更新日: 2022.08.18

公開日:2020.08.10

養育費っていつまでどれくらいもらえるの?確実に払ってもらうには?

離乳食を食べさせる女性

離婚を考えている女性にとって、まず気になるポイントといえば「子どもの養育費」ではないでしょうか。子どもをしっかり育てるためにも、養育費は必要不可欠です。

今回は、養育費の相場いつまで受け取れるのか増額は可能なのかなど、気になる点を解説します。

また、未払いが多いと言われる養育費について、未払いを防ぐ方法対処法なども併せて紹介するので参考にしてみましょう。

1. 養育費とは

 心身の面でも、経済的な面でも成熟していない子どもは、自分一人で生きていくことができません。このため、親には子どもの養育にかかる費用を負担し、子どもを扶養する義務が課されています。

この義務は、親権の有無や子どもと一緒に暮らしているかどうかは関係なく、父親と母親に等しく課されるものであり、たとえ離婚したとしても責任からは逃れられません

父母が離婚した場合、子どもと一緒に暮らして養育する親が、一緒に暮らさないもう片方の親に対して、養育にかかるお金を請求することが認められています。これが「養育費」であり、子どもの健やかな成長のために欠かせないものです。

親は、子どもに対して、養育費を支払う親と同等の生活をさせることが義務(「生活保持義務」といいます。)付けられています。

このため、生活に必要な最低限の金額ではなく、親の収入生活レベルなどを考慮したうえで、適切な金額を支払ってもらうことができるのです。

たとえば、親が大卒なら、子どもも大学へ進学させるのが妥当と見なされ、大学の学費を養育費として請求できる可能性もあります。

生活保持義務は非常に強い義務とされており、仮に養育費を支払う親が自己破産するほど生活が苦しくなったとしても、支払い義務は免除されません。子どもをしっかり育てるためにも、離婚後はきちんと養育費を請求しましょう。

2. いつまでもらえるの?

 養育費は離婚にともなって請求しますが、永遠に受け取れるわけではありません。

原則として、受け取れるのは請求した時点から子どもが20歳になるまでと決められています。これは、20歳になれば法律的にも成人を迎え、心身や経済的な面でも自立できると見なされるためです。

ただし、現代では大学に進学する子どもも多く、その場合は大学を卒業するまで経済的に自立するのは難しいといえます。子どもに大学進学の予定があり、大学卒業まで養育費を支払ってほしいなら、元夫と話し合って納得してもらいましょう。

卒業までの養育費支払を拒否された場合は裁判で争うこともできますが (ただし、子どもが成人した場合は、子ども自身が養育費を請求することになります)、特別な事情がない限りはやはり20歳までと判断されるケースが多いです。

ただ、養育費を支払う親が大卒の場合、子どもにも同等の教育を受けさせることが妥当と見なされ、卒業まで養育費を支払ってもらえる可能性もあります。なお、子どもが大学進学をせず高卒就職した場合、経済的に自立するため、それ以降は養育費を受けることができません。

なお、民法における成年年齢は、2022年4月1日より20歳から18歳へと引き下げられます。これにともない、養育費の支払いも将来的に18歳までになるのでは、と不安になる人も多いでしょう。

この点については法務省より見解が公表されており、養育費の取り決めをした時点で成年=20歳であったなら、2022年以降も20歳まで養育費の支払い義務があると考えられています。

3. 金額はどう決まるの?

 養育費は、法律で金額が定められているわけではありません。生活保持義務によって、子どもに養育費を支払う親と同等の生活をさせることが義務付けられており、親の収入などに応じて養育費の額が変わります。

次は、養育費の額が決まる具体的なポイントについて見ていきましょう。

3-1. 養育費を決める流れ

 養育費の額は一律ではなく、それぞれのケースで異なります。一般的には、まず夫婦の話し合い(離婚協議)で養育費について取り決めをすることが多いです。

こちらが希望する額や夫が支払える額などをもとに話し合い、合意を目指します。口約束だけで養育費を決めると、後々金額や支払方法などについてトラブルになる可能性もあるため、公正証書などの書面を作成しておくと安心です。

話し合いで合意しなかった場合は、離婚調停養育費調停を起こすことになります。調停とは、裁判所の裁判官調停委員に間に入ってもらい、離婚条件について話し合って和解を目指す制度です。

第三者が仲裁することでお互い冷静になり、養育費などについて納得したうえで和解できる可能性が高まります。
調停が成立すると調停調書が作成され、養育費の支払いがストップしたときは、裁判をしなくても元夫の給与などを差し押さえることができます。

調停が不成立に終わると審判訴訟へ進み、養育費についての判断を裁判官に委ねなければなりません。

具体的な養育費の決め方としては、まず夫婦それぞれの基礎収入をもとに、夫・妻・子どもの最低生活費を計算します。
次に、夫と妻の負担能力を計算します。夫の基礎収入が最低生活費を下回っていた場合、負担能力は低いと見なされ、養育費の額が少なくなる可能性があります。
その後、子どもにあてられるべき生活費を決め、夫が負担する割合を計算すれば養育費の額は決定します。

しかし、この方法では複雑な計算が必要で、時間も手間もかかるためあまりおすすめできません。実際には、養育費の目安がひと目でわかるように整理された「養育費算定表」を利用するケースが一般的です。

3-2. 養育費算定表とは

 養育費算定表とは、夫婦それぞれの収入や子どもの人数・年齢などにより、妥当とされる養育費の額を表にまとめたものです。

家庭裁判所が養育費を検討する際にも用いるほど信頼性が高く、一般的にはこの養育費算定表をもとに養育費が決められています。インターネット上でも無料で公開されているため、裁判所を通さない協議離婚でも利用可能です。

非常に便利なものですが、養育費算定表は子どもがすべて公立校に進学することを前提としていたり、細かい生活水準の違いを考慮していなかったりするなど、問題点もありました。最低賃金を下回る収入しかない場合には、低い収入額をベースにした養育費しか受け取れないケースもあり、内容の見直しを求める声も多かったのです。

このような背景により、2016年には日本弁護士連合会から養育費の「新算定表」が提出されました。新算定表で新たに計算される養育費は、従来の1.5倍となっています。

最高裁判所でも養育費の算出方法の見直しが進められ、2019年12月にはほぼすべてのケースで平均1~2万円の増額が決定されました。これから養育費の計算をする場合は、2019年12月に改訂された新しい養育費算定表を用いるようにしましょう。

ただし、養育費算定表はあくまでも目安であることを忘れてはいけません。子どもの進学先やライフスタイルの変化などにより、必要な養育費の額は変わるので注意しましょう。

3-3. 養育費を決める要素

 養育費算定表を見てもわかるように、養育費を決める際は夫婦それぞれの年収雇用形態子どもの人数年齢などが重要な要素になっています。

一般的には、「養育費の支払いをする親の年収が多い」「親権者の年収が少ない」「子どもの人数が多く年齢が高い」といった場合に、養育費の額が高くなることが多いです。

また、養育費を支払う親が給与所得者であれば養育費は高くなり、自営業者であれば養育費が低くなるという傾向もあります。このほか、子どもが私立に進学する、塾や部活動などでお金がかかる、重い病で医療費がかかるなどの場合、より高額な養育費が認められることも少なくありません。

なお、一度取り決めた養育費の内容は子どもが20歳になるまでずっと継続されるわけではありません。離婚後しばらくして経済事情や子どもの生活に変化が起きることもあるでしょう。

このような場合は、必要に応じて養育費の増額減額手続きをとることも可能です。増額・減額の詳しい手続き方法は後述しているので、そちらもチェックしておきましょう。

4. きちんと受け取れるの?

 養育費の基本的な知識や計算方法などがわかったところで、「ほかのシングルマザーは実際にいくら養育費をもらっているの?」「取り決めた養育費はきちんと受け取れるの?」 と気になる人も多いでしょう。

養育費の支払いは親の義務であるものの、何かと理由をつけて支払われないという話もよく耳にします。子どもをしっかり育てるためにも、養育費の額や未払いは気になるところです。

次は、養育費の相場未払い状況について詳しく見ていきましょう。

4-1. 養育費の相場

 実際に受け取れる養育費の額は、夫婦の収入や子どもの人数などによって変わるため、個々のケースで大きく異なります。

このため、養育費の相場を一概に断言することはできませんが、厚生労働省が公表しているデータによってある程度の平均額を知ることは可能です。

「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子世帯が受け取っている養育費の額は、1ヵ月あたり平均4万3,707円という結果でした。

ちなみに、父子家庭の場合は1ヵ月あたり平均3万2,550円です。この金額はあくまでも平均で、子どもの人数によって受け取る養育費も変わります。

たとえば、子どもが1人いる母子家庭は1ヵ月あたり平均3万8,207円、2人なら4万8,090円、3人だと5万7,739円です。

また、子どもが15歳以上になると高校や大学への進学が始まり、塾や進学費用などで相応のお金がかかるため、養育費も上がる傾向にあります。

離婚当初に取り決めた養育費の額では足りなくなった場合は、元夫と話し合うなどして養育費の増額を検討しましょう。

4-2. 養育費は未払いも多い!?

 養育費を支払う義務があるとはいえ、元夫がきちんと支払ってくれるかどうか、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。厚生労働省が公表している「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」では、養育費の未払いに関するデータも確認することができます。

この調査結果の「母子世帯の母の養育費の受給状況」という項目によると、「養育費を受けたことがない」と回答した人の割合は全体の56%にも上りました。実に半分以上のシングルマザーが、元夫から一度も養育費を受け取っていないということになります。

これに対し、「現在も養育費を受けている」という人の割合は、わずか24.3%しかありません。この結果からも、残念ながら「養育費に未払いが多い」という噂は真実に近いことがわかるでしょう。

ただし、すべてが元夫の不誠実によるものとは言い切れません。「相手に支払う意思・能力がないと思った」「相手とかかわりたくない」などの理由で、離婚時に養育費に関する取り決めをしなかった人の割合は54.2%に上っています。元夫に請求する以前に、最初から養育費を諦めてしまったシングルマザーも少なくないのです。

なお、あらかじめ養育費の取り決めをしていた世帯では、「養育費を受けたことがない」と答えた人の割合は17.2%でした。離婚時にきちんと取り決めをしておけば、8割以上のケースで養育費を受け取れたということです。

この結果から、多少手間はかかっても、話し合いや調停などできちんと取り決めをしておくことが大切だとわかります。

5. あらかじめ取り決めをしよう

 厚生労働省が公表する「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」により、養育費について取り決めをしないまま離婚したシングルマザーが多いことがわかりました。

たしかに、離婚するほどうまくいかない夫とは、それ以上かかわりたくないと考えるのも無理はありません。しかし、取り決めをしておかなければ、養育費を受け取れる可能性はかなり低いです。

これでは子どものためにならないので、離婚時には忘れずに養育費について取り決めをしておくことをおすすめします。

次は、具体的な養育費の取り決め方法について見ていきましょう。

5-1. 決めておくと良いこと

養育費を取り決める際は、主に6つの項目について話し合うと良いでしょう。

  • 1つ目は、支払い期間についてです。

    一般的に、養育費は請求したタイミングから子どもが20歳になるまで受け取れます。ただし、2022年4月1日には、民法上の成年年齢が18歳に引き下げられます。

    このため、2022年4月1日以降に離婚して養育費の取り決めをする場合、養育費は子どもが18歳になるまでというケースが一般的になるでしょう。なお、成年年齢を18歳に引き下げる法案は、2018年6月に可決されています。

    しかし、実際に引き下げられるのは2022年4月1日であるため、2018年6月~2022年3月31日までに養育費の取り決めをした場合、従来どおり20歳までの支払い義務が生じると考えられます。

    ただ、養育費の支払い期間は、子どもの大学進学の有無など個々の事情によって異なるでしょう。実際の支払い期間は夫婦でよく話し合い、合意した内容をきちんと書面に残しておくことが大切です。

  • 2つ目に、養育費の金額を決めておくことも忘れてはいけません。

    養育費算定表を参考に妥当な金額を計算し、話し合いや調停で決定しましょう。

  • 3つ目は、急な出費に関することです。

    進学や入院など、予定外の出費が発生した場合に養育費を増額するのか、支払期間を延長するのか、きちんと決めておきましょう。

  • 4つ目は、毎月の支払い日支払い方法です。

    一般的には、養育費を支払う親の給料日などに合わせ、毎月同じ日を設定します。支払いの履歴を残すためにも、できれば手渡しではなく金融機関経由の振り込みで支払ってもらいましょう。

  • 5つ目は、ボーナスの取り扱いです。

    定期的にボーナスが出る場合、養育費に反映させるのかどうかも事前に決めておくと、トラブルを避けやすいでしょう。

  • 6つ目は、子どもと一緒に暮らす親権者が再婚した場合の取り扱いについてです。

    親権者が再婚しても、元夫が子どもの親であることに変わりはありません。しかし、再婚すれば経済的にも余裕が出るのではと考え、養育費を減額されるケースが多いようです。

    再婚した場合の養育費について、事前に決めておくと後々のトラブルを避けられるかもしれません。

5-2. 公正証書の作成

 養育費を口約束だけで取り決めると、離婚後に何かとトラブルになりやすいので注意が必要です。未払いが生じた際にすぐに差し押さえができるようにするためにも、 できれば「公正証書」を作成して正式に確約しておきましょう。

公正証書は、法務大臣の任命を受けた公証人が、公証役場で作成する公文書です。その証明力は非常に高く、養育費が支払われなくなった場合、公正証書があれば裁判をしなくても元夫の給与などを差し押さえることができます。

ただし、裁判なしで差し押さえをするためには、公正証書内に「支払いがストップしたときは差し押さえられても構わない」という認諾文言を入れる必要があるので注意しましょう。

公正証書は、2020年4月1日の民事執行法の改正により、その実効性が大きく向上しています。公正証書があれば、財産開示手続き(注1)の利用が認められ、差し押さえの対象となる元夫の財産を把握しやすくなったのです。

差し押さえをする場合、相手名義口座がある金融機関支店名、所有する不動産の所在地などを指定する必要があります。もし、元夫の口座など財産の詳細を把握していなければ、差し押さえをしたくても実行できない可能性があるのです。

このような場合、「財産開示手続き」を行って相手方の財産の調査を行うのですが、従来の公正証書にはその権利が認められていませんでした。

ところが、2020年4月の法改正で財産開示手続きを利用できる範囲が拡大され、公正証書を持つ者も利用できるようになったのです。これにより、いざというときは元夫の財産をしっかり差し押さえ、きちんと養育費を受け取れる可能性が高くなりました。

(注1:参考サイト)裁判所|財産開示手続きの申立てをされる方へ

養育費の取り決めを証明するだけでなく、支払いがストップしたときに的確に対処できるというメリットもあるため、離婚時には公正証書を作成しておくと安心です。

なお、公正証書と同じような役割を果たす書類に、「調停調書」というものがあります。こちらは、裁判所に調停を申し立て、元夫と養育費について合意したときに作成される書類です。

支払いがストップしたときに裁判なしで財産を差し押さえられる点は同じですが、時効や差し押さえられる財産の範囲などが異なるので注意しましょう。

6. 養育費はあとから増減できる!変更の方法は?

 離婚時に養育費を取り決めていても、子どもの進学や病気などによって、後から養育費の増額が必要になるケースもあります。

逆に、元夫の経済状況の悪化などで、養育費を減額しなければならないこともあるでしょう。養育費の増減は子どもの生活に大きく影響するため、詳しく知っておくことが大切です。

次は、養育費が増減される具体的なケースや、金額の変更方法を紹介します。

6-1. 養育費を増額する場合

 子どもの進学や病気治療など想定外の出費が増えたり、子どもを育てている親の収入が減ったりすると、養育費の増額が認められる可能性があります。このような場合、まずは元夫と増額について話し合いましょう。

電話で話せない場合や、元夫が拒否する場合は、増額を希望する旨や事情などを書面にして郵送します。このとき、元夫が「そんな書類は受け取っていない」など言い逃れをしないよう内容証明郵便で送るのがおすすめです。

当事者間の話し合いで決着がつかないときは、裁判所に申し立てて調停審判を行いましょう。裁判所で手続きをすれば、元夫が話し合いに応じなくても養育費の増額を裁判所が認めてくれることもあります。

6-2. 養育費が減額される場合

 元夫の経済状況が悪化した場合や、子どもを育てる親の収入が増えたり再婚した場合、養育費が減額される可能性があります。

場合によっては、養育費そのものが免除されてしまうケースもあるので注意が必要です。減額する場合も増額と同様に、当事者間の話し合いでまとまらなければ調停・審判に頼ることになります。

裁判官が「減額が妥当」と判断すれば、いくら子どものために養育費が必要だと主張しても減額を止めることはできません。

7. どちらかが再婚した場合はどうなる?

 元夫と自分、どちらかが再婚すると、養育費の取り決めが大きく変わる可能性があります。

自分が再婚した場合、再婚相手と子どもが養子縁組をすると、子どもの第一次的な扶養義務は再婚相手に移ります。このため、子どもに対する元夫の責任が軽減し、養育費が減免されるケースも珍しくありません。

元夫が再婚した場合、再婚相手の収入によっては元夫の経済的負担増えるため、養育費の額が見直される可能性があります。

ただし、元夫の再婚相手に十分な収入がある場合、元夫が養育費の減額を求めても認められないケースが多いので安心してください。

8. 支払われなくなったら

 養育費の支払いがストップした場合、どう対処すれはいいのか、またどこに相談すればいいのかがわからず途方に暮れてしまう人も多いでしょう。

養育費は子どもの生活にも直結する重要なものなので、できるだけ早く行動を起こさなければなりません。

次は、養育費がストップしたときの対処法について、順を追って解説します。

8-1. まずは連絡をする

 月ごとに決められた日に養育費が支払われなかった場合、まずは元夫へ連絡して確認してみましょう。「うっかり忘れていた」「今月はお金がない」など、さまざまな言い訳をするかもしれませんが、とにかく新たに期限を設けて支払いを督促することが大切です。

それでも支払われないときは、支払いが遅れていることや督促をしていることを証拠として残すためにも、内容証明郵便を送付しましょう。内容証明郵便は、「いつ・誰が誰に・どのような内容の書類を送ったか」を郵便局が証明してくれるものです。 郵便局長が内容証明郵便であることを証明する旨の記載もあるため、受け取った側に大きなインパクトを与えることができます。

公的な督促だと思い込み、元夫が慌てて養育費を支払うケースも多いので効果的です。

8-2. 履行勧告

 いくら連絡や督促をしても養育費が支払われない場合、家庭裁判所から元夫へ「養育費を支払いなさい」という履行勧告履行命令を出してもらうこともできます。裁判所から連絡が来ることで、元夫へより大きな心理的プレッシャーを与えられるでしょう。

ただし、履行勧告や履行命令には法的な強制力がありません。履行命令を一定期間無視すると10万円以下の過料が科されるものの、養育費の支払いを強制することはできないので注意が必要です。

8-3. 強制執行

 履行命令を出してもらっても支払われない場合は、裁判所に申し立てて強制執行をかけ、元夫の財産を強制的に差し押さえます。

調停調書などの「債務名義」や、強制執行を認める文言を記載した公正証書があれば、裁判を起こさなくても強制執行をかけることが可能です。差し押さえの対象となる財産はさまざまですが、一般的にはまず給与が差し押さえられます。

こうなると養育費の未払いを勤務先に知られてしまうため、元夫に「支払わなければ強制執行で給与を差し押さえる」と伝えれば、観念して支払いをするケースも少なくありません。

9. もしものために養育費保証

 内容証明による督促や強制執行など、養育費が未払いの場合でも支払ってもらう方法はあります。しかし、いずれの方法でも手間や費用がかかることが多いため、できれば事前に未払いを防止する対策をしておきたいところです。

「元夫が養育費を支払わなくなるかも」という不安があるなら、「養育費保証」というサービスを活用しましょう。

養育費保証は、その名の通り、養育費の未払いがあったときに元夫の代わりに立て替え、後ほど元夫から立て替えたお金を回収するというサービスです。いざというときでもお金の心配をしなくて良いことに加え、元夫への督促は保証会社側が行うため、自分で連絡を取る必要もありません。

すでに未払いが起きている場合でも申し込むことができ、シングルマザーの心強い味方になってくれるでしょう。

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(まとめ) 養育費は子どもの権利!取り決めをして確実に払ってもらおう

 養育費は子どもに与えられた権利であり、親には養育費を支払う義務があります。

子どもを育てる側が養育費を請求するのは正当な行為なのですが、残念ながら養育費の未払いが多いのも事実です。未払いを防ぐためにも、離婚時にきちんと養育費の額や支払方法などを取り決めておきましょう。

未払いが起きたときは泣き寝入りするのではなく、強制執行養育費保証を活用して確実に支払ってもらうことが大切です。

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~ この記事の監修 ~

平山弁護士

青野・平山法律事務所
弁護士 平山 愛
現在の日本の夫婦は、必ずしも平等で対等な立場にあるわけではありません。経済的・社会的に弱い立場にある者の生活を守り、公平な解決となるよう心掛けています。

>>所属団体のサイトを見る


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