更新日: 2022.12.13
公開日:2022.12.13
シングルマザーの苦労って?離婚後のよくある悩みをご紹介

近年、日本における離婚率は上がっており、3組に1組の夫婦が離婚していると言われています。なかでもシングルマザー(母子家庭)世帯は120万世帯以上にものぼり、国や自治体では様々な助成制度を整えています。
とはいえ、離婚後にシングルマザーとして子育てをしながら生計を立てるのはやはり大変なことですし、苦労も多いようです。
では、その苦労とは具体的にどのようなものなのでしょうか。この記事では、多くのシングルマザーが苦労を感じたことや、実際に経験した苦労をご紹介します。
1. 離婚したシングルマザーの苦労ランキング

1位:お金のこと
“母子家庭はお金がない”というイメージを持つ人も少なくないと思います。その通り、多くのシングルマザーにとってお金の問題はかなり大きく、悩みの種となっているのです。
事実、シングルマザーの貧困は社会問題にもなっています。離婚前から正社員で働いていればある程度の収入を見込めますが、専業主婦ならば職を探すところから始めなければなりません。現状、正社員での雇用は難しい傾向もあります。
そして非正規雇用になると、どうしても収入が低くなってしまいます。母子家庭の収入として見込めるのは、労働収入のほか、元夫からの養育費、国や自治体からの助成金などがあります。
しかし、養育費は離婚前に取り決めていても、このご時世ですので、突然のリストラや非常事態で支払いが滞ってしまうケースも。

一方、国や自治体の母子家庭への助成制度は整ってきており、下記のように様々な助成制度があります。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 母子家庭の住宅手当
- 母子家庭(ひとり親家庭)の医療費助成制度
- 子ども医療費助成
- 児童育成手当
厚生労働省の調査(「平成28年度全国ひとり親世帯調査結果」。以下「厚労省調査」)によると、母子家庭の労働による年収の平均は約200万円。
月額に換算すると約16.6万円になります。これに、自治体の助成金や前夫からの養育費を含めると、平均年間収入は243万円となります。
(参考記事)母子家庭が使える手当や補助ってなに?手当と申請方法を紹介
一方、父子家庭の平均就労年収は398万円、平均年間収入は420万円ですので、母子家庭の家計は非常に苦しい状態にあることは一目瞭然です。これでは貯金はおろか、日々の生活も厳しいのではないでしょうか。
母子家庭 | 父子家庭 | |
---|---|---|
平均就労年収 | 200万円 | 398万円 |
平均年間収入 | 243万円 | 420万円 |
2位:子育てのこと
シングルマザーの多くが最も気にかけているのが、子どものことでしょう。
「ひとり親だからこそ、子どもに寂しい思いをさせたくない」と思ってはいても、生活していくためには1日のほとんどを仕事の時間に費やし、さらに家事も子育ても1人で担わなければいけません。
その結果、子どもとの時間はどうしても少なくなってしまいます。子どもへの愛情は、一緒にいる時間に比例するわけではありませんが、仕事の残業で帰宅が遅くなったり、保育園や学校行事に思うように参加できなかったり…。
子どもにしてあげたいことはたくさんあるのに思うようにできず、「子どもに寂しい思いをさせて申し訳ない」と辛く感じているシングルマザーはたくさんいます。
3位:精神的な苦労
離婚率の上昇と共にひとり親世帯は増え続けているため、シングルマザー自体は珍しくなくなってきました。妊娠時に自らすすんでシングルマザーの道を選択する人も増えつつあります。
しかし、シングルマザー(母子家庭)への偏見がまだ根強く残っているのも事実。
「シングルマザーになった理由を幼稚園のママ友に流された」「みんなから無視された」など、ひとり親であること、父親がいないことで、あなたや子どもが傷ついてしまうようなことを仕掛けてくる人もいるでしょう。
苦労をしたり苦痛を感じることもありますが、それにへこたれない精神の強さを持って、乗り越えていかなければいけません。また、子育てをしているとたくさんの不安や悩みはつきものです。
しかし、多くのシングルマザーが相談できる相手がいないと嘆いています。「親にはこれ以上心配をかけたくない」「偏見の目で見られて以来、友達は信用できない」「元夫には今さら話しづらい」などの理由から本音で話せる相手がいないのが現状のようです。
シングルマザーになったのだから自分がしっかりしなければ、と誰にも相談せず全てをひとりで抱え込んでしまうと、その強い責任感とプレッシャーで押し潰されそうになり、限界を感じることもあるでしょう。
4位:仕事
シングルマザーとして生計を立てるためにも、子どもの親権をとるためにも、仕事は必要不可欠です。
もともと正社員で働いていればそんなに影響はないかもしれませんが、専業主婦で長く仕事の現場を離れていると、職に就くのは大変なことです。
早い段階から計画的に就職活動を行わなければいけません。またシングルマザーは、子どものお迎えの時間や園や学校行事など融通の利くシフトを希望することが多いので、必然的に職種も絞られてきます。
(参考記事)子連れで離婚したい専業主婦が準備すべきこと!養育費をもらうためには?
では、就業形態はどうなっているのでしょうか。
厚労省調査によると、正規雇用で働くシングルマザーは44.2%と5割を下回り、パート・アルバイトなどの非正規雇用の割合は43.8%とほぼ同率です。
シングルマザーの就業率は8割程度と言われていますが、正社員の人もいれば、一方でパートのみで育て上げる人もたくさんいるということです。
5位:住まいの確保
離婚後、今住んでいる家を出る場合、まず必要になるのが住まいです。
離婚前から仕事をしているのであれば、初期費用の負担や物件を借りる際の審査など、そんなに苦労しないかもしれません。しかし、専業主婦だったり転職を余儀なくされた場合、一から職を探さなければならない苦労があります。
そのため、離婚後のシングルマザーに多いのが実家に戻るケースです。物件探しの手間や家賃が抑えられて苦労も少なく、親のサポートもあって安心です。ただし、仕事のことや子どもの生活環境についてもよく検討してから決めましょう。
ちなみに、シングルマザーの月額家賃(全国平均)は約5万円と言われています。(ただし首都圏は全国平均よりも2万円ほど高くなります。)
一般的に家賃は年収の20%以内が目安と言われているため、これを超えると家計を圧迫してしまうでしょう。
2. シングルマザーが再婚する場合、相手に確認しておくべきことは?

ひとりで子育てをしていると、「だれか支えてくれる人がいたら…」と思うこともあるはずです。もし、シングルマザーが再婚したいと思える相手に出会えたならば、今度こそ幸せな生活を送りたいですよね。
シングルマザーが再婚相手に事前に確認しておきたいことを整理しておきましょう。
2-1. 血縁関係のない子どもを受け止める覚悟
子連れで再婚する場合、再婚相手は血のつながらない子どもと一緒に生活していくことになります。
人は親になったからといって、すぐに親としての責任感が芽生えるものではありません。血のつながらない子どもに、複雑な感情を抱くこともあるはずです。それでも、子どもと愛情を持ってコミュニケーションを取り、我が子として良好な関係を築いていける覚悟があるのか、再婚相手としっかり話し合っておくことです。
もちろん、相手にばかり求めるのではなく、あなた自身が再婚相手と子どもに配慮しながら、よい関係性になるよう努力しなければいけません。
2-2. 子育ての教育方針
夫は公立派だけど妻はエスカレーター式の私立派など、教育方針の違いから離婚へと発展するケースは少なくありません。
子連れ再婚の場合、子どもの教育資金としてどれくらいの費用がかかるのか、またどんな教育を受けさせたいのかを事前に話しておくと、お互いの考え方がクリアになり、逆に理解を深めることもできるでしょう。
再婚してから言われるよりも、再婚前に話し合いを持つことで、再婚相手も受け入れやすくなるものですし、子育てもうまくいくかもしれません。
2-3. 養子縁組や元夫との面会のこと
未成年の子どもを連れての再婚の場合、養子縁組をして戸籍上も再婚相手の子どもになるのが一般的です。
その場合、養育費の支払いや実の父親との面会をやめるケースもあります。元夫とはもちろんですが、再婚相手とも揉めないようにしっかりと話し合っておきましょう。
2-4. 経済力
一緒に生計を立てるからには、再婚相手のおおよその年収や借金がないかなど、お金周りのことを事前に知っておきたいものです。
相手にある程度の経済力があれば、生活が楽になり、精神的にゆとりも出てくるでしょう。でも借金があったならば、これまで以上に経済的に厳しくなる可能性も。
2-5. 両親の状況
初婚とは違って、子連れ再婚は双方の年齢が高いことも多いです。
自分の親だけでなく、再婚相手の親の介護が迫っていたり必要だったり、また義父母が再婚相手から経済的援助を受けているケースも考えられます。
再婚した後に、親の介護や仕送りに疲れ果ててしまい、「こんなはずではなかった」と思うことのないように、事前に確認しておきましょう。
3. 再婚したらどんな未来が待っている?

いまやシングルマザーの再婚は珍しくありませんが、再婚後にはどんな生活や未来が待っているのでしょうか?
もちろん幸せな家庭を築いているケースもありますが、なんだかんだで後悔や苦労する声も多いようです。ここでは一例だけご紹介しましょう。
スピード再婚の末に後悔したケース
ひとりで頑張り過ぎるくらい頑張っているシングルマザーのAさん。
仕事関係の人で、仕事の相談事から、親しい関係になりました。とても頼れる人で、「もうこの人しかいない」「一刻も早く結婚したい」と出会って半年でスピード再婚。
もちろんバツイチなので、子どもや再婚相手との相性などは十分に確認しました。でも再婚して生活が始まると、実は相手のマイナス要素や現実的な部分には目を背けていたことに気づくようになったのです。
周囲からは「もう再婚するんだって。子どもがかわいそう」などと陰口を叩かれ、再婚相手とも冷え切った関係に…。
「早まって再婚なんかしないで、もっと時間をかけて決めるべきでした」とAさんは話します。
(参考記事)子連れ再婚で幸せな家庭を築くポイント!養子縁組はするべき?
(まとめ)苦労の少ない生活を送るために

生活費などのお金や子育てのこと、シングルマザーには苦労や悩みが絶えないのが現実。日々生活を送るだけなのに、なぜこんなに大変なんだろうとお悩みになられる方もいると思います。
あまり無理はせずに、実家や親しい友人、行政に相談したり、自治体の支援制度や手当を活用してみてください。
また、離婚を検討している方は、世の中のシングルマザーの苦労を事前に知っておけば、対策や心構えができるかもしれません。ぜひ苦労を乗り切って、前を向いていきましょう。
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