更新日: 2022.06.17
公開日:2020.12.07
シングルマザーは賃貸を借りられる?~入居審査やお金の問題について~

離婚後に子どもを連れてシングルマザーになる女性は、新しく住む場所に対して不安を抱くことが多いのではないでしょうか。
特に、賃貸物件を借りる必要がある場合、収入面の制約から生活環境が大きく変わってしまう可能性があります。そもそも、入居審査に通り、賃貸物件を借りることができるのかを不安に思う方も多いでしょう。
この記事では、シングルマザーが入居審査のときに押さえておきたいポイントや、賃貸を契約する際の手続きの流れ、必要書類、家賃相場や初期費用の目安を、シングルマザーの経済状況を踏まえて解説します。
~ この記事の監修 ~

株式会社SMILELIFE project
ライフブックアドバイザー(FP) 池田 啓子
フィーオンリーのFPサービスを提供し保険や金融商品の販売をせずにライフプランニング相談業務を行っています。
1. シングルマザーは賃貸物件の入居審査に通る?

そもそも「シングルマザーは、賃貸物件の入居審査で無条件に落とされるのではないか」と考えている人も多いのではないでしょうか。
実は「シングルマザーである」というだけで、低く評価されたり無条件に落とされることはありません。
重要なのは、離婚歴以外のポイントです。入居審査の基準を満たしてさえいれば、離婚歴の有無にかかわらず賃貸物件を契約することができます。
ここでは、入居審査のポイントについて説明していきます。
1-1. 賃貸物件の入居審査のポイント
貸主や不動産屋さんがもっとも気にするポイントは「決められた家賃をきちんと支払い続けてくれるかどうか」です。
それを踏まえた上で、入居審査では以下のような項目がチェックされます。
- 年収
- 職業
- 勤務先の安定性
- 保証人・保証機関の有無
- 入居者の人柄や属性
- 子どもの年齢
通常、借主の年収が明確で安定した収入を得られる職業であれば、貸主も安心して賃貸物件を提供できます。しかし、収入が低い場合は家賃を滞納するリスクが出てしまうので、審査でも落ちやすくなってしまいます。もちろん、無職で収入がない場合では審査に通るのは難しいでしょう。
また、借主の年収がはっきりとしていても「職業」や「勤務先」について調べられます。そのため、雇用形態、勤務先の業種、経済状況・安定性などによっては、審査結果に影響することもあるでしょう。これらは総じて「家賃の支払い能力」を判断するための項目です。
また、家賃の支払い能力のほかに連帯保証人の有無や、本人の人柄も重要になってきます。ここまでが一般的なチェック項目です。
シングルマザーの場合は、子どもの年齢も審査対象となってきます。子どもがいる場合は、子どもの人数や年齢も聞かれることがあります。その際に、子どもの年齢が低いと入居を断られるケースもあるようです。これは、騒音問題やご近所トラブルなどに繋がるリスクがあると判断されるためです。
なお、子どもが9~10歳くらいである程度自立した状態にあると、審査には大きく影響しないといえます。
1-2. シングルマザーの入居審査でハードルになる要素
「シングルマザーだから家を借りにくい」というわけでは決してありません。事実、ひとりで子どもを育てながら賃貸物件に暮らしている女性はたくさんいます。
ただ、シングルマザーは育児に手がかかることも多く、職業や雇用形態が限定されてしまう傾向にあります。また、支出面では日々の生活費以外にも習い事や衣類、けがや病気による急な出費など、子どものいる家庭ではかかってくるお金も多くなってきます。
そのため、安定した収入源はあるかどうか、また、家賃を継続して支払えるかどうかを厳しくチェックされやすいのも事実です。 賃貸物件を借りる契約では、借主にしっかり家賃を払い続けられるだけの支払い能力があるかをチェックされますので、ある程度の経済力を満たしていないと審査に落とされてしまいます。
そのため、
- ある程度の経済力を満たし、それを証明できる
- 自身の収入に見合った賃料帯の物件探し
これらはシングルマザーにとってハードルになるといえるでしょう。
賃貸物件の貸主側から支払い能力について細かく追及されるケースもありますが、シングルマザー側から年収を証明できるのであれば大方問題はありません。
そのほかにも、
- 子どもの年齢が低い
- 連帯保証人の準備
が、入居審査のハードルになると言えるでしょう。
前述のとおり「子どもの年齢が低いと審査は厳しくなる」という点については、幼い子どもは夜泣きをするなどして、近隣のクレームを招くことがあり得るためです。
木造アパートなどでは近隣に音が響くため、ある程度防音ができるマンションを探してみるのも一つの手です。しかし、マンションとなると一般的に家賃相場が高くなってしまうのもネックです。
また「連帯保証人」の準備も、賃貸物件を借りたいシングルマザーにとって大きなハードルです。
賃貸物件に入居する際には、必ず連帯保証人をつけるように求められます。しかし、断られるかもしれないと連帯保証人を頼みにくかったり、そもそも頼めるような人がいないケースもあります。
もし、連帯保証人を頼める相手がいない場合は、保証会社の利用を検討するのもひとつの方法です。
保証会社とは、入居者の連帯保証人になって身元を保証してくれる企業です。もし入居者が家賃の支払い能力を失ったとき、保証会社が金額を立て替えてくれます。なお、あくまでも立替えなので、収入の目途が立った際には保証会社に返済をする必要があります。
今現在、日本の約7割の賃貸物件が、保証会社の利用を賃貸借契約の条件と定めています。保証会社必須の賃貸物件の場合、連帯保証人を準備する必要がないため、悩めるシングルマザーにとってはありがたいですよね。
なお、賃貸物件の入居審査と同時に保証の審査も行われ、審査が通れば保証会社の利用が可能です。
2. シングルマザーの賃貸物件の家賃はどれくらいが妥当?

賃貸物件を借りるときの家賃の目安は、月収の3分の1といわれています。これは一般的に言われており、シングルマザーに限りません。
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要」によると、シングルマザーの平均的な年間就労収入は200万円ほどです。ここに児童扶養手当などが加われば、シングルマザーの年間の収入は約243万円となります。
そのため、月収20万円ほどのシングルマザーが賃貸を借りる際の家賃相場は、約6.6万円と言えるでしょう。もちろん、収入がもっと高い人であれば、自身の月収の3分の1の範囲内で、希望する条件に合った物件を探すのもひとつの選択肢です。
3. シングルマザーが賃貸を借りるときの流れ・準備するもの

シングルマザーが賃貸物件を借りる際、どのような流れで手続きが進むのか、また準備するものは何かをご紹介します。
3-1. シングルマザーが賃貸を借りるときの手続きの流れ
入居審査を申込み、審査が通った後の手続きは、大体以下のような流れとなります。
- 入居日や賃貸借契約の締結日を決める
- 必要書類などの準備を進める
- ライフラインの契約や郵送物の転送手続きなどを必要に応じて行う
- 重要事項説明を受け、賃貸借契約を締結する
- 新居の鍵を受け取る
- 入居
シングルマザーが賃貸を借りる場合も、基本的には通常の入居手続きと大きな違いはありません。ただ、審査の時点で、シングルマザーの身分や収入が証明できるもの、子どもの身分証明書の提出が求められる場合があります。
次は、シングルマザーが賃貸物件を借りる際に準備が必要なものや書類をご紹介します。
3-2. シングルマザーが賃貸を借りるときに必要なもの
シングルマザーが賃貸物件を借りる際には、以下の準備が必要になります。
- 身分証明書(運転免許証、保険証、パスポートなど)
- 子どもの保険証
- 全員分の住民票(子どもとの続柄が記載されたもの)
- 印鑑登録証明書
- 収入が証明できる書類(源泉徴収票、確定申告書など)
- 賃貸借契約書に押印するための印鑑(実印、銀行届出印など)
- 連帯保証人、または保証会社
- 初期費用
4. 初期費用はどのくらいかかる?

賃貸物件を借りる際にかかる初期費用の目安は、大体家賃の4.5~5ヵ月分と言われています。
そのため、シングルマザーが6万円の物件を借りる場合、不動産会社へ支払う初期費用の目安は約27~30万円となります。
ただし、これはあくまで不動産会社へ支払う費用のみの目安です。他にも、引越し費用や鍵交換費用、保証会社を利用する場合は保証料などが別途発生します。引越し費用などその他費用を合わせると、40~45万円はかかると見積もっておいた方がいいでしょう。
以下は、かかる初期費用の内訳と目安です。
項目 | 説明 | 費用の目安 |
---|---|---|
敷金 | 退去時に原状回復費用に充てられる費用 | 家賃の1ヵ月分 |
礼金 | 物件を貸してくれる大家さんへのお礼 | 家賃の1ヵ月分 |
前家賃 | 家賃引落し口座の登録が完了するまでの家賃 ※月中に入居する場合は日割り賃料も発生 | 家賃の1ヵ月分 |
火災保険料 | 火災や水漏れトラブルに備えた損害保険料 ※賃貸借契約の条件として火災保険への加入が 義務付けてられていることがほとんど | 1.5~2万円程度 |
仲介手数料 | 物件の紹介や契約手続きを行った 不動産会社へ支払う費用 | 0.5~1ヵ月分 |
引越し費用 | 時期や荷物の量、移動距離によって変動あり | 6.5~12万円 |
鍵交換費用 | 賃貸物件によってかかる場合あり | 1~2万円 |
保証料 | 連帯保証人を保証会社に委託する場合にかかる費用 | 家賃+共益費の 0.5ヵ月分 |
5. シングルマザーが受けられる手当や助成金

シングルマザーの生活をサポートする仕組みのひとつに様々な手当制度が準備されています。経済的に困っているシングルマザーにとって、手当や補助が受けられるのはかなり心強いですよね。
ここからは、シングルマザーの生活を補助する手当や助成金の例を紹介していきます。
5-1. 住宅手当
- 18歳未満、もしくは20歳未満の子どもを育てている
- 賃貸物件に住んでいる
上記のようなひとり親家庭(母子家庭、父子家庭など)を対象に支給される手当のことです。
支給条件を満たした場合は、年に3回(2月、6月、10月)4ヵ月分がまとめて支給されることが多く、1ヵ月分の支給額は1万円を上限としている自治体が大半です。
住宅手当を受け取るためには、自分で申請手続きする必要があります。住宅手当の支給を受けられたら、家計の足しになり、かなりありがたいですよね。
ですが、住宅手当は自治体独自で行っている制度のため、日本国内すべての自治体で実施されているとは限りません。また、住宅手当に関する明確な基準は定まっていないのです。
そのため、シングルマザーが住む地域によって支給額や条件、申請方法は微妙に異なります。そもそも、住んでいる自治体には住宅手当制度はあるのか、最初に自治体へと問い合わせておき、詳しい支給方法などを確認すると良いでしょう。
<主な条件の一例>
- 18歳未満もしくは20歳未満の児童を養育している母子家庭もしくは父子家庭
- 賃貸物件に住んでおり、そこに住民票がある
- 補助を受ける自治体の管轄エリアに住んでいる
- 前年度の所得が一定額に満たない
- 家賃額が6万円以下の賃貸物件に住んでいる
- 日本国籍または日本の永住資格がある
- 家賃や住民税を滞納していない
- 生活保護を受けていない など
5-2. 児童扶養手当
「児童扶養手当」とは、ひとり親家庭を対象として国が行っている公的支援制度です。18歳になって最初に3月31日を迎えるまでの子どもを養育している人が支給対象になります。
児童扶養手当は、家庭の格差を防ぎ、子どもが健全に過ごせるよう設けられた制度です。そのため、手当を受ける条件として所得制限が設けられています。なお、養育者の年収や子どもの人数によって支給額が決まっています。
児童扶養手当も、自分で申請しなければ手当を受けることはできません。申請先は市区町村の窓口です。申請時は窓口に書類を提出するか、専用システムから手続きを済ませましょう。
【養育者の収入と児童扶養手当支給額】
<子どもが1人の場合>
養育者の収入 | 児童扶養手当支給額 |
---|---|
160万円未満 | 全部支給(月額4万3,070円) |
160万円~ 365万円未満 | 一部支給(月額1万160円~4万3,060円) |
365万円以上 | 支給なし |
<子どもが2人の場合>
養育者の収入 | 児童扶養手当支給額 |
---|---|
215万7,000円未満 | 全部支給 (1人目:月額4万3,070円 2人目:月額1万170円) |
215万7,000~ 412万5,000円未満 | 一部支給 (1人目:月額1万160円~4万3,060円 2人目:月額5,090円~1万160円) |
412万5,000円 | 支給なし |
<子どもが3人以上の場合>
養育者の収入 | 児童扶養手当支給額 |
---|---|
子どもの人数による | 3人目以降1人につき、 全部支給は月額6,100円、一部支給は月額3,050円~6,090円 |
上記は令和4年4月~令和5年3月の金額であり、支給される金額は、物価の変動をふまえて毎年4月に改定されます。
5-3. 児童育成手当
児童扶養手当と同じく、18歳になって最初に3月31日を迎えるまでの子どもを養育しているひとり親家庭が支給対象の助成金です。児童育成手当は、国ではなく自治体が独自で実施している制度であり、現時点では実施している自治体は東京都のみです。
支給額は子ども1人当たり月額1万3,500円で、年3回(6月、10月、2月)支給月の前月までの4ヵ月分がまとめて支給されます。
児童育成手当にも所得制限が設けられており、前年度の年収が規定額より高かった場合は手当を受けることはできません。
しかし、児童扶養手当より所得制限が緩いのが特徴で、比較的受給しやすいのがメリットです。年収の限度額といった支給条件は自治体によって変わるので、申請前にチェックしましょう。
5-4. 児童手当
児童手当は、シングルマザーに限らず、15歳になって最初の3月31日を迎えるまでの児童を養育しているすべての方が対象となる手当です。かつては「子ども手当」という名称で知られていました。
支給額は年齢によって異なり、0~15歳の子どもを養育している方に対して年3回(6月、10月、2月)支給されます。
<児童手当の支給額>
児童の年齢 | 児童手当の額(1人あたり月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上小学校修了前 | 10,000円(第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
児童手当を受給するためには、市区町村に申請を行う必要があります。
子どもが生まれたり、引っ越しをして住所が変わったりした際に、現住所の市区町村に申請書を提出しましょう。なお、公務員の場合は自身の勤め先から支給されるため、現住所の市区町村と勤務先に提出する必要があります。
シングルマザーが活用できる手当や制度は、以下の記事でも詳しく紹介しています。
(参考記事)母子家庭が使える手当や補助ってなに?手当と申請方法を紹介
6. シングルマザーが物件の選ぶ時のポイント

シングルマザーにとって住む環境はとても重要です。大人だけが住むのと、子どもとシングルマザーが一緒に住むのとでは理想の物件の条件が変わってきます。
大人にとっては何も気にならない環境でも、子供の安全に影響するケースは少なくありません。さまざまな条件を吟味してシングルマザーにぴったりの物件を探していきましょう。
ここでは、シングルマザーが賃貸物件の選ぶ時のポイントを紹介していきます。
6-1. 間取り
シングルマザーが賃貸物件を借りるときは、
- 子どもが成長するまでは小さめな賃貸に住み、大きくなったら部屋が分かれている賃貸に引っ越す
- 最初から2DKなど部屋が分かれている賃貸物件を借りる
の2択になります。
子どもが小さければ「1Rや1Kでかまわない」と考えるシングルマザーは多いでしょう。実際、1Rは無駄なスペースがなく、子どもと一緒に寝るのであれば寝室も問題なく、家賃も安いので住みやすいといえます。
しかし、子どもが大きくなれば1Rや1Kでは手狭になるため、将来的には広い賃貸へ引っ越しをする必要が出てきます。また、1Rの賃貸物件は単身向けに作られています。シングルマザーと子どもが一緒に暮らすことを想定して作られていないため、そもそも入居ができないケースがあるのです。
小さめの賃貸物件を探す際は、小さい子どもを連れて入居したい旨を前もって不動産会社へ伝えておくようにしましょう。
一方、入居のしやすさや将来のことを考えると、最初から複数部屋がある賃貸を借りる選択肢もあります。その場合、小学生以下の子どもなら1DK、中学生以上なら2DKを目安にして部屋を探してみましょう。
子どもが大きい場合は自分の部屋を与えなければならないので、部屋数の多い賃貸物件だと快適です。しかし、1Rや1Kの賃貸よりも家賃が高くなることがデメリットです。
いずれの場合もメリットとデメリットがあり、そのときの経済状況によっても判断は変わってきます。よく考えてから探しましょう。
6-2. 安全面や立地など
子どもがいる以上、賃貸の周辺環境の治安や防犯面は重要です。
- 適度な人通りはあるか
- 近隣に教育機関はあるか
- 近隣住民の雰囲気はどうか
の3つのポイントを注意すると良いでしょう。
繁華街の近くなど、人通りが多すぎる場所だと静かに暮らせません。逆に、人が少なすぎる場所だと、登下校でトラブルに巻き込まれるリスクも出てきます。適度に人が暮らしているエリアを選んで賃貸物件を借りましょう。
また、交通事故や事件などに巻き込まれる可能性を少しでも下げるために、近隣に何らかの学校がある賃貸物件を借りるのもひとつの方法です。
もちろん、子どもが通う学校や学童から近い場所に家があることもポイントですが、たとえ子どもが通う学校ではない教育機関だったとしても、子どもにとっては安全といわれています。
なぜなら、教育機関の周辺は治安が良く、犯罪率が低くなる傾向があることに加え、教員やPTAの目が届きやすい地域であるためです。
そのほか、近所の人もチェックしておきましょう。アパートの住民に子持ち家庭が多い場合、赤ちゃんが泣いてしまうなどの騒音に対しても理解があるので近隣トラブルに発展しにくいですし、困ったことが起きても助けを求めやすくなります。家族同士が親しくなれば、育児の悩み相談もしやすくなるでしょう。
7. おすすめのシングルマザー向け賃貸って?

ここでは、シングルマザーにおすすめの賃貸物件をご紹介します。
7-1. 公営住宅
公営住宅とは、各都道府県や市区町村といった地方公共団体が建設・運営している賃貸住宅です。低所得者層向けに賃貸を提供しているため、家賃が低いことが最大のメリットです。地域や所得にもよりますが、公営住宅の家賃は2~5万円の物件が多いようです。
また、公営住宅にはファミリー世帯もたくさん住んでいます。横のつながりを作りやすく、家庭同士で助け合いをしやすい環境にあるのが魅力です。
シングルマザーは家を空ける機会が多くなるため、子どもを預けたり預かったりなど、近所に頼れると何かと助かりますし、子どもが友達を作れるという面でも良い環境といえるでしょう。
公営住宅の中には、家賃の「減免制度」を設けているところもあります。「減免制度」とは、もしも失業するなどして家賃が払えなくなったとき、支払いの負担を軽くしてくれるシステムです。不安定な雇用形態に就いている際の不安が軽減されます。
また、地域によっては、シングルマザー向けの優遇措置があるところもあるので、自治体に確認をしてみましょう。
いざ住んでみると快適な公営住宅ではあるものの、入居申込みは抽選制で、応募が殺到するのが難点です。公営住宅に住みたいと考えている人はシングルマザーに限らず多く、空き枠が出たときは高倍率で抽選が行われます。
抽選に当たらないと入居できないため、公営住宅は住みたいときにすぐ住める物件とはいえません。多くのシングルマザーは、今住んでいる物件に住み続けながら抽選に応募し、当たったら引越しをしているようです。
7-2. UR賃貸住宅
UR賃貸住宅は、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)という独立行政法人が管理しており、全国に約71万戸あります。
入居時に礼金・仲介手数料・更新料・保証人が不要で、初期費用が大幅に抑えられるのが特徴です。UR賃貸の敷金ですが、多くの物件で賃料2ヵ月分が設定されています。
UR賃貸住宅は、同エリアの一般賃貸物件と同程度の賃料が設定されているため、公営住宅と比べると賃料負担が大きくなります。
また、入居条件として、原則自身の月収がUR都市機構の定める基準月収より上回っている必要があります(例:家賃7万円の賃貸物件に入居する場合、月収が28万円(家賃額の4倍)あることが条件)。
収入条件が厳しいからシングルマザーの入居は難しいのでは、と思う方も多いようです。しかし、シングルマザーやシングルファザーなどといったひとり親家庭は、特例として収入条件を満たしていなくてもUR賃貸に申し込むことができるのです。
また、一部のUR賃貸では、シングルマザーや子育て世帯に向けたキャンペーンが実施されています。以下はキャンペーンの一例です。
キャンペーン | キャンペーン内容 |
---|---|
子育て割 | 条件を満たした場合、 最大6年間家賃が20%割引になる |
そのママ割 | 満18歳未満の子を扶養している世帯は、 定期借家で3年間家賃が最大20%割引になる |
近居割 | 両親が近所に住んでいる場合、 5年間両世帯の家賃が5%割引になる |
U35割 | 賃貸を借りる人が35歳以下の場合、 定期借家で3年間家賃が最大20%割引になる |
これらのキャンペーンが適用されれば、シングルマザーでもお得に賃貸物件が借りることができます。
また、最近では、時代や入居者のニーズに合わせるために建物の建て替えを積極的に行っているため、設備が整っていてきれいな物件が増えていることでも有名です。中にはタワーマンションのような賃貸物件もあるようで、幅広い世代から人気を集めています。
そんなUR賃貸物件ですが、入居申し込みは基本的に先着順です。人気がゆえに空室が出るとすぐに埋まってしまうため、UR賃貸物件への入居を希望する場合はお近くのUR賃貸ショップに問い合わせをしてみましょう。
7-3. 公社賃貸住宅
公社賃貸住宅は、各都道府県や市区町村の住宅供給公社(JKK)が管理しており、全国に約14万戸あります。
こちらも礼金・仲介手数料・更新料が不要で初期費用が大幅に抑えられますが、入居の際には連帯保証人を立てる、もしくは保証会社と契約をする必要があります。敷金は賃料の1~3ヵ月分と、賃貸物件によって異なります。
公社賃貸住宅も、同エリアの一般賃貸物件と同程度の賃料が設定されているため、公営住宅と比べると賃料負担が大きくなります。
また、入居条件として、自身の月収が住宅供給公社の定める基準月収より上回っている必要があります。URの収入条件は全国一律ですが、公社賃貸住宅の場合は運営する住宅供給公社によって異なるため、注意しましょう。
また、住宅供給公社によっては、子育て世帯やシングルマザーをはじめとしたひとり親世帯の優遇制度を行っています。
(例)東京JKKの場合
優遇制度 | 優遇内容 |
---|---|
ファミリーウィーク | 賃貸物件公開から7日間、 子育て世帯やひとり親世帯が優先的に申込みできる |
月収基準の特例 | ひとり親世帯の場合、 連帯保証人の月収条件を満たせば申込できる |
ひとり親世帯入居サポート | 収入審査を緩和し、 入居から3年間家賃が30%割引になる |
公社賃貸住宅への入居も基本先着順のため、希望の賃貸物件が見つかればすぐに申込することができます。
(参考サイト)養育費保証を契約する際の保証料を補助している自治体一覧
(まとめ)使える制度と権利はどんどん利用して安定した暮らしを

シングルマザーが子どもとの健全で安定したな生活を望むなら、住まいやお金などの問題をクリアしなくてはなりません。
辛く苦しく思える場面もあるとは思いますが、今回お伝えした内容も含め、シングルマザー向けの制度やサービスは行政や民間にたくさん設けられていることを知ってください。
シングルマザーになったからといって自動的に支援されるわけではなく、申請は必要になりますが、活用できるものは積極的に活用し少しでも安心した生活を子どもと共に築いていきましょう。
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