更新日: 2022.12.16

公開日:2020.07.13

離婚慰謝料はどのように決まる?請求できるケースや金額の決め方・相場を解説

顔を背け離れてこしかける夫婦

「慰謝料」は、離婚の際に金銭問題に発展しやすい要因のうちの一つです。

DVや、不貞・浮気、モラハラなど、相手に離婚の原因がある場合には、相手に慰謝料を請求することができます。ですが、慰謝料の相場や金額の決め方、請求のタイミング、さらには税金はかかるのかなど、よくわからないことも多いですよね。

離婚後のお金の不安も小さくはないはず。相手に原因があり離婚をする場合は、金銭的に損をしたくないものです。

ここでは、離婚慰謝料にスポットを当てて解説します。請求できる場合はしっかりと請求し、後悔の無いようにしましょう。


~ この記事の監修 ~

渡邊弁護士

わたしのみらい法律事務所
弁護士 渡邊 未来子
弁護士登録後に保育士資格を取得。養育費保証制度の相談会やセミナー、子ども食堂支援等を通じて、ひとり親家庭の支援活動を行っている。

>>所属団体のサイトを見る


1. 離婚慰謝料とは

電卓と小物

慰謝料とは、不法行為の被害者が受けた精神的苦痛に対して、加害者が支払う損害賠償のことを言います。

ですので、離婚時に請求する慰謝料は、自身が配偶者から精神的・肉体的苦痛を受けた場合に、その損害賠償の意味合いとして自身が配偶者へ請求するものになります。

例えば、

  • 暴力暴言を与えられた
  • 配偶者が別の異性と不貞を働いた
  • 生活費を渡されない

などで、苦痛を受けたと判断される場合や、これらが離婚の原因となる場合に慰謝料を請求することができるのです。

2. 離婚慰謝料の相場は「100万円~300万円」

電卓をもった女性

離婚慰謝料の相場は以下の通りです。

離婚慰謝料の決め方離婚慰謝料の相場
話し合いで決めた場合約100万円~300万円
調停・裁判で決めた場合約50万円~500万円
表:離婚慰謝料の相場

調停や裁判で離婚慰謝料を決めた場合の相場は、金額に幅があります。おおよその目安として、100万円~300万円と認識しておきましょう

また、離婚慰謝料の金額は、離婚後の生活をずっと支えるほどのものにはならないと考えたほうが良いでしょう。

なお、慰謝料は、離婚原因や精神的苦痛の度合いなどによって発生するものです。

算出方法として「結婚してからの同居年数×一定の額」といった計算式が持ち出されることもありますが、そこまで簡単に金額が決まるものではありません

離婚時の慰謝料は相場に沿った一定額というわけではなく、個々人の状況によって金額が変動します。下記は、離婚時の慰謝料金額を算定する際に影響する要素の一例です。

  • 慰謝料請求の理由となる精神的苦痛の大きさ
  • 慰謝料請求の理由となる精神的苦痛を受けた期間の長さ
  • 慰謝料を請求する側の離婚後の経済状態
  • 離婚慰謝料を支払う側の支払い能力社会的地位
  • 離婚慰謝料を支払う側の暴力(DV)やモラハラ、浮気の程度
  • 夫婦の婚姻期間の長さ
  • 子どもの有無夫婦どちらが親権を取るか
  • 不貞の場合、不倫関係の相手との子どもがいるか
  • 不貞の場合、不倫関係を続けている期間

 例えば、離婚理由がDVやモラハラ、浮気などの場合は、DVやモラハラを受けていた、また浮気をされていた期間の長さによって、相場にかかわらず金額が大きくなる傾向があります

また、芸能人が相手の浮気が原因で離婚をした際に、相場から外れた高額な慰謝料を請求すると報道されることもありますが、これはイメージダウンによる減収財産分与など、ほかの要素を加えて請求している可能性が考えられます

もちろん、離婚理由や状況によって相場以上の金額が請求できるケースもあります。

慰謝料請求する際に相場を参考にしてみたものの、どのくらいの金額が妥当なのか、相場以上の金額が受け取れる可能性があるのか気になる場合は、弁護士に相談してみましょう

3. 離婚慰謝料の金額の決め方

考える女性

金額や支払方法などといった条件を決める方法は、

  • 夫婦間で決める「協議
  • 裁判所を挟んで決める「調停・裁判

上記の2つの方法があります。

慰謝料の支払いについて相手が合意をすれば、慰謝料に受取権利が確立します。ここでは、離婚慰謝料を決める際の方法についてご説明します。

3-1. 協議で決める場合

協議の場合は、

  • 直接話し合って決める方法
  • 書面でやり取りをして決める方法

のどちらかの方法で条件を決めていきます。以下はそれぞれのメリットとデメリットです。

 メリットデメリット
直接話し合って決める・相手の言い分に納得がいかなかったときに議論交渉がしやすい
・相手の責任逃れを防ぐことができる
・その場で話し合うため、折り合いがつけば早期解決に繋がる
・話し合いの途中で感情的になってしまい事態がもつれる可能性がある
・せっかく決まったのに後日言った言わない問答が発生する可能性がある
・リアルタイムで話し合いを進めるため、瞬時に適切な判断回答をしなければならない
書面でやり取りをして決める相手と会う必要がないため、既に別居をしていたり相手と会いにくい事情がある場合に向いている
・慰謝料を請求することになった原因やこちらの要求を明確に示すことができる
・もし相手から慰謝料について反論があった場合にもすぐに回答する必要がない
自分のペースで回答を準備することができる
・相手から返事がない、連絡が取れないなどと無責任な行動をとられる可能性がある
・書面でのやりとりになるため、解決に時間がかかる
表:慰謝料金額を決める際の方法別のメリット・デメリット

夫婦間の話し合いや書面でのやりとりで、慰謝料について円満に決定するのが理想です。

しかし、慰謝料の請求理由がDV・暴力、モラハラといった場合には、第三者、あるいは弁護士などの専門家も交えて協議したほうが良いケースも少なくありません

3-2. 調停や裁判で決める場合

協議で慰謝料が決まらなかった場合は、慰謝料請求調停を申し立てます。調停でも決まらなかった場合は、裁判での解決を試みます

調停の場合は、管轄の家庭裁判所に申し立てを行い、調停委員という第三者を交えて協議を行います。そこでお互いに条件への折り合いがつけば、慰謝料が決定します。

裁判の場合は、

  1. 地方裁判所に訴状を提出し訴訟を提起
  2. 裁判の途中で、裁判官から双方の言い分を踏まえた和解案を提示
  3. 和解案を受け入れて解決

となるケースが多数です。

なお、裁判をしても最終的に判決まで行く事例は少なく、和解示談で終わることもあります。判決まで進んだ場合は、自身の請求どおりの金額になるか、そもそも請求が棄却されてしまうかのどちらかしかありません。

こじれてしまうと時間と手間がかかりますし、弁護士に依頼する場合は弁護士費用などもかかります。そもそも、慰謝料の金額についてはケースバイケースです。いくら請求できるか確証のない話ですので、どのあたりで折り合うかも重要と言えます。

4. 離婚慰謝料が請求できるケース

切れた赤い糸とハサミ

離婚時に慰謝料を請求できるか否かは、その理由や状況によって変わります。原則として、相手に有責行為が認められる場合には、慰謝料の請求が認められることが民法上定められています。

慰謝料を請求する場合は、原因となった郵政行為の証拠や、慰謝料を請求する理由を明らかにしたものが必要になります。請求相手が言い逃れできないように、きちんとした証拠を準備しておきましょう。

ここでは、離婚時に慰謝料の請求が認められる具体的なケースをご紹介します。

4-1. 浮気・不貞行為

離婚をする理由が配偶者の浮気不貞行為だった場合、不法行為に基づく損害賠償請求として、配偶者に慰謝料を請求することができます。一般的に、浮気や不貞行為などといった実際に相手に非があるケースでは、婚姻期間が長いほど精神的苦痛も大きいと見なされ、慰謝料の金額も大きくなります

また、配偶者が浮気をしたことによるショックの度合いが大きいほど、慰謝料も多くなる傾向があるようです。

例えば、以下のような場合です。

  • 浮気の前科があり、「もう二度としない」と約束したのにも関わらず過ちを繰り返した
  • 浮気相手が配偶者の子どもを妊娠・出産した

浮気相手にも慰謝料を請求できるケースもありますが、浮気相手の社会的地位や支払い能力が慰謝料請求の可否に影響することもあります。

なお、例外として、

  • 浮気相手が既婚者とは知らずに交際していた
  • 交際を始めた時点で、すでに夫婦の婚姻関係が破たんしていた

上記のような場合には、浮気相手に慰謝料請求をすることができません

また、浮気や不貞行為による離婚慰謝料を請求する際には、浮気や不貞行為の証拠がなくてはなりません。浮気をしたという事実は、請求する側が立証しなければいけないので、ホテルに出入りする写真や、事実を認める発言の痕跡(最近は、文書でなくメールやLINEのやりとりなど)を押さえるようにしましょう。

4-2. 借金

夫婦共通の目的のためではなく、もっぱら個人のために行った借金で、夫婦関係の継続すら困難になったという場合には、離婚理由として認められ、慰謝料が請求できる場合があります。

具体的には、

  • ギャンブル
  • 単なる浪費
  • 風俗通い
  • 浮気相手に貢ぐための借金

などです。

この場合も慰謝料の金額は、相手から受けた苦痛の度合いや期間によって変わってきますし、慰謝料を請求する場合は、証拠となるものが必要です

通帳のコピーやクレジットカードの明細、家計簿の収支などを集めておくと良いでしょう。

なお、夫婦が共同で生活するために購入した家の住宅ローンや車のローンは、慰謝料の請求の対象にはなりません。

ただ、借金をする相手ですから、慰謝料を支払えるだけの資力があるかどうかは微妙なところです。実際に慰謝料の支払いを受ける場合には、額を下げて一括払いにするのか、分割にするのかなどをよく見極め、相手の支払能力も考えつつ条件の話し合いをするようにしましょう

4-3. DV・モラハラ

浮気や不貞による離婚を例に説明してきましたが、DVモラハラなどの理由でも、慰謝料請求ができます

なお、配偶者から暴力などのハラスメントを受けて来た期間回数、それによる被害の内容(怪我、うつ病の発症など)により金額は変わります。その際、こちら側にもそのような行動を誘引する言動がなかったかも、請求金額決定に影響する場合があります。

DVやモラハラで慰謝料を請求する場合、医療機関にかかった際の診断書、暴力を受けた際の怪我の写真被害の記録(メモやメール等)などが証拠になる場合があります。

4-4. 悪意の遺棄

  • 相手の親族とのいさかいに、相手が仲介してくれない
  • 働ける健康状態にもかかわらず働かない
  • 生活費を渡してくれない
  • 正当な理由もなく家を出ていき、別居状態になっている

このような状況であれば、夫婦間の義務に反する悪意の遺棄」に該当するため、慰謝料を請求できる可能性が高くなります

なお、

  • 長年にわたって性交渉を拒否されてきた(セックスレス)

という理由だけでは、離婚原因にはなっても慰謝料請求まではできない場合もあります。

しかし、その間で不倫相手とは性交渉していたということであれば慰謝料請求ができますし、性交渉の拒否が慰謝料の金額を決める際に深く影響してきます。

5. 離婚慰謝料が請求できないケース

バツがかかれた札を掲げる女性

ここでは、慰謝料が請求できないケースをご紹介します。

5-1. 性格・価値観の不一致

離婚理由で最も多い「性格の不一致」は、慰謝料請求の対象にはなりません

なぜなら、離婚理由が「性格・価値観の不一致」のみである場合、慰謝料の支払いを認める程度の精神的・肉体的苦痛を被ったとは考えられにくく、夫婦の片方のみに原因があるとは言いにくいためです

なお、慰謝料請求ができないのは、あくまで離婚理由が「性格・価値観の不一致のみである場合」です。性格・価値観の不一致を理由に、配偶者が浮気や不貞行為、モラハラ、DVをした結果離婚に至る場合には、慰謝料請求ができるケースが多いです

5-2. 配偶者と長期にわたり別居していた

「配偶者と長期にわたり別居していた」場合も、配偶者にも原則として慰謝料は請求できません。これは、婚姻関係が既に破綻していたとみなされるためです

配偶者が浮気をしていたとしても、長期にわたり別居をしていた場合には、同様に慰謝料請求が認められないことが多いようです。この場合、配偶者だけでなく浮気相手にも慰謝料の請求ができません

5-3. 慰謝料請求の原因となる証拠がない

  • 相手が浮気・不貞行為をしていた
  • 相手からモラハラやDVを受けていた

など、本来であれば慰謝料が請求できる離婚理由だったとしても、これらの行為の証拠がないと慰謝料を請求することができません

厳密に言えば、慰謝料を請求したとしても、調停や裁判の際にそれらの行為が本当にあったのかを証明することができないため、慰謝料請求を認められないのです。

6. 離婚慰謝料を請求する手順

サイコロに座って向かい合う男女の人形

実際に慰謝料の金額を決めた後、支払いを受けるまでの流れをご説明します。

6-1. 決めた内容を書面にする

夫婦間の協議で慰謝料金額を決めた場合、まずは決めた内容をきちんと書面にすることをおすすめします。

以下は、書面に記載するべき内容の一例です。

  • 慰謝料を請求する理由
  • 請求する慰謝料の金額
  • 一括払いか分割払いか
  • 支払期日
  • 支払方法
  • (振り込みによる支払いの場合)受取り側が指定する振込先銀行口座
  • 上記の内容に双方が合意することを示す一文
  • 合意した日付
  • 双方の署名住所捺印

慰謝料請求と同時に離婚手続きも進める場合には、財産分与年金分割、子どもがいる場合には養育費のことなど、慰謝料以外にも取り決めることが多数あります

そのため、慰謝料と同時に他の項目も決め、まとめて公正証書にて取り決め書面を作成すると、協議や書面作成が二度手間にならずスムーズに進めることができるでしょう。

なお、調停や裁判で取り決めた場合は、調停調書や和解調書、判決書などといった、取り決めた内容が裁判所によって書面化された公文書が作成されるため、自身で作成する必要はありません

6-2. 実際に支払いを受ける

取り決めた期日に、取り決めた通りの支払い方法にて慰謝料の支払いを受けます。

相手の支払い能力に不安があったり、取り決めたにもかかわらず「年収が下がったので支払えない」「支払いを待ってほしい」などと言い訳をして支払いを逃れようとする不安がある場合には、慰謝料の支払いについて連帯保証人を付けるのも一つの手です

7. 離婚慰謝料を請求する際の注意点

ここでは、離婚慰謝料を請求するときや支払いを受けるときの注意点をご紹介します。

7-1. 必ずしも請求できるとは限らない

ここまでの説明でお分かりかとは思いますが、離婚の際に必ず慰謝料の支払いを受けることができるとは限りません。慰謝料を請求するに値する有責行為が見られた場合のみ、請求することができます。

  • 離婚をすれば、必ず慰謝料を受け取ることができる
  • 「慰謝料は、離婚をした後に夫から妻へ支払われるもの」

という認識は、よくある勘違いです。

自分が置かれている状況で慰謝料請求ができるのかを知りたい場合は、早めに弁護士に相談するといいでしょう。

7-2. 請求するためには証拠が必要

前述の通り、慰謝料が請求できる理由で離婚をする場合でも、それらを証明する証拠がないと不法行為が認められず、慰謝料を請求することができません。そのため、慰謝料請求の原因となる行為の証拠を準備する必要があります。

下記は、離婚理由別の証拠となりえるものの例です。必ず証拠を押さえてから離婚を切り出し、慰謝料について交渉するようにしましょう。

請求理由証拠の例
浮気・不貞行為肉体関係があったことがわかるメールやSNSの投稿、現場の写真、動画、録音
DV・モラハラDV・モラハラを記録したメモや日記、暴言の録音、怪我や器物損壊現場の写真、病院の診断書 など
悪意の遺棄
(生活費を渡さない、正当な理由のない別居など)
生活費の振り込みが途絶えたことがわかる通帳の記録、別居するに至った経緯や別居先を特定できるもの
慰謝料請求の際に必要になる証拠例

7-3. 原則、二重取りはできない

例えば、夫の不倫が原因で離婚をすることになり、法廷で慰謝料が200万円と決まったとします

この場合「夫から200万円、不倫相手からも200万円二重で支払いを受けることはできません。不倫相手から支払いを受ける場合でも「夫から150万円、不倫相手から50万円などというように、200万円の範囲でしか請求することができないのです。

ただ、不倫相手が任意で支払いに応じる場合や、法廷外で慰謝料金額を取り決めた場合は、双方から慰謝料の支払いを受けることができます。

7-4. 離婚協議で支払い方法について取り決める

慰謝料をいつ受け取るか、どのように受け取るか等、支払方法の条件についても、離婚協議や調停のタイミングで決めることになります。支払う側の都合にもよりますが、一括支払いではなく何回かに分割して支払われるケースもあります。

また、話がついてすぐに受け取れるとは限らず、初回の支払い日も話し合いの中で決めることになるでしょう。相談して決めた慰謝料の支払われ方については、離婚協議書や調停調書といった書面に記載することが大切です

いつどのようにして受け取るかを明確にでき、支払いの確実性をより高めることができます。

  • 振り込まれる銀行口座
  • 支払い開始日
  • 最終支払い日

などと細かく指定することで、支払いの漏れや遅れも明確になり、払われなかった場合に請求しやすくなります。

慰謝料の支払いを分割にする場合、遅れた際には一括請求できる、ということも定めておいた方がいいでしょう。この場合、取り決め書類に明記しておかないとできませんから、しっかり書いておくことをおすすめします。

また、慰謝料が約束の期日に支払われなかった場合に備え「遅延損害金を別途請求できる」などの条件も決めておくこともおすすめします

離婚協議書に遅延損害金の件をしっかり記載しておけば、実際に遅延が発生した場合、その額も含めた請求をすることもできます。

何を決めるかしっかり定め、離婚協議に臨むようにしましょう。

7-5. 基本非課税だが、課税対象になる場合も

離婚を原因として受け取った慰謝料には、原則として所得税、贈与税が課せられることはありません。なぜなら、慰謝料は損害賠償金、つまり損害の補填であるため収入や利益ではないという考え方をするためです。

原則として課税されないというのは、養育費財産分与についても同様です。養育費は扶養義務に基づく生活資金であり、財産分与も夫婦の共有財産の清算手続きであるため課税されないのです。そのため、原則として確定申告をする義務もありません。

ただし、慰謝料はそれなりの金額のお金です。どのような場合でも非課税かというと、そうではありません。支払い額が社会通念上で過大であると税務署が認めると、その超過した金額分に対しては贈与税が課せられる可能性もあるのです

例えば、損害賠償の範疇を遥かに超えた多額の金銭不動産を受け取ったケースなどが考えられます。特に不動産については、評価額の変動によって多額とみなされる場合がありますので、そのような心配があれば、税理士などの専門家に相談して対策を考えておくべきです。

税務署からどのようなお金か指摘された場合に備え、その金額が慰謝料であることを離婚協議書や調停調書などに記載しておき、あとから説明できるようにしておきましょう。

急いで離婚する前に。子どもの養育費について考えよう。
養育費の受け取りに不安があるなら

7-6. 離婚慰謝料には時効がある

慰謝料は、請求の原因となる事実が生じたときから3年以内であれば請求することができます。逆に言えば、3年で時効となるので、慰謝料を受け取る機会をうっかり逃さないよう、それまでに請求するのかどうか決断しておく必要があります。

3年過ぎた後でも相手が時効を主張せず、慰謝料を支払う意思を表明すれば受け取ることは可能です。それ以前に相手側が時効を主張しなければ、請求権が消滅することはありません。

また、3年というのはその行為があったことを知ってから、ということになりますので、それを知らなかった場合には行為があった時点から20年以内であれば慰謝料は請求できます。

3年経つ前に、時効を止める方法は以下の2つです。

  • 裁判上の手続きで慰謝料を請求する
  • 一旦、内容証明郵便で相手に支払いの催告を送ってから、6ヵ月以内に裁判上の手続きを取る

後者は準備が間に合わなければ検討するようにしましょう。どちらかの方法で裁判上の手続きを取れば、時効期間のカウントはいったんゼロになり、そこからまた時効までのカウントが始まることになります

とはいえ、手続きの負担もかかりますし、相手とのやりとりをいつまでも行いたくはないでしょうから、3年以内に慰謝料はきっちり請求することをおすすめします

(まとめ)離婚慰謝料を請求するためのポイント

考える女性と余白

離婚時に慰謝料を請求する際におさえておきたいポイントは以下の4つです。

  • 慰謝料とは、離婚の原因となった行為による精神的苦痛に対して支払われる損害賠償
  • 慰謝料の相場はおおよそ100万円~300万円だが、苦痛の度合いや期間で変動する
  • 慰謝料について決まった内容は、離婚協議書調停調書などにしっかり記す
  • 慰謝料には時効があるので3年以内に必ず請求する

慰謝料は、苦痛の度合いという、数字でははかりにくいものをお金に換算するもので、取り決め方は状況によって様々です。

そもそも慰謝料を請求できるかどうか、もし相手との話し合いがうまく進まなかったりこじれそうな場合は、弁護士への相談を検討するのも良いでしょう。ご自身の収入状況によっては、法テラスなら相談料を自己負担せずに弁護士の相談ができる場合があります。

離婚後に揉め事は持ち越したくないもの。慰謝料については、離婚時にしっかりと取り決めておきましょう。


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