更新日: 2022.10.25
公開日:2020.07.06
離婚準備の有無で今後の生活が変わる?後悔しないために準備するべきこと

離婚を考えている人の大半は、離婚準備を何から始めればいいのか、またどのような手順で離婚手続きを進めればいいのか、そもそもどういった準備をするべきかなど、離婚準備についてわからないことが多いのではないのでしょうか。
そもそも、離婚するのに何か準備するべきなの?と考えている方もいるかと思います。
離婚に向けてきちんと準備をした人とそうでない人では、離婚後の生活に大きく違いが出てきます。離婚後になるべく苦労をしないためにも、万全に準備をした上で離婚協議に進むべきです。
この記事では、離婚準備で行うべきことや離婚を進めていく手順、離婚準備を行う上で考えたいこと、注意したいポイントなど、離婚準備について解説していきます。
~ この記事の監修 ~

スタートライン行政書士事務所
行政書士・夫婦問題カウンセラー 横倉 肇
離婚専門行政書士として、年間100件以上の離婚相談・養育費未払い防止の為の離婚公正証書作成を行っております。
1. 離婚準備で必要な5つのポイント

「離婚をしたい」と思った際に、相手に離婚を切り出す前に準備しておくべきことがあります。ここでは、相手に離婚を切り出す前にしておくべき離婚準備について説明します。
1-1. 離婚準備①離婚したい理由を明確にする
なぜ離婚を検討しているか理由を明確にするために、離婚したいと思ったきっかけや出来事、どうしてそう思ったのか、どのくらい前から悩んでいるのかなど、今一度自分を振り返りましょう。何から手を付けたらいいかわからないという方も、まずはここから離婚準備を始めるべきです。
離婚したい理由を明確にする方法がわからない方は、なぜ離婚したいのか?なぜそのように思ったのか?などと「なぜ?」を繰り返していき、自分でも認識していなかった原因や理由を明らかにする「なぜなぜ分析」がおすすめです。
できれば、離婚を考えた理由や過程を簡潔に説明するためのメモを作成しておくと安心です。このようなメモがあると、相手へ離婚を切り出したときに、自身が思っていることを理路整然と伝える際の助けになります。
相手に離婚したい旨を誤解なく明確に伝えるには、自分の考えていることや気持ちの整理を事前にしておくことマストです。理由を明確にしたときに、何らかの形で解決・改善できると感じた場合には、再構築を検討してみるのも良いでしょう。
それでも離婚をするしか解決策がない場合には、ここで離婚をする覚悟を決めましょう。
1-2. 離婚準備②一般的な離婚の進め方について知る
離婚したい理由を明確にし、離婚することへの覚悟が決まったら、次に離婚手続きはどのような流れで進んでいくのかをざっくりと把握しましょう。以下は一般的な離婚の進め方です。
- 離婚準備が整ったら、相手に離婚を切り出す
- 相手から離婚の合意を得られたら、離婚条件について話し合う
- 離婚条件が決まったら、決定事項を書面にする
- 離婚届を提出し、離婚成立
離婚条件は、基本的に相手との話し合い(協議)によって決めます。ですが、条件の折り合いがつかなかったり、話が平行線になる場合は、調停を申し立て、調停委員という第三者を交えて調停での協議を進めます。それでも解決しない場合は、裁判へと進みます。協議・調停・裁判については、「3. 離婚準備を終え、離婚を成立させるまでの一連の流れ」で詳しくご説明します。
1-3. 離婚準備③法廷離婚事由にあたる場合、証拠を集める
法廷離婚事由とは、離婚裁判の申し立てをする際に必要となる5つの理由(原因)のことをいいます。相手が法廷離婚事由にあたる行為をした場合、慰謝料を請求できる可能性もあります。法廷離婚事由は以下の通りです。
法廷離婚事由 | 例 |
不貞行為が認められたとき | 不倫、配偶者と不倫相手の間に子どもができた など |
悪意の遺棄があるとき | 生活費を渡さない、同居拒否 など |
相手の生死が3年以上明らかでないとき | 突然家を出たまま3年以上消息が掴めない など |
相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき | – |
その他に婚姻生活を続けることが困難な重大な事由があるとき | DV、モラハラ など |
離婚を検討する理由がこれらに当てはまる場合、家庭裁判所に離婚裁判を申し立てることができます。ですが、離婚裁判を申し立てるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- すでに調停を申し立て、不成立となっている
- 法廷離婚事由の証拠の提出
証拠の具体例としては、現場の写真・動画、音声データ、日記やブログ、メール、医師の診断書などが上げられます。証拠は必ず押さえるようにしましょう。
離婚を検討する理由が法廷離婚事由に絡む場合、自分一人で解決するには時間も手間もかかるうえ、状況がこじれてしまう可能性もあります。スムーズな解決のためにも、弁護士などの専門家に早めに相談するようにしましょう。
なお、離婚理由で最も多い「性格の不一致」は、法廷離婚事由に該当しません。そのため、慰謝料請求が認められることはほとんどありません。
1-4. 離婚準備④離婚後の生活をイメージし、収入源や居住地の確保をする
離婚後に一人でも暮らしていけるように、離婚後の生活をイメージし様々な準備を進めるようにしましょう。具体的には、以下のようなことを考える必要があります。
- 離婚後の住まいはどうするか
- 現在の収入や貯金で生活費などを賄うことができるか
- 賄うことが難しい場合、どのように生計を立てるか
- 専業主婦の場合、就職先はどうするのか
- すでに働いている場合、現在の仕事を続けるか転職するか
- 子どもがいる場合、日中預けられる先があるか
- 子どもがいる場合、現在通っている学校はどうするか
- 子どもがいる場合、今後の進路はどうするか など
実家を頼れる場合は、なるべく早く両親に事情を話し、自身が実家に戻る了承を得るようにしましょう。そうでない場合は、離婚後に住む物件を借りなければなりません。物件探しや引越し業者の手配、入居手続き、引越し費用の準備などを行う必要があります。
引越しの初期費用は、家賃の4.5~5倍程度の金額がかかると言われています。かなり大きな金額になるため、コツコツと貯金するなどして工面しなければなりません。
また、物件を探し始めてから入居日を迎えるまで、平均2~3ヵ月かかります。物件探しや入居手続きは、遅くても早くてもいけません。離婚による転居のため入居タイミングが変わる可能性があることなど、前もって不動産屋に事情を伝えるなどして相談しておくと良いでしょう。
離婚後は、自分一人で生活費を賄わなければなりません。1ヵ月あたりでどのくらいの生活費がかかるのかを改めて確認し、どのくらい足りないのか、補うためにはどうするべきかをご自身の状況に合わせて考えていく必要があります。
子どもと一緒に生活をする場合、子どもの生活費に加え教育費や娯楽費など、よりお金がかかります。進学時には制服や教材も買わなければなりません。費用をどのように工面するか、子どもの進路も含めて早めに考えておくようにしましょう。
1-5. 離婚準備⑤離婚条件や請求できるお金、共有財産を明確にする
離婚をするときには、請求できるお金のことや共有財産がある場合は分け前をどうするかなど、決めなければならないことが多くあります。以下は、離婚時に決める項目の一例です。
- 婚姻費用
- 年金分割
- 財産分与
- 慰謝料(相手が有責配偶者の場合)
- 親権(夫婦間に子どもがいる場合)
- 養育費(夫婦間に子どもがいる場合)
- 面会交流(夫婦間に子どもがいる場合)
実際にパートナーと離婚協議をする際、スムーズに話し合いが進むように自分の希望をあらかた決めておくようにしましょう。各項目の詳しい説明は、「4. 離婚時に決めるべき条件」でご紹介します。
2. 離婚宣言に適していないタイミングとは?

いざ離婚手続きを進める際に、第一関門となるのが「相手に離婚を切り出す」こと。
早く離婚したい!という気持ちが先行してしまい、十分な離婚準備ができていない状態で離婚を切り出してしまうことは非常に危険です。自身に不利な条件で離婚が成立してしまったり、揉めてしまい離婚協議が長引いてしまう可能性が高く、良いことが全くありません。
ここでは、離婚を切り出す際に適していないタイミングをご紹介します。
2-1. 離婚したい理由が明確になっていない
当たり前のことですが、相手に離婚したい理由を明確に伝えることは非常に重要です。
離婚したい理由が明確になっていない状態で離婚を切り出しても、相手は納得しないでしょうし揉めかねません。場合によっては、結局離婚できずにただ夫婦関係がぎくしゃくしたまま終わる可能性もあります。
相手に話を聞いてもらい円満に離婚協議を進めるためにも、離婚したい理由を明確にし、理路整然と伝えられるように必ずまとめておくようにしましょう。
2-2. 法廷離婚事由があるのに証拠を押さえてられていない
相手の不倫やDV、モラハラなどが原因で離婚をしたくても、証拠がないと事実として認められません。そのため、証拠がないまま相手を問い詰めたとしても事実を認めなかったり、はぐらかされてしまいます。最悪の場合、「そんなことはしていないのに疑われた」と自分に矛が向く危険性もあります。
証拠をつかめていないまま離婚宣言してしまうと、メールやLINEの履歴などといった証拠となりえるものを全て削除されてしまうでしょう。そうなってしまうと証拠の確保は至難の業です。
離婚協議や調停が難航し、裁判離婚に進む場合には、裁判所から離婚原因となる証拠の提出を求められます。そのため、証拠がない場合はそもそも法廷では離婚が認められないため、離婚すらできなくなってしまうのです。
また、相手の不倫やDV、モラハラなどが原因で離婚をする場合、基本的には慰謝料を請求することができます。しかし、不倫やDV、モラハラなどの証拠がない場合は、慰謝料請求をすることができません。
なぜなら、証拠がないとその事実を証明することができず、そもそも慰謝料を請求できる権利すら得られないためです。請求できたはずの慰謝料がそもそもなかったことになってしまった…ということが無いように、離婚を切り出す前に証拠をしっかりつかんでおきましょう。
2-3. 離婚後、ひとりで生活できる目処が立っていない
離婚理由も明確にし、証拠も押さえたからといって安心してはいけません。離婚後、一文なしで新生活のスタートを切ることが無いよう、金銭的な見通しをしっかりと立てておく必要があります。
- 自身が生活を送るために必要な収入はどのくらいなのか
- 収入がない場合はどのように収入を確保するのか
- 離婚後の居住地はどうするのか
などをしっかりと考えておけば、今後の見通しが立つだけでなく、パートナーから聞かれた際にはっきりと伝えることができ、離婚することへの本気度をアピールできます。
なお、自治体にはひとり親を対象とした助成金や手当制度などの公的サービスがあります。
活用できるものは活用するべきですが、助成を受けるためには各自治体で設定された受給条件を満たしている必要があります。公的サービスを頼りにしていたが、受給条件を満たしていなくて途方に暮れてしまった…ということが無いよう、ある程度の貯蓄や収入をご自身で確保しておくべきです。
2-4. 例外:パートナーから暴力を受けているケース
これまで、前述した項目の準備が整うまで離婚を切り出してはならない、とご説明しましたが、例外があります。
それは、
- 相手からDV、モラハラを受けている場合
- その他、自身や子どもの生命に危害が加わる恐れがある場合
- その他、自身や子どもに精神的な危害が加わる恐れがある場合
です。
自身や子どもの身に危険が及ぶ場合は、実家に避難するか、緊急一時保護を引き受けてくれる母子生活支援施設(DVシェルター)を利用するなど、早急にパートナーと別居し物理的な距離を置くようにしましょう。
前述の離婚準備も大切ですが、それで心身ともにボロボロになってしまったら元も子もありません。パートナーと距離を置いた上で、行政や専門家に相談をしつつ離婚準備を進めるようにしましょう。
3. 離婚準備を終え、離婚を成立させるまでの一連の流れ

離婚について話し合いをする際は、「協議」→「調停」→「裁判」という段階を踏んで進めていくことになります。
この話し合いでは、慰謝料や別居期間中の婚姻費用、財産分与、子どもの親権や養育費、面会交流権などを相手と決めていきます。そして、最終的に取り決めたことは、協議離婚の場合は離婚協議書や公正証書に、家庭裁判所で取り決めた場合は調停調書や和解調書などといった書面にまとめます。
ここでは、協議や調停、裁判について詳しく説明します。
3-1. 協議
裁判所を利用せず夫婦の話し合いで離婚条件を決めて、離婚を成立させることを協議離婚といいます。一般的には、以下のような流れで手続きを進めます。
- 相手と離婚条件について取り決める
- お互いが離婚条件に合意をしたら、取り決めた内容を書面化する
- 自治体に離婚届を提出して離婚が成立する
協議には親や兄弟、友人などが介入し、意見を述べたり相談を受けたりアドバイスを行ったりすることもあるかもしれません。なお、協議離婚の場合は、慰謝料や婚姻費用、養育費などの金額を夫婦間で自由に決めることができます。
取り決めたことにお互いが合意をしたら、「離婚協議書」や「公正証書」を作成します。これは、取り決めた内容やお互いが合意をしていることを証明する重要な書面となります。離婚をする際は口約束ではなく、必ず書面化するようにしましょう。
書面化が済んだら、お住まいの自治体に離婚届を提出し、受理されたら離婚が成立します。
3-2. 調停
当事者同士の話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをして離婚調停へと進み、裁判所が間に入って話し合いを続けることになります。
このように調停にて離婚成立させることを調停離婚といいます。調停委員という中立的立場の第三者が仲介して、協議が円滑に進むように導いてくれます。
調停は家庭裁判所で行われるものですが、あくまで話し合いで解決を目指す場であり、裁判とは違います。調停離婚の流れは以下のようになります。
- 離婚協議の折り合いがつかない場合、当事者のいずれかが家庭裁判所に夫婦関係調整調停を申し立てる
- 家庭裁判所が、第1回調停期日を指定し、その通知書が当事者それぞれへ送付される(申し立てから1~2ヶ月後)
- 当事者双方がそれぞれ調停委員と話し、第三者の立場から提案も受けて進めていく
- お互いが内容に合意したら調停成立となり、取り決めたことが調停調書化される
- 調停成立から10日以内に離婚届を提出し、離婚成立
また、調停の場合は、裁判と違って非公開で、裁判官または調停官と共に、2名(男女1名ずつ)の調停委員が話し合いに立ち会います。調停委員が申立人と相手方のそれぞれから話を聞いて、提案をしながら話し合いを進めていきます。それも調停室において個別に行われるため、申立人と相手方が直接話し合いをする必要がありません。
離婚調停が成立することによって作成される「調停調書」という書面は、裁判による判決とほぼ同じ法的な効力を持ちます。離婚が成立したことだけでなく、慰謝料、子どもの親権や養育費、財産分与などにも法的効力が及びます。
万が一相手が慰謝料を支払わなかったり、養育費を支払わなかったりと調停調書に書かれた決め事を守らなかった場合には、給与や預金を差し押さえる「強制執行」を行うこともできます。協議離婚では、取り決め書面を債務名義化しなければ法的効力が得られませんが、離婚調停なら最初から法的効力のある調停調書を受け取ることができます。
もちろん、調停で離婚が成立しても、自動的に戸籍上にそれが反映されるわけではなく、調停調書と離婚届、その他の必要書類を市区町村役場に提出してようやく戸籍上も離婚が成立します。調停を申し立てた側が、調停成立から10日以内に離婚届を提出する必要があり、それを怠った場合に対する罰金規定もあるので注意が必要です。
3-3. 裁判
調停も決着がつかない場合、裁判へと進みます。裁判にて判決が下り、離婚を成立させることを裁判離婚といいます。以下のような流れで離婚裁判が進んでいきます。
- 離婚調停が不成立となった場合、家庭裁判所に離婚裁判を申し立てる
- 離婚そのものの可否や、離婚条件について裁判で争う
- 裁判の途中で互いに妥協点に至った場合は和解が成立し、和解調書が作成される
- 和解成立後、10日以内に自治体に離婚届を提出し、離婚成立
- 和解不成立の場合、証拠に基づき事実関係を確定させ、裁判官によって最終的な離婚条件や離婚可否について判決が下される
- 判決に対して2週間以内に控訴されない場合、判決が確定し、判決文が作成される
- 判決確定から10日以内に離婚届を提出し、離婚成立
離婚裁判には「調停前置主義」という原則があり、例外を除いては離婚調停のプロセスを省いて訴訟手続きを行うことはできないようになっています。「例外」とは、相手の所在がわからず調停を行えないなどの特殊なケースです。
基本的には、離婚後も子どもなどを介して当事者間の関係が続いていくことから、まずは双方が納得できる形で結論に至る可能性がある調停を経るのが望ましいという考え方がベースにあります。
離婚するかしないか、あるいは離婚の条件を最終的に誰が決めるかという観点で見ると、調停は当事者同士の意思であるのに対し、裁判は裁判官の判断ということになります。
つまり、調停で双方の主張や要望、事実関係の争いが妥協点に至らなかった場合、裁判(訴訟)において証拠によって事実関係を確定させ問題の解決を裁判官の判決に委ねることになります。
4. 離婚時に決めるべき条件

離婚するときに決めるべき条件には、以下のような項目があります。
項目 | 説明 |
慰謝料 | 相手が有責(離婚原因を作ったことに責任のある)配偶者の場合、その行為によって自身が精神的苦痛を受けた賠償金として請求することができる。 |
婚姻費用 | 離婚協議中に相手と別居する場合、離婚が成立するまでの期間は収入の大きい片方から小さい片方へ、通常の生活を維持するために必要な生活費を支払う義務がある。裁判所では、約65%の夫婦が「6万円から15万円」の婚姻費用を取り決めている。※ |
年金分割 | 婚姻期間中に夫婦が納めた年金保険料から将来受給できる年金総額を計算し、それぞれ2分の1に分配することができる。自身が専業主婦の場合は、将来受け取れる年金額が大幅に増加するため、特に取り決めておくべき。 |
財産分与 | 婚姻期間中に夫婦が築いた財産を、夫婦の任意で分配すること。共同預金や共有名義の不動産、不動産ローンなどが対象になる。 |
親権 | 子どもの身分・財産上の権利・義務のこと。夫婦間に未成年の子どもがいる場合、必ず定めなければならない。親権が決定していないと離婚届が受理されない。 |
養育費 | 親権を持たない親から親権を持つ親へ支払われる、子どものための費用。夫婦間に未成年の子どもがいる場合は定めるべき。 |
面会交流 | 親権を持たない親と子どもが定期的に面会する頻度、場所、時間、方法などの条件。夫婦間に未成年の子どもがいる場合、実施の有無も含め、子どもの安全と幸せを最優先に考えて定めるべき。 |
※「第26表 婚姻関係事件のうち認容・調停成立の内容が「婚姻継続」で婚姻費用・生活費支払の取決め有りの件数 -支払額別支払者別- 全家庭裁判所」参照
自身が専業主婦の場合、婚姻費用や年金分割、財産分与の条件は、別居期間や離婚後の生活の経済状況に大きく影響します。希望する条件を、根拠と共にしっかり提示できるように準備を進めましょう。
また、子どもがいる夫婦が離婚する時、父親か母親のどちらかが親権を持つことになります。そして、親権を譲った方は、原則として未成年の子どもが成人になるまで養育費を支払います。養育費は子どものためのお金です。離婚準備の際には養育費についても必ず取り決めましょう。
近年、養育費の未払い問題が社会問題となっています。2016年度の厚生労働省の調査(ひとり親世帯等調査結果報告)から、母子家庭のうち養育費を現在も受け取っているのは24.3%にとどまっています。つまり、全体の4分の3は養育費を受け取っていないのです。
子育てにかかる養育費は個々人の状況によって様々です。そのため、必要なお金をできるだけ具体的に見積もり、養育費をいくらにするかを話し合うようにするべきでしょう。

(まとめ)リストを活用し、きちんと離婚準備をした上で離婚を切り出そう

離婚準備の際には、下のリストを活用してみてください。
<相手に離婚を切り出す前に準備するもの>
- 離婚に至るまでの過程や理由を説明するためのメモ
- DVや浮気・不倫など離婚したい理由の客観的証拠の用意(写真・動画、音声データ、日記やブログ、メール、医師の診断書など)
- 相手の不貞で慰謝料請求する際、有責配偶者であることが主張できる証拠
<離婚条件を決めるために準備するもの>
- 希望する離婚条件を列記したメモ(慰謝料や財産分与、婚姻費用、養育費の金額など)
- 持ち家や共有の貯金などといった財産分与の根拠となる通帳や書類
- 別居する場合、その期間にかかる婚姻費用の見積もり
<調停を申し立てることになった場合に準備するもの>
- 前項で挙げた準備するものすべて
- 「夫婦関係調整調停申立書」などの必要書類
- 夫と妻それぞれの収入を証明する資料(源泉徴収票写しや給与明細写しなど)
後悔の無い離婚のためには、入念に離婚準備をしておく必要があります。必ず離婚準備を整えてから離婚協議に臨むようにしましょう。
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