2021.06.15

養育費には時効がある! 離婚後は早めの手続きが必要!

請求印欄がある書類

子どもがいる状況でパートナーと離婚をするとき、親権を持つ方が養育費を請求するケースが一般的です。

ただし、養育費はいつでも好きなように請求できるわけではありません。養育費の支払いには時効があり、のんびりしていると時効が成立し、請求する権利を失ってしまうこともあるのです。

今回は、養育費を請求できるタイミング手続きの方法をふまえ、注意すべき時効基礎知識などについて解説していきます。


~ この記事の監修 ~

青野弁護士

青野・平山法律事務所
弁護士 青野 悠
夫婦関係を解消する場合、財産分与・養育費など多くの問題が付随して発生しますので、これらの問題を全体的にみて、より望ましい解決になるよう尽力します。

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1. 養育費はいつからいつまで受け取れるか

筆記用具とハテナ

子どもの養育にかかる費用を支払うことは、法律にも定められた親としての義務です。

たとえ離婚したとしても、この責任から逃れられるものではありません。このため、離婚した場合は親権を持たない元パートナーに子どもの養育費を請求できます。

養育費は請求したタイミング以降から受け取ることになり、請求していない場合は、過去にさかのぼって請求することは認められていません。また、養育費は基本的に子どもが経済的自立するまで請求することが可能です。

また、子どもが大学へ進学する可能性が高い場合、両親の学歴や経済状況等に鑑みて、元パートナーに大学卒業までの生活費を負担すべき事情があるといえるときには、子どもが大学を卒業するときまで養育費の支払いをしてもらえる可能性があります。

補足ですが、2022年4月1日に施行される「民法の一部を改正する法律」では、成年年齢18歳に引き下げられます。2002年4月2日から2004年4月1日に生まれた子どもを持つ方は、取り決めた受取満了年18歳変更になるの?と不安に思うかもしれません。

しかし、民法改正前に取り決めをしていた場合は影響受けることはありません取り決め内容通りの年齢まで、養育費を受け取れる権利があります。

また、 2022年4月以降に養育費の取り決めをする場合も、当然に「子どもが成人する18歳までの受け取り」となるわけではありません前記のとおり、養育費は子どもが経済的自立するまで請求することができますので、子が成年に達したとしても経済的に未成熟である場合には、養育費を請求できることになります。

ただし、後々いつ子どもが経済的に自立したかをめぐって争いになることを避けるために22歳に達した後の3月までといった明確支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。

2. 代表的な4つの取り決め方法

養育費の取決めHOW TO

養育費の支払いは、金額支払時期などについて後々トラブルになるケースが珍しくありません。子どもの健やかな成長に欠かせないものなので、きちんと支払ってもらえるよう、離婚時にしっかり取り決めておくことが大切です。

次は、養育費の取り決め方法について、代表的な4つの方法を見ていきましょう。

2-1. 離婚協議書で決める

離婚の話し合いは、口頭で済ませるケースも多いでしょう。

しかし、口約束だと内容を忘れてしまったり、「言った」「言わない」の水掛け論になったりすることも珍しくありません。これではトラブルを解決しにくく、養育費をきちんと支払ってもらえなくなる可能性もあります。

このような事態を避けるためにも、離婚時に離婚協議書を作成しておきましょう。

離婚協議書とは、離婚時にお互い合意した内容や、離婚の条件などについてまとめた合意書のことです。法的な効力を備えた文書となり、養育費の支払いに関してトラブルになった際は、証拠として活用できます。

(参考記事)離婚協議書の作成方法を解説。記載事項やひな形も紹介

2-2. 公正証書で決める

より公的な書面で合意内容を残したい場合は、公正証書を作成するケースが多いです。公正証書とは、離婚にあたって合意した内容について、公証役場公証人が作成する証明書のことを指します。

公証役場は法務省に属する機関であり、公証人は法務大臣から任命を受けた公的な立場の人です。彼らが法律にもとづいて作成した書面は公文書となり、高い証明力証拠力が認められます。このため、離婚後に養育費が未払いとなりトラブルになった場合でも、安心して証拠として活用できます。  

しかも、公正証書の作成時に強制執行認諾文言を付けておけば、養育費の支払いが滞ったときに裁判の手続きを待たなくても強制執行が可能になります。強制執行認諾文言とは、公正証書で定めた養育費等を支払わずに滞納が生じた場合などに、財産の差し押さえ(強制執行)に応じる旨を支払義務者(元夫)が認める文言です。

この場合、離婚協議書とは異なり、未払いとなったらすぐに強制執行にて元夫の給与や預貯金を差し押さえができるため、養育費をしっかりと受けとることができ安心です。

2-3. 離婚調停や養育費調停・審判をして決める

当事者間の話し合いで養育費に関する話がまとまらないときは、離婚調停養育費調停によって取り決めるという方法もあります。

調停とは、当事者の間に第三者(調停委員会)が入り、和解するために助言や提案などを行う制度です。その地域を管轄する家庭裁判所に申し立てて行うことが多く、当事者に加えて裁判官調停委員と一緒に話し合いを進めます。

離婚調停は、離婚するかどうかという根本的な内容をはじめ、慰謝料財産分与親権などについて話し合うものです。

一方の養育費調停は、子どもの養育に費用がいくらかかるのか、妻や夫の収入がどれくらいあるのかなど、さまざまな事情を確認したうえで養育費について話し合います。

調停が成立すると作成される調停調書は、公正証書と同じく訴訟手続きなし強制執行できるため、支払いが滞ったときにもスムーズな対処が可能です。

2-4. 離婚訴訟によって決める

当事者間の話し合いや調停でも合意にいたらなかった場合は、離婚訴訟を起こすことになります。

離婚訴訟は、家庭裁判所に訴状を提出して離婚や養育費の条件などについて主張し、裁判所が提案する和解案のもとで合意を目指すものです。和解が成立しない場合は、さまざまな事情を検討したうえで、裁判所離婚の可否養育費慰謝料の額などを判断します。

裁判で決まった内容には法的拘束力があるため、離婚後にトラブルが起きたときも安心です。

ただし、裁判を有利に進めるには、効果的な主張証拠の提出が必要になるため、専門知識を持つ弁護士のサポートを受けたほうが良いでしょう。訴訟を起こすこと自体は個人でも可能ですが、主張の仕方や証拠提出を誤ることで裁判に負ける恐れもあるため注意が必要です。

3. 時効は取り決め方によって5年と10年の期間がある

養育費の時効を測る砂時計

養育費の支払いは親の義務であるものの、いつまでも請求できるわけではありません。

支払いを請求できる権利には時効が定められており、離婚から何年も経過していると養育費を請求できる権利が消滅し、受け取れるはずだった養育費が受け取れなくなることもあるのです。

時効の期間は養育費の取り決め方によって異なります。

取決め方時効になるまでの期間
当事者間話し合いである離婚協議書や、公正証書の場合5年間
離婚調停養育費調停離婚訴訟など、裁判所の手続きを経た場合10年間
取決め方による時効になるまでの期間

当事者間の話し合いで養育費を取り決めるのは手軽ですが、その一方で時効を早く迎えてしまうため注意しなければなりません。

4. 時効期間が止まる場合

時効を止めるジェスチャーをする女性

時効は、特定の条件を満たすと時効期間のカウント止めることができます。

時効期間のカウントを止めることができていれば、時効を迎えたと思っていても、まだ養育費を請求できるかもしれません。いざというときに備えて、時効期間が止まる具体的なケースを知っておきましょう。

4-1. 権利の承認

権利の承認とは、元夫が「相手には養育費を請求できる権利がある」、あるいは「自分に養育費の支払い義務がある」という事実認めることです。

養育費を請求したとき、元夫が「わかっている」「〇日までに支払う」など、支払い義務を自覚した内容の言葉を発したり誓約書などを作成したりして いると、権利の承認があったと見なされて時効は中断します。

ただし、口頭で支払うと言っただけでは権利の承認が証拠として残らないため、時効が中断されるとは限りません。元夫が権利の承認の成立を裁判で争ってきた場合には、権利承認したことの証拠が必要になるので、トラブルを避けるためにも誓約書などの書面を作成しておくと安心です。

なお、元夫が請求された養育費を1円でも支払っていると、支払い義務を認めたと見なされて時効は中断します。養育費の支払いがストップした場合は、時効になるのを少しでも遅らせるために、元夫に「とりあえず今支払えるだけの金額で良いから支払って」などの説得をして、たとえ少額だったとしても請求し、支払ってもらうのが良いでしょう。

4-2. 裁判上の請求

離婚訴訟や調停など、裁判所に申し立てて養育費に関する手続きをしていた場合も、時効が中断します。

離婚協議書公正証書で養育費の取り決めをした場合は、裁判上の請求ではないため、時効は中断できませんただし、これらの書面をもとに養育費調停を起こせば時効を中断できるので、書面だけで話し合いを済ませていた場合も諦めずに裁判所に申し立てましょう。

なお、離婚協議書や公正証書にもとづいた養育費調停を行った場合、本来は5年間の時効が10年間延長されます。

4-3. 仮差押、差押

養育費調停・審判や離婚調停など裁判所の決定を経ている場合、または強制執行認諾文言付公正証書を作成している場合は、養育費の支払いがストップすると強制執行が可能です。

強制執行とは、元夫の給与預貯金などを差し押さえてお金を回収することを指し、差し押さえが実行された時点時効は中断します。

ただし、給与の差し押さえは給与の2分の1までしか認められません。預貯金の差し押さえも、元夫名義の口座の金融機関名支店名などを把握する必要があるので注意しましょう。

なお、時効が中断された場合、それまでカウントされていた期間は一旦リセットされます。このため、権利の承認裁判上の請求差し押さえなどを繰り返していれば、半永久的に時効の成立を防ぐことも可能です。

5. 養育費の支払いを放置された時はどうなるか

悩んでいる女性

養育費の支払いは義務であるとはいえ、元夫が何かと理由をつけて支払わないケースもあります。このように、養育費が未払いとなった場合どう対応すれば良いのか、不安になる人も多いのではないでしょうか。

養育費の支払いを放置されたときの対応は、公正証書や調停調書などの取り決め書類がある場合と、口約束しかしていない場合の2パターンに分けられます。

それぞれどのように対応すべきなのか、詳しく見ていきましょう。

5-1. 公正証書や調停調書などを作成した場合

公正証書には、約束した金銭の支払いがない場合、裁判をしなくても強制執行を行うことができます。差し押さえられる財産は個々のケースで異なりますが、給与預貯金などが一般的です。

ただし、公正証書内に「支払いがない場合は強制執行を行う」という認諾文言明記していない場合は、公正証書だけでは強制執行できないので注意しましょう。

「養育費が支払われなかったらどうしよう」といった不安を軽減できるので、あらかじめ強制執行の認諾文言を含んだ公正証書を作成しておくことをおすすめします。

離婚の調停調書を作成していた場合も、養育費が未払いになったら強制執行可能です。

調停調書は、強制執行を行うために必要となる債務名義のひとつとして認められています。このため、公正証書のように強制執行に対する認諾文言が明記されていなくても、調停調書であれば直ちに強制執行をかけることができます。

5-2. 口頭の約束や公正証書がない場合

養育費の取り決めを口約束で済ませていた場合、元夫から「そんな約束はしていない」と支払いを拒否される可能性があります。

こうなると、「言った」「言わない」の水掛け論になり、いつまで経っても養育費を受け取れなくなるかもしれません。このため、できるだけ早く養育費について話し合い、合意内容を公正証書として残しておきましょう。

公正証書がなく、単なる離婚協議書しかない場合や、元夫が話し合いを拒否し続ける場合は、家庭裁判所養育費請求調停を申し立てます。

調停で和解が成立した場合は調停調書が作成され、不成立の場合は審判によって裁判所養育費の額などを決めてくれます。調停調書や審判の結果を無視し、元夫が養育費の支払いをストップした場合は、強制執行によって財産の差押えが可能です。

(参考記事)養育費の未払いで困っている!支払ってもらうための適切な対応とは?

6. 過去分の請求はできるのか

電卓で作業をしている人

離婚したときは何かとバタバタしていて、養育費の請求は後回しになっていたというケースもあります。

このような場合、過去分の養育費を請求できるのかどうか、気になる人も多いでしょう。次は、過去分の養育費請求について、離婚時に養育費の取り決めをしていなかった場合と、取り決めていた場合に分けて紹介します。

6-1. 離婚時に養育費の取り決めがない場合

離婚時に養育費についてはっきりと取り決めをしていなかった場合、過去分についてはほぼ請求不可能だと思っておきましょう。また、元夫が養育費の支払いに合意していた証拠がないため、こちらが主張する金額を素直に支払う可能性はかなり低いといえるでしょう。

裁判所に養育費請求の調停を起こしたとしても、申し立て以前の請求はほとんど認められません。ただし、元夫が合意してくれれば、過去分についても支払ってもらえる可能性があります。

また、養育費請求調停を起こして成立した場合は、申し立てから調停成立までの養育費をまとめて支払ってもらったうえで、それ以降の養育費を支払ってもらうことも可能です。

6-2. 養育費の取り決めをしている場合

離婚時に公正証書や訴訟などで養育費の取決めをしていた場合、請求の権利がはっきりしているため、期限が到来している過去分は全額請求できます。ただし、すでに時効を迎えていると請求はできないので注意しましょう。

たとえば、10年前に離婚し、6年前から支払いがストップしたとします。

公正証書で養育費の取り決めをしていた場合、時効は5年なので、6年分の養育費のうち1年分は請求することができません。一方、調停や訴訟で取り決めをしていた場合は、時効が10年なので、支払いが滞っている6年分をすべて請求することができます。

7. 未払いを防ぐための保証サービス

公園で遊ぶ親子

養育費は、子ども健やかに生活するために欠かせないお金です。

支払いがストップすれば、家計に大きな影響を与え、子ども衣食住に問題が生じる恐れもあります。このようなリスクを避けるためにも、養育費の保証サービスを利用すると安心です。

イントラストの養育費保証日本初の養育費保証サービスであり、養育費の未払いがあった場合には、養育費の支払い保証してくれます(上限あり)。養育費の支払義務者に対して電話で支払いの催促を行うだけでなく、自宅などへ訪問して催促をしてくれるため、自分で元夫と連絡を取る必要もありません。

時間的にも精神的にもストレスが軽減され、落ち着いて子どもとの生活に集中できるため、非常に頼りになるサービスです。

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(まとめ)養育費は子供のための費用。時効に気を付けてしっかり請求しよう!

微笑む母と子ども

養育費は、子どもをしっかりと育てて自立させるためにも欠かせない費用です。請求を後回しにしていると、時効を迎えて養育費を受け取れなくなる可能性もあります。

支払いがストップしたときは迅速に対応しなければなりません。離婚した後は二度と元夫とかかわりたくないと考える人も多いでしょうが、子どものためにも養育費はきちんと請求しましょう。


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