更新日: 2022.12.02
公開日:2020.12.28
養育費の未払いで困っている!支払ってもらうための適切な対応とは?

養育費は子どものための生活費や教育費であり、親権者にはこれを受け取る権利があります。
しかし、適切な取り決めを交わしたにもかかわらず未払いとなった場合、支払義務者に対して毅然とした対応を取らなければずっと未払いのまま、というのが現状なのです。
現に、
- 「養育費が振り込まれない」
- 「支払義務者が養育費を急に払わなくなった」
とお悩みの方は多いようです。
この記事では、養育費が未払いになってしまった場合の対処方法や受け取るための方法、未払い予防法をご紹介します。子どもの将来のためにちゃんと養育費が受け取れるよう、きちんと対策をしましょう。
~ この記事の監修 ~

青野・平山法律事務所
弁護士 青野 悠
夫婦関係を解消する場合、財産分与・養育費など多くの問題が付随して発生しますので、これらの問題を全体的にみて、より望ましい解決になるよう尽力します。
1. 未払いが多いって本当?養育費の支払い実態

まず、母子家庭の養育費の受け取り状況を見てみましょう。
厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果によると「養育費を今でも受け取っている」という人は24.3%、「養育費を過去に受け取ったことがあるが今は受け取っていない」という人は15.5%、「養育費を受け取ったことがない」という人は56.0%です。
つまり、これまで一度も養育費を受け取ったことがないという人は半数以上にのぼり、受け取っている人のほうが珍しい状況なのです。「養育費を過去に受け取ったことがあるが今は受け取ってない」という人の割合も、小さくありません。
離婚してからしばらくは養育費が支払われていても、途中から支払われなくなってしまうケースも多々あり、養育費未払い問題は深刻であることがわかります。
2. 未払い養育費を請求する手順・方法

未払い養育費の請求はどのような手順で行ったらよいのでしょうか。
行うべき順番とともに、請求の方法について解説します。
2-1. 口頭で催促する
まずは、相手方に電話やメール、LINEなどで支払いの催促をします。
「離婚した相手とはもう連絡を取りたくない」と思う方も多いでしょう。ですが、ここで催促の連絡をせずにいると、相手方に「養育費の支払いを忘れていたけど、何も言われないから支払わなくてもいいのか」と思われてしまう可能性があります。
もちろん支払わなくていい訳がありません。ですが、親権者からの支払い催促がないことに甘んじて支払いをしない義務者が非常に多く、最終的に親権者側が泣き寝入りしてしまうケースが後を絶たないのです。
相手が養育費の支払いをうっかり忘れているだけの可能性もあるため、まずは電話やメールなどを使って催促してみましょう。
特に、未払いになるのが初めてであり、何ヵ月も続いているわけではない場合には、いきなり法的な手段に出る必要はないといえます。ただの支払い忘れである場合には、連絡を入れればすぐに養育費が振り込まれて丸くおさまるはずです。
しかし、相手方が意図的に支払わないようにしている場合には、未払いが続くことになります。口頭で催促してもはぐらかされてしまうようならば、次の方法に移りましょう。
2-2. 書面で催促する
口頭で催促をしても支払ってもらえなかった場合や、話を聞いてもらえそうにない場合などは、書面で催促をします。
普通郵便では相手にちゃんと届いたかどうかがこちらにはわかりません。そのため「内容証明郵便」を使いましょう。内容証明郵便とは、郵便局が手紙の内容やいつ届いたのかなどを証明してくれるサービスです。
受け取るときには相手のサインが必要ですので「そんな郵便物は受け取っていない」といった言い逃れができなくなります。手紙の内容が養育費の催促であることも郵便局が証明してくれるため「未払い養育費の催促なんてされていない」という言い逃れもできません。
万が一受け取りを拒否されたとしても、受け取りを拒否したという事実が証明され、こちらにもそれが伝えられる仕組みになっています。相手の受け取り結果に関わらず、催促をしたという事実が証明できるため、訴訟などでも証拠として活用することができます。
今後、法的手段を用いて未払い養育費の回収を行うかもしれません。そのような場合に備えて、書面にて未払い養育費の催促をする際には内容証明郵便を活用するようにしましょう。
2-3. 履行勧告・履行命令
家庭裁判所で調停や審判を行い離婚を成立させたにも関わらず、養育費の未払いが起きている場合には、家庭裁判所から支払人に対して履行勧告をしてもらえます。
履行勧告とは、家庭裁判所が支払人に対して書面の送付や電話などを行い「きちんと取り決めた約束(養育費の支払い)を果たしましょう」という旨の支払いの催促をすることです。
家庭裁判所には、
- 履行勧告申出書
- 調停調書や審判書のコピー
- 養育費が未払いとなっていることが証明できる資料のコピー
上記を提出することで履行勧告の申出ができます。なお、これらの手続きに費用はかかりません。
また、履行命令という制度もあります。履行命令とは、裁判所が相手方に対して事情聴取のための呼出を行い、相手方がこれに応じなかった場合に行われる支払い命令です。
履行命令に従わなかった場合には、裁判所から10万円以下の過料(罰金)の支払いが命じられます。過料はあくまでも裁判所の命令に従わなかったことに対する罰金ですので、そのお金が養育費として申立人へ支払われることはありません。
しかし、
- 家庭裁判所から直接支払い催促があること
- 従わなければ過料の支払いが命じられること
これらがプレッシャーとなり、養育費の支払いに応じるようになるケースもあります。
ここまでしても相手方が養育費を支払わない場合には、「強制執行」を検討することになります。
3. 養育費を強制執行で回収する手順・注意点

これまでご説明した請求方法で未払いが解決しなかった場合、強制執行を検討する流れとなります。
ここでは、強制執行についてご説明します。
3-1. 強制執行とは
強制執行とは、裁判所などの執行機関が債権者(養育費を受け取る側)の権利を守るために、支払いについて介入することです。
未払い養育費について強制執行をする場合、
- 給料口座
- 預貯金口座
などといった相手方の財産を差し押さえて、強制的に支払いをさせることがほとんどです。
給料が差し押さえられるようなことがあれば、金銭的なトラブルがあることを会社に知られてしまうため、社会的な信用に大きな傷がつきます。銀行口座を差し押さえられたとしても、口座取引において不利益をこうむる可能性が高いでしょう。
ほとんどの人が強制執行をされることは避けたいと考えるため、実際に執行が行われる手前で解決するケースも多いです。
3-2. 強制執行で口座を差し押さえをする方法・手順
ここでは、相手方の給与口座や預金口座を差し押さえする場合の大まかな流れをご説明します。
①債権差押命令の申立てをする
まずは、相手方の住所地を管轄する地方裁判所に「債権差押命令」の申立てを行います。
相手方の給与口座と預貯金口座を並行して差し押さえることもできますが、それぞれに申立手続きと費用が発生します。いずれの場合も、以下の必要書類を準備した上で申立てに進みましょう。
- 申立書一式(申立書表紙・当事者目録・請求債権目録、差押債権目録の4つ)
- 執行力のある債務名義の正本
- 送達証明書※1
- 資格証明書※2
※1 債務名義が相手方に送達されたことを証明する書類
※2 給与支払元である会社や預金口座の運営元である銀行の商業登記事項証明書
なお、債務名義に記載された住所と現住所が異なる場合、
- 債務名義に記載された住所
- 氏名と現在の住所
- 氏名
これら三つのつながりが証明できる公文書(戸籍謄本や住民票など)を別途準備する必要があります。
また、申立てには最低7,495円から費用が発生します(申立手数料4,000円~、郵便切手3,495円~)。費用は養育費を支払う側の人数や第三債務者(差し押さえ対象となる法人)の数に応じて多少の変動があります。
申立て時に少しでも不明な点がある場合には、なるべく早めに管轄の地方裁判所に問い合わせるようにしましょう。
(参考)預貯金を差し押さえる場合
[A] 債務名義に基づく差押え(扶養義務関係を除く)|裁判所
(参考)給与を差し押さえる場合
[B] 債務名義に基づく差押え(扶養義務に基づく定期金債権関係)|裁判所
②裁判所から差押命令が発送される
申立て内容に不備がない場合、地方裁判所から相手方・第三債務者へ差押命令が発送されます。ここでの第三債務者とは、相手方の勤務先企業や預金口座を持つ銀行を指します。
給与差し押さえをした場合、差押命令を受けた勤務先企業は、相手方に対して給与を全額支払うことを禁止されます。また、預貯金の差し押さえを行った場合は、差押命令を受けた銀行はその時点で預金口座を凍結します。
なお、相手方・第三債務者へ差押命令が行われると、その旨が記されている通知書が後日親権者の元に郵送で届きます。
③第三債務者に直接取り立てを行う
差押命令が送達された日から1週間が経過すると、親権者が取立権を持てるようになります。ここで注意が必要なのは、取立権が発生したからといって自動的に未払い養育費が振り込まれるわけではない点です。
取立権とは「第三債務者からの直接取立および回収が認められた権利」ですので、第三債務者へ自ら働きかけをしなければなりません。相手方の勤務先や預金口座を持つ銀行に直接連絡をし、相手方の給与または預貯金から未払い養育費分をこちら側に支払ってもらうよう調整を図りましょう。
④裁判所に取立結果を示す届出を提出する
取立権を持ち第三債務者へ働きかけをした後、取立結果にかかわらず裁判所へ届出をする必要があります。以下は、取立結果に応じて必要になる届出の種類です。
第三債務者からの取立状況 | 必要な届出 |
---|---|
未払い養育費の支払いを全額受けた場合 | 取立完了届 |
未払い養育費の支払いを一部受けた場合 | 取立届 |
未払い養育費の支払いを受けていない場合 | 支払を受けていない旨の届出 |
差し押さえの必要がなくなった場合 | 取下書 |
取立権が発生したにもかかわらず取立届の提出がなく2年が経過した場合、差押命令自体が取り消されてしまうことがあります。継続して差し押さえを行いたい場合には、必ず「支払を受けていない旨の届出」をするようにしましょう。
4. 強制執行で口座を差し押さえをするときの注意

相手方口座の差押命令の申立てをする前に、事前に押さえておくべきポイントをご紹介します。
4-1. 強制執行することを相手に言わない
差し押さえ対象となる財産は、差押命令が出たタイミングに存在する預貯金残高や口座が対象となります。
もし差押命令が出る前や申立前に相手方に言ってしまった場合、
- 差し押さえ直前で給与口座を変えられてしまう
- 預貯金を別口座に移されてしまう
などをされる恐れがあり、差し押さえが空振りに終わるリスクが出てしまいます。
強制執行を検討していたり予定している場合でも、絶対に相手方には言わないようにしましょう。
4-2. 相手の勤務先/預貯金口座がわかっていないとできない
差押命令の申立てをする際には、現時点で相手が勤めている法人や利用している口座の金融機関を特定している必要があります。これらがわからないと申立すらすることができないのです。
そのため、相手方の情報がわからない場合はまず「第三者からの情報取得手続」を活用し、調査をするようにしましょう。
なお、相手方が自営業の場合、給与口座の差し押さえはできません。そのため、他に差し押さえられる財産はないかを探す必要があります。
4-3. 強制執行をするためには債務名義が必要
強制執行をするためには「債務名義」を持っている必要があります。
養育費における債務名義とは、夫婦間で取り決めた養育費の支払い約束を国(裁判所)が認めたもので、この約束を破った際は直ちに強制執行をすることができます。家庭裁判所を通して離婚をした場合は、離婚成立の際に作成される「調停調書」「審判書」「和解調書」「判決文」などが債務名義にあたります。
通常、公正証書は債務名義にあたりませんが、文中に「強制執行認諾文言」を書き加えることによって債務名義化することもできます。
離婚協議書や養育費合意書、強制執行認諾文言がない公正証書では、強制執行をすることができません。そのため、まずは養育費請求調停を申し立て、債務名義を取得するところから始めなければなりません。
4-4. 相手方口座に残高がないと空振りに終わる可能性がある
預貯金口座を特定し差し押さえができたとしても、そもそもその口座にお金がない場合には当然支払いを受けることができません。
相手方の口座に残高があるタイミングを見極め、差し押さえをする行う必要があります。
5. 未払い養育費には時効がある?

養育費には時効が存在します。未払い分があったとしても、時効が成立してしまった後からでは受け取ることができなくなるかもしれません。
ここでは、未払い養育費が時効となるまでの期間を、
- 養育費についての取り決めがあった場合
- 養育費についての取り決めがなかった場合
の2パターンに分けて解説します。
また、時効が完成しても、未払い養育費を相手方に請求できるケースも併せてご紹介します。
5-1. 養育費について取り決めがあった場合
離婚時に養育費に関する取り決めをした場合、支払期日から起算して5年間で消滅時効が完成します。この期間は、協議や調停、裁判など、取り決め方法を問わず一律です。
前提として、養育費は毎月決まった金額が支払われる定期金債権にあたります。そのため、養育費の支払期日が到来した5年後にひと月分ずつ時効が成立していきます。5年経ったからといって、未払い養育費の全額が時効になるわけではありません。
また、すでに支払時期が到来したにもかかわらず支払われなかった未払い養育費について、再度裁判所を挟んで取り決めをした場合には、消滅時効の期間は10年に延長されます。公正証書では10年に延長されませんので、注意が必要です。
5-2. 養育費について取り決めがなかった場合
離婚時に養育費に関する取り決めをしなかった場合、そもそも養育費の支払い期間や金額、支払期日などが明文化されていないため、時効の起算となる日が存在しません。そのため、時効についての明確な決まりがない状態であるといえます。
また「これまで養育費の取り決めをしていなかったため請求をしておらず、離婚してしばらく経ってから初めて相手方に養育費を請求をした」という場合、初めて請求をした月分の養育費から支払いを受ける権利が発生します。
そのため、離婚時~請求をしていなかった時までの養育費を支払わせることは、基本的に難しいでしょう。
ですが、直接子どもの面倒を見ていない親にも子どもを扶養する義務があります。収入が多いか少ないか、正社員であるかどうかなどは関係なく、養育費を支払う義務があるのです。
養育費の請求をするのであれば、できるだけ早いに越したことはありません。養育費請求調停をするなどして、養育費の支払いに関する取り決めを作成するようにしましょう。
5-3. 時効が完成しても請求できるケース
時効が完成した場合でも、未払い養育費を請求できるケースがあります。
なぜなら、民法145条で「相手が消滅時効を援用することによって、初めて請求そのものができなくなる」と定めているからです。援用とは、時効が成立していることを理由に「支払いをしない」という意思を、相手がこちらに伝えてくることです。
相手が時効に気づいていなかったり知らなかった場合、そもそも援用をしてくることはありません。そのため、未払い養育費の消滅時効が完成していても、相手方が時効を援用していない場合は未払い養育費を請求できますし、請求を受けた相手が任意で支払ってくれるのであれば問題はありません。
未払い養育費を支払ってもらえる可能性が完全になくなるわけではありませんので、請求そのものをあきらめないようにしましょう。
6. 未払い養育費の時効を止める方法

養育費の時効を止めるには、どうしたらよいのでしょうか。
そもそも時効は、権利を持っているだけで使おうとしないのならば、権利を剥奪されても仕方がないという趣旨の制度です。つまり、自分の権利を主張するようなアクションを起こせば、時効がリセットになるのだと捉えておきましょう。
養育費が時効になってしまうことが心配だと考えている人へ向けて、時効を止める具体的な方法を紹介します。
6-1. 権利の承認
権利の承認とは、養育費を支払う側の人が「相手方には養育費を求める権利がある」、あるいは「自分には支払いの義務がある」と認めることや「自分には支払う意思がある」と示すことです。
権利の承認がなされれば、時効期間はリセットとなります。養育費を未払いの状態にしているような人に権利の承認をさせるのは、難しいのではないかと感じる人もいるかもしれません。しかし、養育費の一部を支払うことや支払いについて念書を交わすこと、減額や返済延長の申し入れをすることなども債務承認に含まれます。
全額の支払いが難しいのならば一部を支払ってほしいと要求することや、しばらく支払えないようならば返済延長の申し入れをしてほしいと求めることは可能なのではないでしょうか。
ずっと養育費を未払いにしていた人が自分から急に支払ってくるケースはほとんどありませんので、養育費をもらう権利を持っている人が何らかの働きかけをしなければ、権利を承認させるのは難しいといえるでしょう。
6-2. 裁判上の請求
養育費請求調停・訴訟などの方法で裁判上の請求をして債務名義を取得すると、時効がリセットされ数え直しになります。調停の場合は調停の申立てを行ったとき、訴訟の場合は訴訟の提起をしたときにさかのぼって時効が中断されます。
ただし、時効が間近に迫っている場合には、裁判上の請求をしようとしても手続きが間に合わない危険性があるので注意が必要です。このような場合には、裁判外で請求の意思を相手に伝える「催告」が有効です。
内容証明郵便などを使って未払い養育費請求の催告を行うと、6ヵ月間は時効の成立を止めることができます。催告によって時効の成立を止めている間に、裁判上の請求を行って債務名義を取得すれば時効がリセットされます。
6-3. 仮差押
仮差押とは、訴訟や調停をする前に相手の財産を仮に差し押さえることです。訴訟等で負けるかもしれないと感じると、相手は財産を隠したり使ってしまったりする可能性があります。
そのような事態を防ぐために、訴訟等に先んじて仮差押をするのです。勝訴すれば、仮差押をした財産のなかから未払いの養育費を支払わせることができます。また、仮差押にも時効を止める効果があります。
7. 未払いを予防する方法

養育費の未払いは、一度だけではなく何度も起こる可能性があります。
未払いが今後も起きるかもしれないと予想することができる場合、しっかりと支払ってもらうためにやっておけることはあるのでしょうか。
7-1. 未払い防止策①公正証書を作っておく
公正証書とは、公証人が夫婦の取り決めを正式な書類にまとめてくれるものです。公正証書に養育費の支払いが滞った場合は強制執行に服する旨の記載をしておけば、訴訟を起こすことなくすぐに強制執行ができます。
ただし、公正証書の作成には双方の合意が必要です。離婚後では公正証書の作成に応じてもらえないこともあるため、できれば離婚前に作成しておくのが望ましいでしょう。
ところで、公正証書と離婚協議書には違いがあることをご存知ですか?離婚協議書とは、公正証書と同様に養育費や慰謝料など、離婚するにあたっての決めごとを書面に記したものです。
しかし、離婚協議書には強制執行をする力がありません。口約束ではなく決めごとを書面に残しておくのはとても大切なことですが、あくまでも、話し合いの結果を書面に残したものなのです。
公正証書を作成しておらず離婚協議書だけがある場合、強制執行をするためにはまず訴訟を起こさなくてはなりません。
7-2. 未払い防止策②調停をする
調停とは、裁判所にて調停委員という専門家が間に入ってサポートをしながら、問題の解決を図ってくれるものです。離婚のときに調停をする場合もありますが、養育費の未払いが起こったあとでも調停はできます。
離婚した相手と顔を合わせなければならないのではないかと心配する人もいるでしょうが、安心してください。調停委員がそれぞれの人とマンツーマンで話をする形式ですので、一緒の席に呼ばれることはありません。費用も3,000〜4,000円程度と、訴訟を起こすよりもずっと安く済みます。
調停が成立すれば、未払い分の養育費の支払いを強制することができます。また、成立内容が調停証書に取りまとめられ書面に残るため 、今後また未払いが起こったときの支払いもスムーズになるでしょう。
また、離婚のときに裁判所を通していなかったとしても、調停をするときに裁判所を通せば履行勧告や履行命令ができるようになるというメリットもあります。
7-3. 未払い防止策③養育費保証で予防をする
きちんと取り決めをしたとしても未払いが発生する場合もあります。
それに、調停や強制執行などで未払い分を請求する方法は手間や時間がかかりますし、弁護士に依頼するにはまとまった費用も必要です。また、確実に回収できるわけではないのが難点です。
ですので、時間やお金に不安がある方は、離婚成立と同時に「養育費保証」サービスを利用して、未払いを予防する方法がおすすめです。
「養育費保証」とは、未払いが発生しても、保証会社が代わりに養育費を支払ってくれるサービスです。保証会社が立て替えた養育費は、そのまま保証会社が相手に請求するので、ご自身で催促の連絡をする必要がありません。
離婚手続きのときや未払いが発生する前に契約しておけば、いざというときにも安心ではないでしょうか。
これから離婚して養育費を受け取る予定の方は、まずは相談してみてください。
(まとめ)養育費の未払いが心配な場合は保証サービスがある

養育費は子どものためのお金です。将来、相手方の勝手な理由で支払いを止められたり、未払い養育費について泣き寝入りをするような事態に陥ることは絶対に避けたいですよね。
未払い養育費の請求方法や段取り、時効などについてしっかりとした知識を身につけ、確実に養育費を支払ってもらいましょう。
また、未払いが発生してしまったときには養育費の立て替えを行い、催促のストレスから解放してくれる「養育費保証」サービスもあります。
- 「今後離婚をするが、養育費の支払いに関して不安がある」
- 「今はきちんと支払われているが、将来滞納される可能性があると思うと怖い」
- 「相手方は信頼しているが、万が一の時に備えておきたい」
という方は、養育費保証サービスを検討してみてはいかがでしょうか。
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