2020.07.23

再婚したら養育費は減額される?減額される場合とされない場合

ママに抱きつく子供

再婚すると経済的にも精神的にも生活は楽になるものの、今受け取っている養育費が減額されるのでは?と不安に思う方もいるかと思います。
養育費は、再婚したからといって必ず減額されるわけではありません。状況によっては減額されないケースもあります。

ここでは、再婚と養育費の関係や、再婚以外で養育費が変動するケースなどについて説明します。


~ この記事の監修 ~

青野弁護士

青野・平山法律事務所
弁護士 青野 悠
夫婦関係を解消する場合、財産分与・養育費など多くの問題が付随して発生しますので、これらの問題を全体的にみて、より望ましい解決になるよう尽力します。

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1. そもそも養育費の考え方とは

はてな

まずは養育費がどういうものなのかを正確に理解しておきましょう。

養育費とは、まだ自活できない子どもが健全な生活を送れるように養育するための費用を指します。これは、未成熟な子どもは親が扶養する義務があるとする考え方に基づくものです。たとえ、離婚によって離れ離れで生活することになっても、その子の親である事実は変わりません。

よって、子どもを扶養する義務があることは変わらず、直接育てない場合でも養育費を支払う必要があるのです。

シングルマザーのなかには、元夫が支払う養育費を自分のものと誤ってとらえている人がいます。しかし、大前提として養育費子どものためのお金であり、生活費や学費として使うべきものであると理解しておくことが大切です。

2. 養育費は途中で額の変更ができる

費用

離婚する際には夫婦で話し合って養育費の金額や、支払いを終了する時期などの条件を取り決めるのが望ましいといえます。このとき決めた金額は、支払いが終了するまで基本的に変更されることはありません

ただし、離婚後に元夫や子どもの環境などに大きな変化があった場合、その変化の度合いが養育費の減額を認めるに足るものであると裁判所が判断すれば、養育費が減額されるケースもあります

たとえば、子どもの親権を得て元夫から養育費の支払いを受けているシングルマザーが別の男性と再婚し、その再婚相手が子どもと養子縁組したケースです。

この場合、再婚した相手が子どもの第一次的扶養義務者となるため、再婚した相手に相応の収入があれば、元夫の扶養義務は軽くなりますその結果、養育費の減額が認められることがあるのです。

再婚相手の収入に応じて養育費がゼロになることもあれば多少の減額に留まることもあり、金額がどのくらい減らされるかは、再婚したシングルマザーや再婚相手の収入状況などによって異なるため、改めて計算する必要があります。

3. 再婚による変動のポイントは「養子縁組」

家族とハート

養育費の額を変えずに継続して受け取れるかどうかは、再婚相手と子どもとが養子縁組するかどうかによって変わります。

3-1. 養子縁組とは

再婚しても、そのままでは再婚相手と子どもとの間に法的な親子関係はなく、子どもの名字も変わりません。子どもの名字を変更することは可能ですが、そのためには手続きをとることが必要です。

一方、養子縁組をすると法的にも親子となり、相続権扶養義務が発生します。子どもは再婚相手の戸籍に入るため、自動的に名字も変わります。
このとき発生する扶養義務は、再婚相手から子どもに対するものだけではありません。子どもから再婚相手に対しても、介護の義務が生じます。養子縁組をしなければ、双方ともに扶養義務は生じません。

養子縁組には普通養子縁組特別養子縁組の2種類があります。
この2つの大きな違いは、実の父親との法的な親子関係が継続するかどうかという点です。普通養子縁組をすると、養父と子どもに親子関係ができる一方で、実の父親との親子関係も継続します。特別養子縁組の場合は、養父と子どもに親子関係ができ、実の父親との親子関係は消滅します

再婚相手の養子になるときは、普通養子縁組をすることが一般的です。普通養子縁組は、書類を役所に提出して受理されれば手続きが完了します。

特別養子縁組は、原則として6歳未満の子どもに限り、家庭裁判所に審判申立てを行うことが必要です。ただし、認められる要件が厳しく、実親との親子関係の終了が子の利益に合致する場合にのみ認められることから、特別養子縁組を認める審判を得るのは容易なことではありません。 

3-2. 養子縁組をする方法

普通養子縁組の場合、手続きはさほど難しくありません。養親か養子の本籍地、もしくは届出人の住所地にある市町村役場の戸籍を扱う部署に必要な書類を提出するだけです。

このとき、先に再婚相手との婚姻届を提出し、その後に養子縁組届を提出すると良いでしょう。なぜなら、未成年の子どもを養子縁組するときは、原則として家庭裁判所の許可が必要になるものの、配偶者の子を養子とする場合には許可が不要となるため、再婚を先に成立させておけば、許可を得ずに養子にできるからです。

そのため、先に再婚を成立させておいたほうが、スムーズに手続きを進められます。

なお、婚姻届にも養子縁組届にも、成人した証人2人による署名・押印が必要です。成人している友人や家族に頼んで書いてもらいましょう。

3-3. 養子縁組をしても養育費を減額されない場合

再婚相手と子どもを養子縁組させても、それだけで元夫からの養育費が減額されるわけではありません。

たとえば、再婚相手がなんらかの事情で働けなかったり収入が極端に少なかったりして、子どもを養うだけの経済力がないとしましょう。

この場合は、第二次的扶養義務者である元夫が 、これまでどおりの金額で養育費を支払う義務があります。たとえ元夫が養育費の減免請求を申し立てたとしても、それが通る可能性は低いでしょう。

4. 元夫が再婚した場合

寄り添う男女

養育費を支払う側である元夫が再婚したとき、養育費の金額に影響があるか心配な人もいるでしょう。

しかし、再婚したというだけでは、基本的に養育費の金額が変わることはありませんとはいえ、事情によって金額が減ることもあり得ます。

ここでは、いくつかのケースを見ていきましょう。

4-1. 子どもがいない再婚相手を扶養に入れた場合

元夫が子どものいない女性と再婚し、専業主婦である再婚相手を扶養に入れたとしましょう。

この場合、たとえ元夫が再婚相手の扶養で経済的に苦しくなり、養育費の支払いが負担なので減額してほしいと希望しても、必ずしもそのとおりになるとは限りません。

なぜなら、再婚相手の女性はすでに結婚できる年齢であり、通常は自分が生活していく程度の収入を得ることは可能なはずだからです。
とはいえ、再婚相手が健康上の理由で働きたくても働けないなどの事情があれば、状況は変わります。

再婚相手が働けるのか、どうして専業主婦をしているのかなどの事情を考慮し、元夫が扶養する必要があるかどうかを判断して、養育費を減額するか決めることになります。

4-2. 再婚相手に子どもがいて養子縁組した場合

元夫が子どものいる女性と再婚し、その子と養子縁組をしたとしましょう。

この場合、元夫はその子どもの第一次的扶養義務者となり、養う対象が増えます。それだけ経済的な負担も増えるので、養育費の減額が認められる可能性が高いでしょう。

4-3. 再婚相手の子どもを養子縁組しない場合

元夫が子どものいる女性と再婚したものの、その子どもと養子縁組はしていないとしましょう。

このとき、元夫は再婚相手の子どもに対する扶養義務を負いませんそのため、養育費の額への影響はないでしょう。

とはいえ、子どもがまだ幼く、再婚相手が働きたくても働けないケースもあります。その場合は、再婚相手の女性を扶養する必要性が生じるため、減額されることもあるでしょう。

5. どれくらい減額されるのか

降下する矢印

親権を持つシングルマザーが再婚し、再婚相手が子どもと養子縁組した場合、養育費がどのくらい減額されるか、相場が気になるところでしょう。

おおまかな減額の目安は、裁判所のサイトで公開されている養育費・婚姻費用算定表(注1)」で知ることができます。

(注1:参考サイト)裁判所|養育費・婚姻費用算定表

この表は裁判所でも使われるため、一応の参考になるでしょう。とはいえ、これは再婚や連れ子がいることを想定したものではありません。

また、実際の家族は年齢や生活環境がさまざまで、複雑な要素が絡み合っていることが多いものです。そのため、この算定表や相場から減る金額を正しく算出することは難しいでしょう。

できるだけ正確な金額を知りたいのであれば、弁護士に相談して計算してもらうと確実です。初回相談にかぎり無料としている弁護士事務所もあるので、利用してみると良いでしょう。

6. 再婚が知られて勝手に支払いを打ち切られたらどうするか

悩む女性

元夫に再婚したことが知られて、同意もしていないのに一方的に養育費を打ちきられるといったケースは往々にして起こります。

ここでは、養育費の未払いが起きたときにとれる手段を紹介します。

6-1. 口約束や債務名義とはならない書面で養育費を取り決めた場合

離婚の際に口約束で養育費に関する条件を取り決めていても、元夫が養育費を支払わなかった場合に、ただちに強制執行はできません。

強制執行とは、債務名義(注2)を得た人の申し立てに基づき、元夫に対して、裁判所が給与差押えなどによって強制的に支払わせることを言います。

これは、離婚協議書によって養育費の条件を決めた場合でも同様であり、公正証書のような債務名義となる書面にしておく必要があるのです。

また、取り決めた養育費の請求をしても支払ってもらえない場合には、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立て、調停で改めて養育費について取り決める必要があります。

養育費請求調停とは、調停委員を間に挟んで養育費について話し合う制度です。調停が成立して養育費の金額が決定したにもかかわらず、その後未払いが続いた場合は、強制執行により、元夫の給料や預貯金などの差押えができることもあります。

(注2:関連記事)養育費の相場ってどれくらい?未払いを防止する方法ってあるの? 

6-2.公正証書を作成している場合

養育費に関する取り決めに関して公正証書を作成し、そのなかに執行受諾文言」があれば、強制執行による差押えができます。

執行受諾文言とは「支払いの約束を守れないときは強制執行されても異議を唱えない」といった内容の文言です。

これにより、養育費を支払わない元夫に対し、給与や預貯金口座を差し押さえることができます。 

7. 養育費の減額を求められる流れ

話し合いをする男女

さまざまな事情から、元夫が養育費の減額を申し立ててくることもあるでしょう。そのときは、どのような手順で進めることになるのでしょうか。

7-1. まず話し合い

まずは、減額を申し出てきた元夫としっかり話し合うようにしましょう。

余計なトラブルを回避するためには、当事者間で話し合うことがなにより大切です。元夫側にも、養育費の減額を申し出るだけの環境の変化やなんらかの事情が生じたと考えられます。

頭ごなしに減額は認められないとつっぱねるのではなく、相手の話もきちんと聞いたうえでこちらの事情もしっかりと話し、双方が納得できるまでじっくり話し合うことが大切です。うまい落としどころが見つかるかもしれませんよ。

しかし、どれだけ話し合っても、元夫の提示する金額や減額することそのものに納得がいかないときもあるでしょう。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所での調停にうつることになります。

7-2. 話がまとまらなければ調停

話し合いでまとまらない場合には、家庭裁判所にて養育費減額調停を行うことになります。減額を申し出てきているのは元夫の方なので、家庭裁判所に調停の申し立てを行うのも元夫です。

調停では第三者である調停委員が間に入り、双方の言い分を聞いたうえで、助言や解決策の提案なども行いながら手続きを進めていきます。

当事者のみで話し合うと、感情的になってしまって冷静に意見を伝えられずにこじれることもありますが、調停では間に調停委員が入るため落ち着いて考えやすくなります。

調停は、スムーズに合意した場合をのぞき、1回で終わるものではありません。2回目以降、およそ月に1回のペースで数回開催されます。合意すれば調停成立として終了です。

合意が困難と判断されたときは調停不成立として終了し、自動的に審判手続きに入ります。審判とは、裁判官が双方の意見や事情を踏まえて、一定の結論を出すという手続きです。

8. その他に養育費が途中で増減できる場合

ポーズをとる女性

再婚以外の理由でも、養育費が増減することがあります。ここでは、養育費が増額されるケースと減額されるケースについてそれぞれ紹介します。

8-1. 養育費を増額できる場合

養育費の増額が認められるケースとしては、子どもが私立の学校に進学したり病気になったりしてまとまったお金が必要になったときが挙げられます。

また、子どもを育てている側が失業するなど、子どもがいる家庭の経済状況が著しく悪化したときも同様です。

このほか、元夫側の収入が大幅に向上したときも、養育費の増額が認められる可能性があります。これは、子どもは親と同等の生活をする権利があるためです。

8-2. 養育費が減額される場合

再婚以外で養育費の減額が認められる可能性があるのは、元夫の経済状況が悪化したときが挙げられます。

たとえば、病気事故勤務先が倒産したなど、不測の事態で元夫の収入がなくなったり大幅に減ったりしたときです。

ただし、元夫があえて収入の低い仕事に転職するなど、意図して収入が減ると予測できる変化を起こしたときは、減額が認められない可能性があります。

また、離婚したあとで子どもを育てている側の経済状況が大幅に向上したときも、減額が認められやすいです。

(まとめ)再婚相手ともよく話し合って養子縁組などを決めよう

笑顔の子ども

こちらが再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組したときは、養育費が減額される可能性があります。

一般には再婚すると経済的な負担が減ることが多いですが、夫婦で別々の家計にする場合など、養育費が減ると困る人もいるでしょう。

養育費が減額される可能性をよく考慮し、養子縁組をするかどうかも含めて再婚相手と話し合うことが大切です。


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