更新日: 2022.04.11

公開日:2020.09.14

親権ってどのように決まる?子どものために知っておきたい基礎知識

ほほえましい親子

婚姻中の夫婦に子どもがいる場合は、両親二人が子どもの親権者として親権を持っている「共同親権」となります。しかし、日本において夫婦が離婚をする場合は「単独親権」となります。

つまり、離婚後は、父親と母親のどちらか一方のみが親権を持ち、もう一方は親権を持つことができないのです。

そのため、未成年の子どもがいる夫婦が離婚するときに、どちらが子どもを引き取るか、親権に関して話し合いをしなければなりません

夫婦がお互いに子どもを引き取りたいがために親権争いに発展し、なかなか離婚が成立しない…というケースも少なくないのです。

この記事では、そもそも親権はどのような権利なのか、またどのように親権者を決めるべきなのかといった基本的な知識や、親権者を決めるときに参考になる裁判所の判断基準について解説します。


~ この記事の監修 ~

横倉行政書士

行政書士鷹取法務事務所
行政書士 鷹取 雄一
平成16年の開業当初から現在に至るまで、予防法務の分野に注力し、離婚協議書や結婚契約書の作成を得意としている。

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1. そもそも親権ってどんな権利?

考える女性

親権は、「子どもの利益のために、子どもを監護養育、また財産を管理し、子どもの代理人として法律行為をする権利義務の総称」と定義されています。

ここでの子どもの利益は「子どもが心身ともに健やかで健全に成長し、幸せであること」と捉えておくとよいでしょう。

そのため、親権を持つ親は、子どもの健やかな成長と幸せのために、責任をもって子どもの面倒を見る義務があります。

もし、親権者なのに子どもの面倒を見なかったり(育児放棄)、子どもに暴力をふるう虐待などがみられ、子どもの利益を害する場合、親権者としての義務に反していることになります。

このような状況、かつ関係者から家庭裁判所に申立てがあった場合は、家庭裁判所の判断の下、親権停止、あるいは親権喪失となることもあります。

【2022/3/15追記】
2022年4月の民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます

これまで親権は20歳まで持てる権利でしたが、民法改正に伴い、親権を持てる期間も18歳までに引き下げられます。親権は何歳まで持てるのか、疑問に思ったときのために「親権は成人(18歳)まで」と覚えておくと良いでしょう。

2. 親権を持つとできることは?

マルマークと少女

親権は、親が子どもの利益のために果たすべき義務を行う権利と言えますが、親が果たすべき義務にはどのようなものがあるのでしょうか?

例として、以下のようなことがあります。

  • 子どもに衣食住を提供する
  • 子どもを健全に育てる
  • 子どもを危険から守る
  • 子どもに教育しつけをする
  • 子どもに適切な医療を提供する
  • 子どもにお小遣いをあげる
  • 子どもの財産を管理する
  • (必要に応じて)子どもの代理人として法的な手続きを行う

親権を単に「子どもと一緒に暮らす権利」と考えている方も多いようです。もちろん子どもと一緒に暮らす権利も含まれていますが、それ以外に複数の権利や義務があることがわかります。

親権に含まれる権利は、主に財産管理権身上監護権の2つに分けられます。先ほど挙げた親権者の権利や義務の例も、財産管理権と身上監護権のどちらかに含まれるのです。

ここでは、それぞれの権利について確認していきます。

2-1. 財産管理権

子どもの財産を管理する権利を財産管理権といいます。

子どもの財産とは、具体的に、子どもの所有している現金子ども名義の預金その他資産全般を指します。親権者は、未成年の子どもに代わってこれらの財産を管理することができるのです。

また、子どもの代理人として法律行為を行うことができる、法律行為の同意権もこちらに含まれます。

親権者はこの権利を行使して子どもを保護し、子どもの財産を守る義務もあります。

2-2. 身上監護権(監護権)

身上監護権は、子どもの心身の成長を図るため、身の回りの世話をしたり、教育したりする権利のことで、身上監護権を略して監護権ということもあります。

身上監護権には、以下4つの権利が含まれます。

  • 居住権:子どもの居所(生活するところ)を定めること
  • 懲戒権:子どものしつけをすること
  • 職業許可権:子どもが職業を営むことを許可すること
  • 身分行為の代理権:婚姻の成立や養子縁組などいった子どもの身分行為を代理すること

財産管理権と同様に、この権利に基づき子どもを保護し、子どもの成長を助けるという義務の側面もあるのです。

3. 親権と身上監護権は分けて持つことができる!

親子の手

監護権を持つ親のことを監護権者といいます。

親権の中には身上監護権(監護権)がありますが、親権から監護権を切り離し、親権と監護権を父親と母親で分けて持つこともできます。なお、親権から監護権を分けて持つ場合に、監護権を持つ親のことを監護権者といいます。

決して多くはありませんが、親権者が父親、監護権者が母親というケースもあるみたいですよ。

もし、親権と監護権に分けて持つ場合は、親権者が財産管理権を有することになります。そのため、親権者が子どもの法定代理人として法律行為を行うことができます

一方、監護権者は、子どもの代理人として法律行為を行うことができないので、注意しましょう。

4. どちらが親権を持つ?親権者の決め方

考える女性

親権者は、基本的にお互いの合意の下、話し合いで決めます

親権者を決めるための基準や条件は、法律上定められていないため、話し合いで自由に親権者を決めることができます。

なお、親権者を決める際には、子どもの親権者にはどちらが相応しいのか、子どもの利益を優先する観点から話し合いすることが求められます。

親権者を決める判断材料として、

  • 監護養育の実績はあるか
  • 子どもを養育するための環境は整っているか、
  • 子どもを育てていくための経済力はあるか
  • 子どもの意志

一般的にはこれらが挙げられます。詳しくは「6. その他重要とされる判断基準」で解説します。

5. 親権者を定めるときの裁判所の判断基準

本を読む親子

親権者が話し合いで決まらなかった場合、調停裁判で親権者を決めることになります。

裁判で親権を決める際には「子どもの福祉に適う方が親権者に適切」、すなわち「子どもがより幸せ心身ともに健やかに成長できる方が、親権者として相応しい」という観点から総合的な評価を行い、親権者を決めることになります。

この章では、親権を決定するにあたって裁判所の代表的な判断基準をご紹介します。

5-1. 母親の優先

子どもには、特段の事情がない限り「子どもの年齢が低いほど、母親の細やかな愛情が不可欠」という考えをされやすい性質があります。

そのため、母親優先の考えは、子どもが乳幼児のときに重視されます。

5-2. 現状の尊重(監護の継続性)

これは、子どもの現在の生活環境が大きく変化することを回避し、できるだけ現状を維持することを尊重する考え方です。たしかに幼い子どもにとって、取り巻く環境がガラッと変わってしまうとかなり負担になりますよね。

子どものためにも、現在の監護状況とそれを継続させることが非常に優先されるため、かなり重要な判断基準といえます。

同様に、これまでの監護実績も重要になります。監護実績と現在の監護状況、共に母親の方が担ってきたケースが多くみられるため、母親が親権を取るケースが多くみられるのです。

5-3. 子どもの意思の尊重

親権者を決める際に子どもが15歳以上の場合は、裁判所は子ども本人の意思を聴取することが法律上定められています。

そのため、裁判官による聴取や家事調査官の調査により子どもの意思確認を行うことがあります。

子どもが15歳に満たないときには、本人の意思を聴取する義務はありませんが、実際には子どもが10歳あたりから子どもの意思を尊重することが多いようです。

5-4. 兄弟不分離

当たり前のことですが、裁判所は子どもの幸せや生活の安定性を何より優先しますので、一緒に暮らしている兄弟姉妹は分かたれるべきではないと考えています。

たしかに、今までずっと寝食を共にしてきた兄弟姉妹と突然離れ離れになってしまったら、ショックを受けますよね。

6. その他重要とされる判断基準

手をつなぐ親子

前章で裁判所の代表的な判断基準を紹介しましたが、それ以外にも判断基準はあります

ここでは、話し合いで親権を決める際に重視すべきポイントをご紹介します。

6-1. 面会交流に対する考え方

親権者を決める際に、「フレンドリーペアレントルール」も考慮すべき基準とされています。

フレンドリーペアレントルールとは、離婚後であっても子どもの親として他方の親と良好な関係を継続させることが、より親権者として相応しい、とする考え方です。

そのため、子どもと親権を持たない親との面会交流に協力的であることや、面会交流に対して前向きな姿勢を持っているほうが良いとされる考えもあります。

6-2. 子どもを育てていくための経済力はあるか

離婚後は、親権者ひとりの収入で子どもを育てていかなければなりません。子どもをひとりで育てていくために十分な経済力があるかは、非常に重要なポイントとなります。

専業主婦だと親権を決めるときに不利になるのでは?と不安に思う方もいるかと思います。専業主婦でも親権を取れるケースもありますので、お悩みの方は以下の記事を参考にしてみてください。

(関連記事)子連れで離婚したい専業主婦が準備すべきこと!養育費をもらうためには?

6-3. 子どもを育てるために十分に健康であるか

保育園や幼稚園の送り迎えや家事、育児など、子どもを育てていくためには親権者自身が健康でなければなりません

日々の子育てはもちろん、休みの日は子どもと遊びに出かけたり、子どもの緊急時にすぐに駆け付けられるような体力体制が整っている必要があります。

6-4. 住居環境は整っているか

当たり前のことですが、親権者と子どもが共に暮らしていくためには、住む場所が必要になります。

現在の住居から出ていく場合は、子どもも安心して住めるような物件を新たに探さなければなりませんし、現在の住居に住み続けるなら、その環境を維持できるかが問われるでしょう。

住居はただ住めるだけでなく、安全に十分に配慮されているか衛生的であるかも非常に重要であると言えます。

6-5. 子どもへの深い愛情はあるか

子どもに対して深い愛情を持っているかどうかが重要なことは、言うまでもありません。

6-6. 監護補助者がいるか

親権者が、仕事や急病などいった事情で看護・養育ができない場合に、親権者以外に子育てを手伝ってくれる人監護補助者が身近にいるかどうかも重視すべきです。

近所に親権者の両親や親族、頼れる友人がいる場合には、いざといったときにも子どもを任せることができ、安心できます。

7. 話し合いで親権者が決まらないときは?

話し合う男女

親権者は自由に決められると解説しましたが、話し合いだけでまとまるとは限りません。親権をめぐって争いに発展してしまい、収束の糸口が見えなくなってしまうことも少なくないのです。

話し合いで親権者が決まらないときには、家庭裁判所に調停を申し立てて親権者を決めることになります。

調停でも折り合いがつかず審判に移行し、それでも親権者が決まらず不成立となることもあります。その場合、最終的な手段として裁判を申立て、どちらが親権を持つかを決めます。

つまり、親権者は、協議(話し合い)調停裁判のいずれかによって決定します。

では、この「協議」や「調停」「裁判」では、どのように親権が決まるのでしょうか。親権が決まるまでの流れを具体的にご説明します。

7-1. 親権の決め方①協議

協議では、言葉のとおり父親と母親はどちらが親権を持つかを相談し、話し合いで決めます。なお、離婚届には親権者を記入する欄があり、親権者が決定していなければ離婚届は受理されません。

親権について折り合いがつかず、子どもを連れ去り別居を強行してしまうケースもあるようです。ですが、これは刑法の「未成年者略取罪」に該当する可能性があります。

こういった場合は親権者監護権者分けて、それぞれが子どもに関する権利を持ち、離婚を成立させることも可能です。親権者が決まらない場合の解決策として覚えておくとよいでしょう。

なお、日本では話し合いで親権を決める協議離婚が、全離婚件数の約9割を占めています。親権についてはお互いに納得のいく決定をした上で別居を始めるようにしましょう。

7-2. 親権の決め方②調停

裁判所の調停では、裁判官、調停委員、家事調査官といった第三者をはさんで間接的な話し合いを行い、親権を決めます。

調停における話し合いの場では、原則夫婦は同席しません。2名の調停委員が別室にいる夫婦の意見を交互に聞いて、言い分を調整し、親権の決定を図ります。話し合いにより解決を図るという点では、協議離婚と共通していますね。

ちなみに、調停委員とは、裁判所が任命する非常勤の裁判所職員のことです。弁護士、司法書士、その他専門職から選考され、年齢は原則40歳以上~70歳未満とされています。

7-3. 親権の決め方③裁判

家庭裁判所の調停が不成立に終わってしまうと、最終的な手段として裁判を検討するほかありません。

裁判では、これまでの子育ての実績や経済状況など、裁判所に認定された事実を元に、どちらが親権者に相応しいか家庭裁判所の裁判官が決定します。

裁判をスムーズに進めるために、弁護士に相談してみるのが良いでしょう。

8. 親権は決定後に変更することもできる!けど・・・

手をつなぐ親子

親権者は決定した後も変更することができます。しかし、一度決めた親権者は夫婦の話し合いだけでは変更できません

さらに、子どもの幸せや子どもが心身ともに安定した生活を送れるようにすることを優先する観点から、親権はむやみに変更すべきではないとされています。

確かに、話し合いだけで、かつ頻繁に親権者を変更してしまうと、生活環境の変化により子どもに悪影響を及ぼしかねません。 そのため、親権者の変更は、合理的な理由があるときに認められ、簡単に変更することはできないのです。

具体的には、

  • 「親権者が病気になり子どもを育てられる状況ではなくなった」
  • 「親権者の経済状況が悪化し、監護補助者もいない」
  • 「再婚相手からのDV虐待など、暴力を受けていて命にかかわる」

など、子どもと生活を送ることが難しくなった場合には、変更が認められる可能性が高いのです。

親権者の変更を希望するときには、家庭裁判所に親権者変更調停の申立てを行うことになります。

親権者変更調停は、離婚のときと同じく「どちらが親権者になる方が子どもの福祉(幸せ)に適うのか」という観点から判断されることになります。

(まとめ)子どもの幸せが最優先。納得のいく選択を

ハートとてのひら

親権者を決めるときには、子どもの安全安定した生活幸せを何より優先しなくてはならないことがポイントです。

もし、親権を得られなかったとしても、親子の縁が切れることはありません。養育費を支払う義務はありますし、面会交流を求める権利もあります。

養育費や面会交流に関する内容は、後々のトラブルを回避するためにも、離婚協議書公正証書を作成し、きちんと取り決めをしておきましょう。


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