2020.09.14

親権ってどのように決まる?子どものために知っておきたい基礎知識

ほほえましい親子

<最終更新日 2020.11.23>

未成年の子どもがいる夫婦が離婚するときに、どちらが子どもを引き取るか、親権に関する問題を避けて通ることはできませんよね。

夫婦がお互いに子どもを引き取りたいがために、親権争いに発展することも少なくありません。

親権はどのように決めるべきなのか、そもそもどのような権利なのかなど、基本的な知識や、親権者を決めるときに参考になる裁判所の判断基準について解説します。


~ この記事の監修 ~

横倉行政書士

行政書士鷹取法務事務所
行政書士 鷹取 雄一
平成16年の開業当初から現在に至るまで、予防法務の分野に注力し、離婚協議書や結婚契約書の作成を得意としている。

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1. そもそも親権とは?

考える女性

親権を単に「子どもと一緒に暮らす権利」と考えている方も多いようです。もちろん子どもと一緒に暮らす権利も含まれていますが、それ以外に複数の権利が含まれているのです。

親権は、「子どもの利益のために、子どもを監護養育し、財産を管理し、子どもの代理人として法律行為をする権利義務の総称」と定義されています。

つまり、親権とは、子どもが心身ともに健やかに成長するために、子育て教育をしたり、必要に応じておこづかいをあげたり、貯金の管理をするなどといったお金の管理をする権利であり、相続などの法的な手続きが必要である場合、子どもの代理人として行うことが認められているのです。

婚姻期間中は、両親が親権者として親権を持つ共同親権となります。しかし、離婚する場合は、父親と母親のどちらか一方が親権を持つことになるため、事前に親権者を決めなくてはいけません。

親権に含まれる権利は、主に財産管理権身上監護権の2つに分けられます。それぞれの権利について、確認していきましょう。

1-1. 財産管理権

子どもの財産を管理する権利を財産管理権といいます。子どもの財産とは、具体的に、子どもの所有している現金子ども名義の預金その他資産全般を指します。

親権者は、未成年の子どもに代わってこれらの財産を管理することができるのです。また、親権者はこの権利を行使して子どもを保護し、子どもの財産を守る義務もあります。

1-2. 身上監護権(監護権)

身上監護権は、子どもの心身の成長を図るため、身の回りの世話をしたり、教育したりする権利のことで、身上監護権を略して監護権ということもあります。

子どもの居所(生活するところ)を定めること、子どものしつけをしたり、子どもが職業を営むことを許可すること、婚姻の成立や養子縁組などいった子どもの身分行為を代理することも身上監護権に含まれます。

財産管理権と同様に、この権利に基づき子どもを保護し、子どもの成長を助けるという義務の側面もあるのです。

2. 親権と監護権を分けることができるの?

親子の手

監護権を持つ親のことを監護権者といいます。

監護権は親権の中に含まれているため、親権者=監護権者ということになりますが、親権から監護権を切り離し、それぞれの権利を父親と母親が分けて持つこともできるのです。

そのため、親権者をめぐって親権争いに発展してしまい終息の糸口が見えないときには、親権者監護権者分けてそれぞれが権利を持つ、という折衷的な解決方法もあるのです。

決して多くはありませんが、親権者が父親、監護権者が母親というケースもあるみたいですよ。

3. どのように親権者を決めるの?

考える女性

親権者を決めるための基準や条件は、法律上定められていません。そのため、話し合いによって親権者を決めます。

これから子どもを育てていく責任がある親の立場としては、子どもの親権者としてどちらが相応しいのか、様々な要素を考えて、子どもの利益を優先する観点から話し合いすることが求められます。

一般的には、監護養育の実績、つまり実際に子どもを育てている実績があるか、子どもを養育するための環境は整っているか、子どもを育てていくための経済力はあるか、さらに、子どもの意志などが親権を決める判断材料となります。

4. 話し合いがまとまらないときは?

話し合う男女

親権者は自由に決められると解説しましたが、話し合いだけでまとまるとは限りません。何度も言っているように、親権争いに発展することも少なくないのです。

話し合いにより親権者が決まらないときには、家庭裁判所に調停を申し立てて親権を決めることになります。

調停でも親権が決まらず不成立となると、最終的な手段として裁判を申立て、どちらが親権を持つかを決めるのです。

つまり、親権者を決定するのは、協議(話し合い)、調停裁判のいずれかになります。では、この「協議(話し合い)」や「調停」「裁判」では、どのように親権が決まるのでしょうか。親権が決まるまでの流れを具体的にご説明します。

4-1. 協議(話し合い)

協議では、言葉のとおり父親と母親はどちらが親権を持つかを相談し、話し合いで決めます。

そもそも日本では協議離婚の件数が非常に多く、離婚全体の約9割を占めています。そのため、親権は離婚協議中に当人同士の話し合いにより決められており、話し合いで親権を決める世帯の割合は、全離婚件数の約9割にものぼるということになります。

なお、離婚届には親権者を記入する欄があり、親権者が決定していなければ離婚届が受理されません。

4-2. 調停

裁判所の調停では、裁判官、調停委員、家事調査官といった第三者をはさんで間接的な話し合いを行い、親権を決めます。

つまり、調停における話し合いの場では、原則夫婦は同席しないのです。2名(男性女性、各1名)の調停委員が別室にいる夫婦の意見を交互に聞いて、言い分を調整し、親権の決定を図ります。

話し合いにより解決を図るという点では、協議離婚と共通していますね。ちなみに、調停委員とは、裁判所が任命する非常勤の裁判所職員のことです。

弁護士、司法書士、その他専門職から選考され、年齢は原則40歳以上~70歳未満とされています。

4-3. 裁判

裁判では、これまでの子育ての実績や経済状況など、裁判所に認定された事実を元に、どちらが親権者に相応しいか家庭裁判所の裁判官が決定します。

家庭裁判所の調停が不成立に終わってしまうと、最終的な手段として裁判を検討するほかありません。

5. 裁判所の判断基準は?

本を読む親子

裁判においては「子どもの福祉に適う方が親権者に適切」か、すなわち「どちらが親権者になる方が、子どもがより幸せ心身ともに健やか文化的、かつ愛情を受けながら成長できるか」という観点から総合的な評価を行い、親権者を決めることになります。

この章では、親権を決定するにあたって裁判所の代表的な判断基準をご紹介します。

5-1. 母親の優先

これは、子どもが乳幼児のときに重視される判断基準です。

子どもには、特段の事情がない限り「子どもの年齢が低いほど、母親の細やかな愛情が不可欠」という考えをされやすいのです。

5-2. 現状の尊重(監護の継続性)

これは、子どもの現在の生活環境が大きく変化することを回避し、できるだけ現状を維持することを尊重する考え方です。

たしかに幼い子どもにとって、取り巻く環境がガラッと変わってしまうとかなり負担になりますよね。子どものためにも、現在の監護状況とそれを継続させることが非常に優先されるため、かなり重要な判断基準といえます。

同様に、これまでの監護実績も重要になります。監護実績と現在の監護状況、共に母親の方が担ってきたケースが多くみられるため、母親が親権を取るケースが多くみられます。

5-3. 子どもの意思の尊重

子どもが15歳以上のときは、裁判所は子ども本人の意思を聴取することが法律上定められています。

そのため、裁判官による聴取や家事調査官の調査により子どもの意思確認を行うこともあります。

子どもが15歳に満たないときには、本人の意思を聴取する義務はありませんが、実際には子どもが10歳あたりから子どもの意思を尊重することが多いようです。

5-4. 兄弟不分離

当たり前のことですが、裁判所は子どもの幸せや生活の安定性を何より優先しますので、一緒に暮らしている兄弟姉妹は分かたれるべきではないと考えています。

たしかに、今までずっと寝食を共にしてきた兄弟姉妹と突然離れ離れになってしまったら、ショックを受けますよね。

6. その他の判断基準

手をつなぐ親子

前章で裁判所の代表的な判断基準を紹介しましたが、それ以外にも判断基準はあります

例えば、

  • 面会交流に対する考え方
  • 子どもを育てていくための経済力はあるか
  • 子どもを育てるために十分に健康であるか
  • 住居環境は整っているか
  • 子どもへの深い愛情はあるか
  • 親権者が仕事などで養育ができない場合、子育てを手伝ってくれる監護補助者(ご自身の母親など)がいるか

などです。

7. 決定後に変更することもできる!けど・・・

手をつなぐ親子

親権者は決定した後も変更することができます。しかし、一度決めた親権者は夫婦の話し合いだけでは変更できません

さらに、子どもの幸せや子どもが心身ともに安定した生活を送れるようにすることを優先する観点から、親権はむやみに変更すべきではないとされています。

確かに、話し合いだけで、かつ頻繁に親権者を変更してしまうと、生活環境の変化により子どもに悪影響を及ぼしかねません。 そのため、親権者の変更は、合理的な理由があるときに認められ、簡単に変更することはできないのです。

具体的には、

  • 「親権者が病気になり子どもを育てられる状況ではなくなった」
  • 「親権者の経済状況が悪化し、監護補助者もいない」
  • 「再婚相手からのDV虐待など、暴力を受けていて命にかかわる」

など、子どもと生活を送ることが難しくなった場合には、変更が認められる可能性が高いのです。

親権者の変更を希望するときには、家庭裁判所に親権者変更調停の申立てを行うことになります。

親権者変更調停は、離婚のときと同じく「どちらが親権者になる方が子どもの福祉(幸せ)に適うのか」という観点から判断されることになります。

(まとめ)子どもの幸せが最優先。納得のいく選択を

ハートとてのひら

親権者を決めるときには、子どもの安全安定した生活幸せを何より優先しなくてはならないことがポイントです。

もし、親権を得られなかったとしても、親子の縁が切れることはありません。養育費を支払う義務はありますし、面会交流を求める権利もあります。

養育費や面会交流に関する内容は、後々のトラブルを回避するためにも、離婚協議書公正証書を作成し、きちんと取り決めをしておきましょう。


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