2021.03.29

離婚したあとで養育費の減額はできる?減額の条件や方法を解説

考える男性

離婚を考えたときに悩むことの1つが、養育費はどのくらいが妥当かということでしょう。また、すでに離婚していて、毎月の養育費の負担が大きくて減額したいものの、どれくらいが適正な金額わからない人もいるのではないでしょうか。

ここでは、養育費のおおよその相場減額できる条件、その方法などについて紹介します。この記事を読めば、具体的に何をするべきかがわかり、前向きな気持ちで減額の交渉を進められるようになるでしょう。


~ この記事の監修 ~

青野弁護士

青野・平山法律事務所
弁護士 青野 悠
夫婦関係を解消する場合、財産分与・養育費など多くの問題が付随して発生しますので、これらの問題を全体的にみて、より望ましい解決になるよう尽力します。

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1. 養育費の相場は?

愛とお金

養育費とは、直接子どもの面倒をみていない(監護していない)親が、子どもを養育するための費用として監護している親に支払うお金のことです。

親には未成熟な子どもの生活保障する義務があります。離婚して子どもと離れて暮らすことになっても、親の扶養義務なくなることはありません
そのため、養育費を支払うことは法律によって義務付けられていますが、養育費の具体的な金額についてはとくに決まっていません。離婚時に話し合い、双方納得のいく金額で折り合いがつけばその額で決まりです。

しかし、話し合いで養育費の金額が決まることはあまり多くありません。

双方の話し合いによって話がまとまらないときは、家庭裁判所に養育費を請求する調停を申し立て、東京・大阪の裁判官等により提案された養育費算定表を参考にして金額を決定することが一般的です。

養育費の金額は子どもの数年齢、義務者(支払う人)・権利者(受け取る人)の年収額によって変動します。

たとえば、14歳以下の子どもが1人いて受け取る側の給与年収が200万円だとしましょう。このとき、支払う側の給与年収が300万円であれば月額2万~4万円程度、年収450万円であれば月額4~6万円が養育費の相場です。

(参考記事)養育費の計算方法が知りたい!額を左右する要素・損をしない方法

2. 養育費の支払い期間

カレンダー

養育費は、未成熟な子どもの生活保障するための費用です。
そのため、一般には子どもが成人するまで支払うことになります。成人するまでなので、基本的には20歳まで支払うことが必要です。

ただし、民法の改正によって2022年4月から成年年齢が18歳に下がるため、それ以降は養育費の支払いは18歳までとなる可能性もあります。

なお、この民法改正は選挙権年齢を20歳以上から満18歳以上に改められたことに伴うもので、成年年齢が引き下げられたからといって、あくまで「18歳までとなる可能性があるだけであって、必ずしも「養育費も18歳まで」ということにはなりません

また、20歳まで支払うとするのは慣例であって、法律で定まっているわけではありません。そのため、当事者間で話し合って双方の合意があれば、支払いを終了する時期を20歳以外にすることもできます。

双方が納得している場合に限り、たとえば大学を卒業する22歳までとしても良く、高校卒業までの18歳としても構いません。

(参考記事)養育費を支払う義務があるのは何歳まで?離婚の際に取り決めよう

3. 条件次第で減額ができる

チェックリスト

離婚時に養育費の金額を決めたとしても、その後の生活環境の変化などにより減額してほしくなることもあるでしょう。

いったん決めた養育費を減額することは、不可能ではありません条件次第ですが、減額が認められることもあります。

たとえば、支払い側の経済状況が悪化したり受け取る側の経済状況が改善したりしたケースです。もちろん、条件によっては減額が認められないこともあります。ここでは、減額できるケースとできないケースとをそれぞれ見ていきましょう。

3-1. 減額できる条件

既に述べたとおり、養育費の金額を決める基準の1つは支払い側・受け取る側の年収です。
離婚した後に支払い側の年収が減った、あるいは受け取る側の年収が増えたときなどは、養育費の減額が認められることがあります。

そのほか、どちらかが再婚して、新たに扶養すべき子ができたとき、あるいは再婚相手の子と養子縁組をしたときなども、養育費の金額に影響する可能性があります。

3-1-1. 支払い側の収入が減った

養育費の金額は、子どもの数年齢のほかに、双方の年収を基準にして算定します。
離婚してから養育費の支払いが終わるまでの間に、支払い側が勤めていた会社が倒産したりリストラにあったりして、収入がなくなったり大幅にダウンしたりすることもあるでしょう。

また、事故による怪我病気で働けなくなることもありえます。そのようなときは、支払い側の収入額に応じて養育費を減額できる可能性があります。 

3-1-2. 支払い側の扶養家族が増えた

支払い側再婚して、新しい配偶者ができたり子どもが生まれたりしたとしましょう。すると、支払い側には、再婚相手や生まれた子どもを扶養する義務が発生します。

それだけ支払い側の経済的負担が増えるため、それを理由に減額請求が認められる可能性があります。

再婚相手に連れ子がいて養子縁組した場合も同様で、減額請求が認められる可能性があります。

3-1-3. 受け取る側(親権がある)が再婚した

養育費を受け取っている側再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組したとしましょう。

このとき、再婚相手が子どもの第1次的扶養義務者となります。
すると、支払い側の扶養義務が軽くなるため、受け取る側の再婚相手の年収次第で、養育費の減額が認められる可能性があります。

場合によっては、養育費の支払いそのものが免除される場合もあります。
ただし、受け取る側が再婚したからといって、必ずしも養育費の減額や支払いの免除が認められるわけではありません。

たとえば、受け取る側の再婚相手が病気など正当な理由があって働けない収入がほとんどない状態にあるときは、減額が認められないこともあります。

また、再婚相手と子どもが養子縁組していないときは、再婚相手に子どもの扶養義務は生じませんそのため、減額が認められる可能性は低いです。

(参考記事)再婚したら養育費は減額される?減額される場合とされない場合

3-1-4. 受け取る側(親権がある)の収入が増えた

離婚したあと、受け取る側がパートから正社員になったり起業に成功したりして、収入や資産が大幅に増え経済状況が向上することがあります。
このようなケースでも、支払い側からの養育費の減額請求が認められることがあります。

ただし、離婚時の取り決めで、受け取る側の収入が増えることを見越して養育費の金額を決めていたときは別です。
この場合は、実際に経済事情が良くなったことを理由として減額が認められる可能性は低いでしょう。

また、当初養育費を決めた当時に想定していなかった事情、例えば、子どもに持病があって継続的に医療費を要する、私立学校に進学して公立に比べて高額な授業料を要する、といった事情が考慮されて、減額が認められないこともあります。

3-2. 減額できない場合の理由

養育費を減額してほしくても、理由によっては認められないこともあります。たとえば、次のようなケースです。

  • 相手が子どもと面会させてくれない
  • 支払っている養育費が相場より高い

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

3-2-1. 子どもと面会ができない

離婚時に「月に1回子どもと面会する」などと決めたのにもかかわらず、実際には理由をつけて会わせてもらえないことがあります。
子どもに会うこともできないのであれば、毎月何万円もの養育費を支払いたくないと思ってしまう人もいるでしょう。

しかし、面会ができないことを理由に、養育費の減額支払い拒否認められることはありません
なぜなら、養育費の支払い義務面会交流とは別の問題であり、引き換えにできるものではないからです。

3-2-2. 相場より高いと感じるとき

離婚時には、一般的な相場をよく知らないまま、双方で話し合って養育費の金額を決めることがあります。なかには相場よりも明らかに高い金額を設定していることもあるでしょう。

あとになって支払っている金額が相場よりかなり高いことが判明したとしても、特別な事情の変更がない限り、それを理由に減額することはできません
なぜなら、相場より高かろうと低かろうと、いったんはその金額で納得して合意しているからです。

合意したほうにも責任があるため、減額することは認められません。

4. 減額するための手続き

話し合い

養育費の減額を希望したときは、一定の手続きをとることが必要です。
ここでは、話し合い・調停・審判などのステップごとに、どのようなものか詳しく説明します。

4-1. 減額に対する話し合いを行う

養育費の減額を求めるときは、まずは受け取り側に連絡をとり、話し合いましょう。
当事者間で話し合ってまとまれば、スピーディに解決できます。
忙しいなか、家庭裁判所に調停を申し立てるといった面倒な手続き不要です。

減額について話し合うときは、高圧的な態度で一方的に告げたりするのではなく、きちんと理由を伝えて相手に状況を理解してもらうよう努めましょう。
これは、話合いが不調に終わり調停にうつる可能性を考慮してのことです。相手に悪い印象を与える言動はなるべく慎む必要があります。

話し合いで養育費の減額について合意できたら、すぐに書面を作成して取り決めの内容を残しておきましょう。

書面を作成して取り交わしておくことで、養育費を減額した事実法的に明確にすることができます。
口約束も法的な効力はありますが、相手がその約束を否定したときに、証拠が残らない上、実際にそれを証明することは困難です。必ず書面で内容を残すようにしましょう。

4-2. 養育費減額請求調停の申し立て

受け取る側にも生活があるため、話し合っても減額に応じてもらえないこともあるでしょう。また、話し合いそのものを拒否されることもあります。

そのときは、家庭裁判所調停を申し立てることが必要です。

調停では、調停委員がそれぞれに別々に事情を聞き、相手に互いの主張を伝えて妥当な解決をめざします。
調停の初回和解が成立したときに相手と顔を合わせることはありますが、調停中に直接話し合うことはありません。

ここでは、養育費減額請求調停を申し立てる際に必要な書類終了までにかかる期間費用などについて紹介します。

4-2-1. 調停の申し立てに必要な書類

養育費減額請求調停は、養育費を受け取る側の住所地にある家庭裁判所に対して申し立てを行います。申し立てに必要な書類は次のとおりです。

  • 養育費調停申立書:申立人や相手、子どもの氏名や申し立ての趣旨、理由などを記載するもの
  • 事情説明書:調停にいたる事情を説明するもの
  • 調停に関わる進行照会書:相手との話し合いの状況や調停を希望する日、配慮を希望することなどを記載するもの
  • 子どもの戸籍謄本
  • 申立人の収入に関する書類:給与明細や源泉徴収票など収入を証明できる書類

申立書や事情説明書、進行照会書は、家庭裁判所の窓口で受け取るか、裁判所のサイトからダウンロードすることで入手できます。

4-2-2. 調停にかかる期間

1回目の調停が実施されたあと、2回目の調停が行われるのはおよそ1カ月後です。その後は、調停の都度、次回の日にちが決定されます。

調停が何回実施されるかは決まっていません。双方が合意にいたったときか、これ以上話し合っても合意にはいたらないと判断されたとき申立人が取り下げたときのいずれかの時点で終了となります。

お互いが合意したときは調停成立で、確定した事項を記した書類を発行して完了です。
合意にいたらなかったときは調停不成立となり、この後は自動的に審判に移行します。調停を取り下げた場合は、そこで完全に終わりです。

調停にかかる期間はケースによって異なります。一般的に、開始から6カ月以内に終わることが多いでしょう。ただし、1年以上かかることもあります。

4-2-3. 調停にかかる費用

家庭裁判所に申し立てる際、提出する調停申立書には印紙を貼付する必要があります。このほかに、連絡用として郵便切手も納めなければなりません。

収入印紙は子ども1人につき1,200円、郵便切手は800~1,000円程度です。
子どもの数によって変わりますが、調停にかかるおおよその費用は2,000~4,000円ほどでしょう。

これ以外に、子どもの戸籍謄本の取得費用家庭裁判所までの交通費などが必要です。

4-2-4. 調停で決着がつかない場合

調停を行って話し合いを繰り返しても、合意にいたらないこともあるでしょう。
調停が不成立となった場合は、自動的に養育費減額審判に移行します。

これは、裁判官が調停委員の意見もふまえたうえで審問や提出された資料をもとに判断を下すものです。自動的に移行するため、審判のために何か手続きをする必要はありません

一般的に、調停不成立から審判が下されるまでには3~4カ月かかるとされます。とはいえ、状況によっては1~2カ月で済むこともあれば、もっとかかることもあるでしょう。

審判で決まった金額は守らなければなりません。支払いを怠ると、強制執行により差し押さえされることもあるので注意しましょう。

5. 一方的な減額はダメ

手で×印を作る男性

養育費の支払いがあるために経済的に厳しいと感じたとしても、一方的に減額してはいけません。

まずは相手と話し合いをし、それでも無理なら調停審判へと、これまで述べた手順に従って減額の請求を行いましょう。

特に、強制執行受諾文言付きの公正証書など債務名義による取り決めがあるにもかかわらず、一方的に減額することは認められていません
相手に給与口座や預貯金口座を差し押さえられたりすることがあるので、注意が必要です。

債務名義とは、債権者(養育費を受け取る側)が債務者(養育費を支払う側)に対して強制執行することを許可する公的な書類のことです。
これがあると、養育費を支払わなかったり一方的に減額したりした相手に対し、強制執行によって財産差し押さえることができます。

強制執行受託文言とは「もし養育費を支払わなかったときは、強制執行されても抗議しません」という主旨の文言です。養育費について取り決めた公正証書にこの文言が記されていると、債務名義として機能します。

(まとめ)手続きは必要だが、養育費の減額はできる!

手続きをする男性

離婚後状況が変わり、これまでどおりに養育費を支払うのが難しくなることもあるでしょう。

養育費保証サービス民事執行法の改正など、養育費の支払いを保護する動きが国全体としてあり、勝手に一方的な減額をすると、厳しい回収にあう可能性があります。減額を希望するなら、まずは相手と誠実に話し合うことが大切です。

話し合いで解決しなくても、調停や審判によって減額できることもあるので、きちんと手続きをとりましょう。

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