚で幸せな家庭を築くポイント!養子縁組はするべき?

子連れ再婚を考えている女性は、次の家庭を幸せなものにできるかと不安を抱えている場合も多いのではないでしょうか。子連れ再婚をするときには、自分と再婚相手との関係だけでなく、子どもと再婚相手がよい関係を築けるかも重要です。
また、子連れ再婚をした際に養子縁組をしたほうがよいのか、疑問に思う人もいるでしょう。今回は、子連れ再婚で幸せな家庭を築くためのポイントや必要な手続き、よくある悩みと対処法などをご紹介していきます。
~ この記事の監修 ~

青野・平山法律事務所
弁護士 平山 愛
現在の日本の夫婦は、必ずしも平等で対等な立場にあるわけではありません。経済的・社会的に弱い立場にある者の生活を守り、公平な解決となるよう心掛けています。
1. 子連れ再婚時に養子縁組はするべき?

シングルマザーが子連れ再婚をする場合、子どもと再婚相手が養子縁組をするかどうかはかなり悩むポイントですよね。
そもそも養子縁組とは、民法に基づいて法的な親子関係を成立させる制度です。そのため、養子縁組をすると再婚相手から子どもへの相続権や扶養義務が発生します。具体的には以下の通りです。
- 再婚相手は、子どもの養親となり親権を持つため子どもを養育する義務が発生する
- 子どもには、将来的に養親である再婚相手の介護をする義務が発生する
再婚相手と子どもが養子縁組をする場合、それぞれメリットとデメリットがあります。
養子縁組のメリットは、
- 実の子と同じように扶養義務と相続権を持てる
- 普通養子縁組であれば、実の親との法律的な親子関係も継続するため、実の親の扶養義務・相続権も存続する
が挙げられます。
一方、養子縁組のデメリットは、
- 生活費や教育費といった血の繋がらない子への費用を負担する義務が再婚相手に発生する
- 元夫から支払われている養育費が減額になる可能性が高くなる
が挙げられます。
養子縁組をすると、子どもの第一次的な扶養義務者は再婚相手になります。そのため、再婚相手の収入に応じて前の夫の扶養義務が軽減、またはなくなる場合があります。養育費の額が減る可能性があることは、再婚相手とともに理解しておきましょう。
子どもにとってはよい面が目立ちますが、養子縁組をする再婚相手には相当の覚悟が必要です。「養子縁組しないで再婚をする」という選択肢もあります。子どもの母親としてあまり軽々しく養子縁組を求めず、再婚相手の意向を聞きながら進めたほうがよいでしょう。
また、再婚した親が再度離婚する場合には、再婚相手との親子関係を解消する離縁の手続きが必要になります。自分だけの問題ではないので、再婚相手と一緒によく考えたうえで決断し、養子縁組を希望する場合には手続きを進めるようにしましょう。
また、養子縁組をすると子どもの名字も自動的に再婚相手のものに変わります。一方、養子縁組をしないと子どもの名字が自動的に変わることはなく再婚前のままとなります。
保育園や学校などの事情で子どもの名字を変えたくない場合は、そのままにしておいても問題はありません。名字が異なっても他の親子と変わらず、家族で一緒に生活していくことができます。しかし、実生活で支障が出たり利便性を考えたりして名字を変えたい場合もあるでしょう。
再婚相手の名字に変更したい場合は「子の氏の変更」を家庭裁判所へ申立てて、許可が下りれば役所に入籍届を出す流れになります。この手続きを踏むことで、再婚相手に扶養義務を負わせずに、相手と同じ名字を名乗ることが可能です。
2.養子縁組の種類、手続き方法は?

養子縁組には、特別養子縁組と普通養子縁組があります。ここでは、この2つの違いや手続き方法を説明します。
2-1. 普通養子縁組
普通養子縁組は、実の親との法律的な親子関係を継続したまま、再婚相手と新たな親子関係を生じさせるものです。そのため、子どもは実父母の相続人になることができます。また、再婚相手と離婚をする場合に、当事者間の協議により離縁することも可能です。
養子縁組の届出が受理されると、子どもは再婚相手の戸籍に入ることになります。戸籍上、子どもの記載は「養子/養女」となります。一般的に、普通養子縁組は子どもがある程度大きい場合や家の存続、相続対策のために行われることが多いようです。
◎手続き方法
婚姻届を提出してから、再婚相手の本籍地もしくは現住所の役所で手続きを行います。また、婚姻届と同様に、2人の証人が必要となるのであらかじめ準備をしておきましょう。
手続きの際に、養親と養子の双方に課せられた制限や満たさなければならない条件が少ないため、 再婚では普通養子縁組が選ばれやすくなっています。
2-2. 特別養子縁組
特別養子縁組は、実の親との親子関係を完全に抹消し、再婚相手と新たな親子関係を結ぶものです。そのため、子どもは実父母の相続人になることはできませんし、再婚相手と離婚をする場合でも離縁することができません。こちらも、子どもは再婚相手の戸籍に入ることになり、戸籍上の子どもの記載は「長男/長女」となります。
特別養子縁組の手続きは、以下の条件を満たさなければ認められません。
- 原則として養親が25歳以上であること
- 養子となる者が6歳未満であること
- 実親との親子関係の終了が子の利益に合致すること
一般的に、特別養子縁組は子どもが幼少である場合や、子どもの福祉(幸せ)や利益のために行われます。
◎手続き方法
先の条件を満たした上で、家庭裁判所に対して審判申立てを行います。その後、6か月間の試験養育期間を経て、家庭裁判所が特別養子縁組の可否を最終的に判断します。
3. 子連れ再婚が失敗するケース

様々な準備をして子連れ再婚をしたにもかかわらず、再婚後の生活がうまくいかなかったケースもあるようです。
ここでは、子連れ再婚がうまくいかないケースをご紹介します。
3-1. 再婚相手と子どもの仲が良好じゃない
最初はうまくいっているように見えた再婚相手と子どもでも、途中で折り合いが悪くなることがあります。子どもが思春期の場合は、反抗的になったりすることもあります。実の親でも手に負えないことが多く、再婚家庭となるとさらに問題が複雑になることがあるでしょう。
再婚相手も、子どもを大切に思って一緒に暮らしたいけれど、自分の子のように愛せないという葛藤に見舞われることがあります。しつけに対する考え方が納得いかないのに、実の親ではないから口を出せないと悩む場合もあるでしょう。
子どもと再婚相手の関係が悪化すると、自身が間に挟まれて困る場合もあるのです。
3-2. 再婚相手と金銭面の折り合いがつかない
子連れ再婚では、自身と再婚相手の金銭感覚が大きく異なる可能性があります。
- 生活するために必要なお金はどのくらいかかるのか
- 外食費や交際費、自分の趣味などに割ける自由なお金はどのくらいあるのか
- また、これらの価値観や優先順位
これらが双方で異なり折り合いがつかず、お金の問題が起きやすくなりうまくいかないケースもあるのです。
また、再婚相手が初婚の場合は、子どもがいる生活をよく理解できていません。子どもに関する出費が意外と大きいことに驚いてしまうこともあるでしょう。
4. 子連れ再婚の失敗を回避するためにやっておくべきこと

子連れ再婚をするからには幸せになりたいですよね。子連れ再婚に失敗せず幸せに暮らすためにも、再婚をする前に注意するべきことや心構え、やっておくべきことを紹介します。
4-1. 子どもとパートナーが一緒に過ごす時間を増やす
再婚を意識して交際する場合は、子どもとパートナーが一緒に過ごす時間を設け、徐々に頻度を増やしていくようにしましょう。
子どもと再婚相手があまり面識のない段階で共同生活を始めてしまうと、お互いに馴染めずにうまくいかない場合があります。再婚相手と子どもがお互いに信頼関係を築けるように、時間と機会を作ることが大切です。
よく知らない大人と一緒に暮らすことは、子どもにとって大きなストレスとなり、精神が不安定になってしまう可能性があります。また、パートナーにとっても子どもに慣れていく時間が必要です。特に、自分に子どもがいない方の場合、子どもとの生活は新しい挑戦になります。
一緒に暮らし始める前から遊んだり、会話をしたりしてお互いのことをよく理解していれば、子どもも不安にならず、パートナーも子どもとの新生活に慣れていくでしょう。
少しずつ会う頻度を増やしていく中で絆を深めていき、子どもとパートナーの信頼関係が築けていると感じたタイミングで、次のステップとして一緒に暮らしてみるようにしましょう。
同棲をせずにいきなり再婚してしまうと、後戻りができません。うまくいかずに、子連れ再婚したことを後悔したりスピード離婚に至ったり、はたまた精神的に追い詰められてしまうケースもあります。まずは、家族としてやっていけるかどうかを見るために、一緒に暮らしてみることをおすすめします。
4-2. 無理に実の親子になろうとしない
子どもと再婚相手の関係がぎくしゃくしないためにも、無理に実の親子になろうとしない心構えが大切です。
血の繋がっていない人間が一緒に暮らす場合は、どうしてもトラブルが生じてしまうことがあります。血の繋がった家族のようになろうと一生懸命になり、自分にも相手にも我慢を強いていないか、考え直しましょう。
子どもが難しい時期で、どうしてもすぐに解決策が見つからない場合は、再婚相手と子どもの間に少し距離をとってみるのもおすすめです。すぐに丸く収めようとせず、お互いに割り切って干渉しない部分を話し合って決めてもよいでしょう。慌てて解決しようとすると、どうしても良い方法が見つからず、子連れ再婚が失敗に終わってしまうケースもあるので注意が必要です。
4-3. 子連れ再婚をする前にお互いの生活スタイルを理解する
結婚前にパートナーと子どもが新生活に馴染めるかどうかを確かめるのはもちろんのこと、パートナーの生活スタイルや価値観を確認しておくのも大切です。
具体的には、
- 生活リズムにすれ違いがないか
- 家事は分担してやっていけるか
- 金銭感覚は合っているか
- 週末や休日の過ごし方
などをです。
一緒に暮らしてみてパートナーに子どものいる生活を知ってもらい、お互いに気になる点を話し合ったり相談したりすると結婚後の生活も「思い描いていたものと違う」とならずに済みます。
また、金銭面に関しては最初によく話し合い、理解し合うことが大切です。再婚する前の段階で、
- 再婚相手と金銭的な価値観が同じであるか
- 再婚相手に金銭的に余裕があるか
- 再婚相手に借金や浪費癖があるか
- 再婚相手にお金がかかる趣味があるか
などをある程度見極め、子どもの教育費や再婚後に生活を送る上で継続してかかるお金について、あらかじめ話し合っておくようにしましょう。
5. 子連れ再婚を成功させるポイント①再婚相手へのアプローチ

パートナーとの同棲を経て、再婚に向けた準備を本格的に始める際に、再婚相手となるパートナーへの接し方で心がけたいポイントをご紹介します。
5-1. 再婚相手の気持ちを考える
子連れ再婚をする際は、自分の子どものことばかり考えてしまう傾向があります。しかし、再婚相手とのコミュニケーションをないがしろにしてはいけません。
再婚相手も、血の繋がりのない子どもとの生活に戸惑いを覚えることがあるはずです。それに、あなたとの二人の時間も大切にしたいと思う瞬間もあるはず。相手の気持ちを完全に理解することは難しいかもしれませんが、相手の気持ちや立場に寄り添って接するようにしましょう。
また、再婚相手は以下のような悩みを抱えている場合もあります。
- 自分の家庭内での立ち位置や役割が計り知れない
- 子どもとの付き合いで無理をしてしまっている
- 子どもの生みの父親(母親)でないことへの折り合いの付け方
再婚相手が悩んでいるようであれば、自分から話を聞こうとする姿勢や理解をしようとする姿勢を見せることが大切です。相手が子どもに苦手意識を持ち、一緒に暮らすこと自体憂鬱になってしまったら、元も子もありません。
すぐに家族のような温かい関係を作るのは難しい場合でも、時間が解決してくれる場合があります。再婚相手の気持ちに寄り添って、よりよい環境を作るにはどのように立ち回ればよいかを考えるようにしましょう。
5-2. 再婚後の生活のイメージを明確にする
初婚のときにも、結婚後の生活をイメージすることが大切だと言われるでしょう。しかし、子連れ再婚の場合は初婚のときよりも考えなければならないことが増えます。
一例として、
- 子連れ再婚後、どこに住むか
- 休日は(子どもを含め)どのように過ごすか
- 仕事はどうするか(専業主婦(夫)か共働きか)
- 共働きの場合、子どもの保育園はどうするか
- 育児に対する姿勢はどうか
- 子どもの送り迎えや育児、家事の分担はどうするか
- 子どもにかかる費用負担はどうするか
- その他、金銭感覚があっているか
などが挙げられます。
「自身と再婚相手、子どもの3人で生活をしていく」ことを前提にイメージし、再婚相手とすり合わせをするようにしましょう。
5-3. 再婚相手の両親にも誠実な対応をする
再婚相手の親が、結婚にあまり乗り気でなく、反対されるケースもよくあります。
しかし、自分の考えや思いをご両親に誠実に伝えていくことが大切です。
例えば、
- 自身には離婚歴があり子どもがいること
- パートナーと再婚をしたい理由
- 自身とパートナーが支え合いながら、再婚後の生活も良好に送れそうであること
- パートナーと子どもの仲がよく、よい家庭を築いていけそうであること
これらを少しずつ伝えていきましょう。
あなたに対して信頼感を持ってくれますし、理解を示してくれるかもしれません。また、再婚相手の親も含めて家族で頻繁に会うと、相手の親との信頼関係を構築できるのでおすすめです。
再婚相手の親はどのようなことに不安を抱えているのか、どうして反対しているのかを考えれば、ご両親にも誠実に対応できるでしょう。
6. 子連れ再婚を成功させるポイント②子どもへのアプローチ

子連れ再婚をする際には、子どもにもきちんと説明をするようにしましょう。子どもへの接し方で心がけたいポイントをご紹介します。
6-1. 再婚をしても子どもへの愛は変わらないことをきちんと伝える
「再婚前からパートナーと子どもを会わせ、信頼関係が築けていれば再婚後も問題ない」と思いがちです。しかし、子どもは「今まで独占してきた母親が再婚相手に取られてしまう」という不安を抱えてしまいがちなのです。
子どもがいくら再婚相手のことを信頼していたとしても、母親は自分のことを愛してくれているのか不安に思ってしまったり、精神的に不安定になってしまうケースもあります。
パートナーと再婚をしても、子どものことはずっと変わらず愛していることを、きちんと自身の言葉で伝えてあげるようにしましょう。積極的にスキンシップを行うこともおすすめです。
6-2. 子どもの不安や悩みに寄りそう
子どもは環境の変化からストレスを受けやすい傾向にあります。子どもと再婚相手の関係が良好のように見えていても、なにか悩みを抱えているかもしれません。子どもは大人が思っているよりも敏感なので、子どもの心の変化に気づいてあげることが重要です。
また、子どもは家庭の外でもさまざまな変化に直面します。名字が変わるのはもちろん、引っ越しをする場合には学校も変わるため、新たな出会いもたくさんあり、環境が大きく変わります。良い子にしているからといって安心せず、子どもの様子を細かく注視しましょう。悩みがある場合は、時間をかけてきちんと子どもの声に耳を傾けます。
6-3. 元パートナーの悪口を言わない
いくら元パートナーに対して思うことがあったとしても、子どもにとっては血の繋がった親に変わりありません。元パートナーの存在も大切に扱う必要があります。
再婚相手と元パートナーを比べたり、元パートナーの悪口を言ったりすることは決してしないようにしましょう。
また、子連れ再婚で見落としがちですが、子どもは「実の親にもう会えなくなるのでは」という不安を抱えることがあります。子どもが実の親に会いたいと思うのであれば、できる限りその要望を尊重してあげるようにしましょう。ただし、面会によって子どもの心身に危害が加わる恐れがない場合に限ります。
7.子連れ再婚でよくある悩み

ここでは、子連れ再婚をするにあたり、多くの方が直面しがちな悩みを紹介します。
7-1. 子連れ再婚するときに結婚式は挙げる?
子連れ再婚の際に、結婚式を挙げるべきか悩む人も多いでしょう。
結婚式は、家族になるという意志をお互いに確認することができ、家族の一生の思い出にもなるのでおすすめです。新しい家族の門出を祝う行事でもあり、再婚相手にとっても特別な意味を持ちます。また、両者の親族が顔を合わせる機会にもなります。
大がかりなものに抵抗がある場合は、身内や近い友人だけでカジュアルな披露宴をするのもよいでしょう。家族だけで旅行を兼ねて海外ウェディングをするのもおすすめです。
結婚式を挙げる場合は、子どもの存在を尊重して子ども参加型のプログラムを決めましょう。子どもと一緒に式場に入場したり、子どもにフラワーガールをお願いしたり、夫婦だけでなく家族全員で一緒にスタートを切る決意をみせましょう。
ただし、子どもが思春期や反抗期で難しい局面に差し掛かっている場合、子どもの意見を無視して挙式したり無理やり参加させたりすることは避けるべきです。家族全員にとって最良の形は何かを話し合って決める必要があります。
7-2. 養子縁組をせずに子どもの姓は変えられる?
養子縁組をせずに、子どもの姓を再婚相手の姓に変更することはできます。
しかし、子連れ再婚をして自分が相手の戸籍に入る場合でも、子どもが自動的に再婚相手の戸籍に入るわけではありません。前述した「子の氏の変更」の手続きをしないと子どもの名字は変わらないことを理解しておきましょう。
7-3. 子連れ再婚後に再び離婚したら養育費はどうなる?
子連れ再婚をしても、再度離婚に至ってしまう場合もあるでしょう。
子どもと再婚相手が養子縁組をしている場合は、再婚相手にも養育費の支払い義務が発生します。再婚相手が養育費を払う場合は、その分前の夫の養育費は減免になることがあるでしょう。また、再婚相手との間に子どもが生まれた場合は、離婚しても実親として養育費の支払い義務があります。
もともと養子縁組をしていない場合や、離婚時に養子縁組を解消した場合は、再婚相手に養育費の支払義務は発生しません。
(まとめ)子連れ再婚をするときは、知識と思いやりもって行動しよう

新しい家族を作る際には、心配事や悩み事も多くなるかもしれません。しかし、家族になろうとしてお互いに理解と協力をすることで、幸せな家庭を作っていけるはずです。難しい問題に直面した場合は、再婚相手と子どものそれぞれの立場に立って考えてみるようにしましょう。
再婚する前にも、工夫したり確認したりできる点があります。この記事で紹介したことを参考に、大切な人と新しい家族を築くことを前向きに考えて幸せを手にしましょう。
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